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柏崎刈羽の状況 規制庁が新潟県で説明会
柏崎刈羽原子力発電所に関する新潟県主催の県民説明会が2月18日、長岡市を拠点に開催され、原子力規制委員会が12月27日に判断、決定した追加検査の結果、および東京電力の原子炉設置者としての適格性判断について、原子力規制庁が説明。長岡市内の本会場(市立劇場)、および県内の他市町村に設けられたサテライト会場(10数か所)、オンラインによる視聴も含め、計115名が参加した。開会に際して、県防災局長の原直人氏は、柏崎刈羽原子力発電所で2020年以降に発生したIDカード不正使用など、一連の核物質防護不適切事案を振り返った上で、今回、追加検査に携わった原子力規制庁職員らを招き、適格性判断と合わせ説明を求めるに至った経緯を述べ、参加者に対し「忌憚のない質問・意見」を要望。原子力規制庁からは検査監督総括課長の武山松次氏らが出席した。原子力規制庁は、まず、2021年の核燃料物質移動禁止命令以降、2年8か月にわたって行った追加検査の詳細を説明。検査結果を取りまとめた上、12月末に柏崎刈羽原子力発電所の検査対応区分を引き上げ((「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)を、「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更))、命令解除としたが、今後も引き続き、基本検査を通じて改善状況を監視していくことを強調した。一方、適格性判断については、現地調査、社長との意見交換、保安規定変更などを総合的に勘案し、2017年12月に示した「問題なし」との結論((柏崎刈羽6・7号機について、東京電力に対し新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可を発出した上で、福島第一原子力発電所事故の当事者としての適格性判断を実施し、「原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と結論づけた))を変更する必要はない、との判断に至った経緯を説明した。これに対し、県民からは、柏崎刈羽原子力発電所で最近発生した資料の無断持ち出し・散逸に鑑み、東京電力による改善活動の破綻を非難する意見、福島第一原子力発電所のALPS処理水海洋放出に関連し、同社の情報発信の姿勢について再確認を求める声もあがった。また、元旦に発生した能登半島地震の関連では、日本海側の活断層に係る専門家の調査に言及し「自然の力には太刀打ちできない」とする不安や、災害発生時の避難対策に関し「何も決まっていないのでは」などと、今後の再稼働を見込んだ慎重な意見も出され、原子力規制庁は、「設置変更許可時には、当時の知見で最善を尽くした」と説明した上で、今後も新知見の収集・活用に努めていくと回答した。今回の説明会では、この他、「東京電力の取組を高評価し過ぎてはいないか」、「見えていないところもあるのでは」といった規制委員会の公正さや検査の盲点に関する疑義や、「そもそもウラン238の半減期は45億年で地球の歴史に相当」とする科学技術の限界への危惧など、不安の声が大勢を占めた。県では、取り上げきれなかった質問に対し、ホームページを通じて回答を示す考えだ。
- 19 Feb 2024
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規制委 能登半島地震を踏まえモニタリング技術を議論
原子力規制委員会は2月7日の定例会合で、元旦に発生した能登半島地震後の北陸電力志賀原子力発電所に係る現状を踏まえ、今後の対応に向けて、主にモニタリング技術の向上について議論した。同委では、年明け最初となる1月10日の定例会合で、地震発生以降の北陸電力他、東京電力や関西電力などから得た情報収集に基づく対応状況の時系列を整理。北陸電力によると、現在、停止中の志賀原子力発電所で観測された地震動の加速度応答スペクトルは、一部の周期帯において、設計上考慮している加速度をわずかに上回っていることが確認されており、規制委では、引き続き技術的情報の収集・整理に努め、必要に応じて今後の新規制基準適合性審査に反映していくとしている。2月7日の会合では、主に、放射線モニタリング体制の機動力強化に関して、委員間で意見が交わされた。地震発生により、志賀原子力発電所周辺のモニタリングポスト116局のうち、主に発電所北側15km以遠の18局でデータ収集が一時期欠測(昨日時点ですべて復旧済み)。原子力規制庁では、石川県とも情報共有を図り航空機モニタリングの準備を行ってきた。こうした状況を踏まえ、原子力規制庁放射線防護グループ監視情報課長の今井俊博氏は、放射線モニタリングにおける通信の信頼性向上、技術の多様化に向けた検討状況を説明。同氏はまず、「安全を確保した上でのモニタリングを考えるべき」と強調した上で、今回の地震で「通信による不具合が欠測の主たる原因」と推察されたことから、京都大学との協力により、低消費電力でも広域の無線通信が可能な「LPWA」規格を使用した測定器の開発に取り組んでいるとした。今後もNTTとも協力し実用化を目指していくとしている。さらに、日本原子力研究開発機構とも協力し、発災時、早急に対応可能な機動性の高いドローン「VTOL機」の開発・導入も検討しているとした。「VTOL機」の機動イメージとして、同氏は、昭和40年代の特撮「帰ってきたウルトラマン」に登場する円盤型戦闘機「マットアロー2号」を例にあげ、浮上・水平移動の柔軟さをアピールした。これを受け、伴信彦委員は、「確かに面白いが、複雑な地形でも適用できるのか」などと、懸念を示した上で、民間事業者との連携も通じ、さらに機動性を高めていく必要性を強調。杉山智之委員は、電源喪失に係るリスクから、「共有要因に伴う機能喪失対策は原子力分野の基本。総倒れにならない工夫が必要だ」と指摘。また、情報発信の関連で、石渡明委員は、「少し対応が鈍いのでは」とホームページ上での視認性向上を要望。新しい技術的情報の収集・検討についても早急な具体化を求めた。
- 07 Feb 2024
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規制委 柏崎刈羽の核燃料物質移動禁止命令を解除
原子力規制委員会は12月27日、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案に伴い設定した原子力規制検査の対応区分「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)を、「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更することを決定した。これにより、法令運用上、同所に発出されていた特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令が、約2年8か月ぶりに解除された。また、規制委が2017年12月に柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可と合わせて、東京電力に対し、福島第一原子力発電所事故の当事者として実施した「原子炉設置者としての適格性に係る判断」の再確認に関しても、当時の結論を「変更する理由はない」とし、同社に対し「適格性あり」と判断した。これらの判断に先立ち、規制委では、山中伸介委員長と伴信彦委員が2023年12月11日に現地調査を行い、20日には東京電力の小早川智明社長らとの意見交換を実施。社長からは、柏崎刈羽原子力発電所の保安規定に定める原子力事業者としての基本姿勢7項目を始め、社長直轄の「核物質防護モニタリング室」を通じた行動観察など、同社の取組について説明がなされた。規制委では、27日の会合で、核物質防護に係る不適切事案を受け、2021年度以降、柏崎刈羽原子力発電所に対し実施した合計4,268人・時間に及ぶ追加検査の報告書を了承。追加検査が終了し、今後は、東京電力による改善活動の実施状況について、基本検査で引き続き監視していくこととしている。山中委員長は同日の定例記者会見で、「あくまでもスタートライン」との認識を示したほか、今後の課題として、企業文化の改善や全社的なコミュニケーションについても言及した。原子力規制検査に係る結果および対応区分の変更を受け、東京電力は12月27日、「原点である福島第一原子力発電所事故の反省と教訓にもう一度立ち返り、自律的な全員参加型の改善活動を継続し、原子力事業者として地元の皆様、社会の皆様から信頼してもらえるよう取り組んでいく」とのコメントを発表。28日には、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案の原因分析再検証・改善措置実施報告書を取りまとめ発表した。
- 09 Jan 2024
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規制委と東京電力 柏崎刈羽の核物質防護問題で意見交換
原子力規制委員会は12月20日の定例会合で、東京電力の小早川智明社長ら、経営幹部を招き、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護問題に関する取組について意見交換を行った。規制委は同社に対し2021年4月、原子炉等規制法に基づき、規制上の検査対応区分が改善するまで、特定核燃料物質の移動を禁ずる(事実上運転できない)是正措置命令を発出。これを踏まえた追加検査の結果が2023年12月6日の同委会合で報告された。総検査時間は4,000人・時間を超えた。13日には山中伸介委員長らによる現地調査が行われている。また、同委は、柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可(2017年12月)と合わせ、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、東京電力に対し実施した適格性判断について、核物質防護問題に鑑み再確認を行うことを今夏決定。これを受け、東京電力は2023年11月1日に柏崎刈羽原子力発電所の保安規定変更の認可を規制委に申請。保安活動における7項目の基本姿勢に一連の不祥事から得た教訓などを反映している。同申請は12月13日に認可された。20日の会合における意見交換で、小早川社長は、経営トップの立場から、核物質防護の不適切事案が発生した際の社長としての受止め核物質防護の改善に際しての社長としての取組保安規定「原子力事業者としての基本姿勢」への対応と、安全性向上の取組への拡張・展開一過性にせず改善を継続していくための、目指す姿の共有・取組・意志の継続――について説明。小早川社長は「福島第一原子力発電所の事故を起こした東京電力が、地域や社会に信頼してもらうのは、簡単な道ではない。今後も全員参加型の改善活動を継続していく」との決意を表明した。これを受け、山中委員長は、原子力の安全・セキュリティ確保は一義的に事業者に責任があることを強調し、今後の規制委による最終判断の如何にかかわらず、「規制委が決してお墨付きを与えるものではない」と述べた。その上で、柏崎刈羽原子力発電所に関する追加検査については「一定程度の改善が見られた」、東京電力に対する適格性判断については「先の判断(原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない)を変える必要はない」と述べ、いずれも各委員の意見も一致した。27日に開催が予定される規制委員会会合で、総合的判断がなされる見通し。柏崎刈羽原子力発電所に係る特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令については、検査区分が通常の第1区分に改善変更されるものとみられ、この時点で、法令運用上、解除となる。
- 22 Dec 2023
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規制委 柏崎刈羽の保安規定変更を認可
原子力規制委員会は12月13日、東京電力より申請された柏崎刈羽原子力発電所の保安規定変更を認可した。柏崎刈羽原子力発電所では、2021年1月以降に相次いで発生した核物質防護に係る不適切事案に鑑み、今夏以降、規制委による適格性判断の確認が行われてきた。規制委は、東京電力経営幹部との公開会合などを経て、2023年11月1日、東京電力より、保安活動における7項目の基本姿勢に一連の不祥事から得た教訓などを反映した保安規定変更の申請を受けた。変更された保安規定では、社長自身が従業員や協力会社の安全に関する意識と行動をモニタリングすることや、日常的に課題の共有や対策の議論を行うことで、自主的な安全性の向上を実現するとしている。11月29日の会合における議論で、変更内容は妥当とされており、本日、正式な認可に至った。東京電力では、今回の保安規定変更認可を受け、「引き続き、規制委員会による審査に真摯に対応するとともに、福島第一原子力発電所の事故から得た教訓を踏まえ、さらなる安全性、信頼性の向上に努めていく」とコメントしている。柏崎刈羽6・7号機について、同委は2017年12月に新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可を発出した上で、福島第一原子力発電所事故の当事者としての、適格性判断を実施。「原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と結論づけており、今回の適格性判断は2度目となる。なお、柏崎刈羽原子力発電所について、規制委は、東京電力に対し、原子炉等規制法に基づき、規制上の検査対応区分が改善するまで、特定核燃料物質の移動を禁ずる(事実上運転できない)是正措置命令を2021年4月に発出しており、これを踏まえた追加検査の結果が12月6日の同委会合で報告された。続く13日の会合では、11日に山中伸介委員長と伴信彦委員が行った現地調査の結果が報告され、山中委員長は、会合終了後の記者会見で、「適格性については一定程度確認ができた」と評価。その上で、翌週に予定される小早川社長との面談に向け、「事案発生から3年間の取組の総括、今後の意気込みを聴きたい」と述べた。最終的判断についてはその後、改めて委員間で議論するとしている。
- 13 Dec 2023
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規制委 柏崎刈羽の核物質防護事案で判断方針示す
原子力規制委員会は12月6日、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所で2021年1月以降に発覚した核物質防護事案に対する追加検査の結果、および同社の「原子炉設置者としての適格性」に係る再確認について、原子力規制庁より報告を受け、それぞれ、今後、現地視察、社長との意見交換を行った上で、最終的に判断することを了承した。〈規制委発表資料は こちら〉柏崎刈羽原子力発電所については、核物質防護に係る不適切事案を受け、東京電力に対し、原子炉等規制法に基づき、規制上の検査対応区分が改善するまで、特定核燃料物質の移動を禁ずる(事実上運転できない)是正措置命令が2021年4月に発出されている。これを踏まえた追加検査の結果について、同日の定例会で原子力規制庁が報告。追加検査は延べ4,268時間に及び、2023年5月以降に実施された追加検査のフェーズⅢで改善が見られず継続検査となっていた4項目すべてについて是正が図られていると判断された。また、2017年12月、柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可と合わせ東京電力に対し福島第一原子力発電所事故を踏まえ実施したいわゆる「平成29年の適格性判断」の再確認については、同社が保安規定に定める原子力事業者として基本姿勢7項目に基づき、「基本姿勢に則った取組を行っていることが確認され、同時にこれに反した姿勢・行動をとっている状況は確認されなかった」と結論付けた。これにより、原子炉等規制法に基づく禁止命令の解除に必要な条件はほぼ揃ったこととなる。山中伸介委員長は、委員による現地視察や東京電力社長との意見交換を実施した上で、解除に係る判断を行う方針を表明した。
- 06 Dec 2023
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IAEA/IRRSミッション受入 25年度下期に
原子力規制委員会は11月8日、IAEAによる総合規制評価サービス(IRRS)ミッションの2025年度下期頃の受入れに向け準備を進めることを決定した。〈規制委発表資料は こちら〉IRRSは、IAEAが加盟国の要請に基づき原子力利用の安全確保に向け実施しているレビューサービスの一つ。専門家で構成されるレビューチームにより、対象国の原子力規制に関し、その許認可・検査に係る法制度、関係組織も含む幅広い課題について、規制当局や被規制者へのインタビュー、原子力施設への訪問などを通じた総合的レビューを実施し助言・勧告を行う。IRRSミッションは、欧州諸国を中心に、毎年、数か国で受け入れられてきたが、近年では新興国での活動も顕著で、2022年には原子力発電所の建設が進むトルコ、バングラデシュでも受け入れている。日本におけるIRRSミッションは、2007年に旧原子力安全・保安院および旧原子力安全委員会が受け入れており、両者の役割の明確化などが助言・勧告された。福島第一原子力発電所事故後は、規制委員会が2016年に受け入れ。IRRSミッションによる勧告・提言に関し、同委は「IRRSにおいて明らかになった課題への対応方針」のもと、プロジェクトチームを設置し検討を行い、検査制度や放射線源規制の改善に向けた法整備などにつなげている。規制委員会による今回のIRRSミッション受入れは、山中伸介委員長が就任して1月後の2022年10月、今後の重点的活動方針の一つとして示された「国際機関による外部評価」を具体化するもの。同委では、今秋11月中を目途にIAEAに対する正式要請文書を発出。関係省庁とも調整しながら、2024年度冬以降、IAEAとの公式準備会合を行いスケジュールの詳細を詰めていく。なお、2023年に、IRRSミッションの受入れは、チェコ、オランダ、ベルギー、ポーランド、サウジアラビアで実施されたほか、ルーマニア、モロッコでも予定されている。
- 08 Nov 2023
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東京電力 柏崎刈羽の保安規定変更を規制委に申請
東京電力は11月1日、柏崎刈羽原子力発電所の保安規定変更認可を原子力規制委員会に申請した。保安活動における7項目の基本姿勢に、核物質防護に係る不適切事案への取組から得た教訓を反映している。〈東京電力発表資料は こちら〉2017年12月、規制委員会は、柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可と合わせて、福島第一原子力発電所事故の当事者たる東京電力に対し、特に実施したいわゆる「平成29年の適格性判断」で、「運転主体としての適格性の観点から、原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と結論。一方、2020年以降、柏崎刈羽原子力発電所では、核物質防護に係る不適切事案が発生。同委は2023年6月、東京電力経営層より、核物質防護に関する改善措置活動の進捗状況について報告を受け、「平成29年の適格性判断」の再確認を行うこととなり、それに向け、8~9月に公開会合、現地検査が実施され、今回、同社からの保安規定変更の認可申請となったもの。「自律的かつ持続的に原子力発電所の安全性向上に努める」との決意をあらためて示した上で、変更申請された保安規定では、現行の基本姿勢7項目を、廃炉をやりきる覚悟必要な経営資源の投入トップとしての責任安全最優先の発電所運営リスクの低減現地現物の観点による情報共有自主的な改善――に項目立てし再整理。その中で、社長のトップとしての責任については、「当社および協力企業の従業員の意識と行動について、モニタリングを実施し、劣化兆候を把握した場合には、迅速かつ適切に対応し、継続的な安全性向上を実現する」と明記。自主的な改善については、核物質防護に関する改善措置活動から得た教訓を反映し、CAP(小さな気付きを広く収集し改善につなげる取組)の活用なども盛り込んでいる。なお、柏崎刈羽原子力発電所については、核物質防護に係る不適切事案を受け、規制委員会から東京電力に対し、原子炉等規制法に基づき、規制上の対応区分が改善するまで、特定核燃料物質の移動を禁ずる(事実上運転できない)是正措置命令が発出され、同委による追加検査が継続中。また、地元の動きとしては、9月に新潟県が県独自による福島第一原子力発電所事故の検証結果を総括しており、花角英世知事は、今後、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する議論を行う考えを表明している。
- 06 Nov 2023
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規制委 川内1・2号機の運転期間延長を認可
原子力規制委員会は11月1日、九州電力川内原子力発電所1・2号機について、運転開始から60年までの運転期間延長を認可した。〈規制委発表資料は こちら〉川内1・2号機は、それぞれ2024年7月、25年11月に原子炉等規制法で定められる原則40年の運転期間を満了する。これに伴い、九州電力は、2021年10月より特別点検を行い両機の原子炉容器などの健全性を確認した上で、2022年10月に20年間の運転期間延長認可を規制委員会に申請した。11月1日の規制委定例会合で、原子力規制庁が審査結果を説明。主要な6つの物理的な経年劣化事象(低サイクル疲労、中性子照射脆化、照射誘起型応力腐食割れ、2相ステンレス鋼の熱時効、電気・計装設備の絶縁低下、コンクリート構造物の強度低下)について、特別点検の結果を踏まえた劣化状況評価が行われており運転を延長する期間において「審査基準の要求事項に適合している」ことが確認されたとした。〈高経年化規制の概要は こちら〉川内1・2号機は、2013年7月の新規制基準施行後、先陣を切って2015年に再稼働。熱出力一定運転に伴い、冬季には設備利用率が107%にも達しており稼働状況は好調だ。40年超運転が認可された国内の原子力発電プラントは、既に再稼働した関西電力美浜3号機、同高浜1・2号機、まだ再稼働していない日本原子力発電東海第二を合わせ計6基となった。なお、2023年5月に成立した「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(GX脱炭素電源法)の本格施行(2025年6月)後は、運転開始から30年以降、10年以内ごとに、新制度(長期施設管理計画)での認可が必要となる。
- 01 Nov 2023
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来年度政府概算要求が出揃う
2024年度の政府概算要求が8月31日までに出揃った。文部科学省では、原子力分野の取組として、対前年度比28%増の1,883億円を計上。2月に閣議決定された「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」などを踏まえ、「原子力分野における革新的な技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献」として、同2.6倍となる276億円を要求した。高温工学試験研究炉「HTTR」を活用した高温ガス炉の安全性実証や水素製造に必要な技術開発、高速炉技術開発の基盤となる実験炉「常陽」運転再開に向けた取組を推進するとともに、革新炉開発に資するシミュレーションシステムの開発などを進める。また、核融合研究開発の推進では、同37.3%増の292億円を計上。ITER計画などの国際枠組みによる技術開発に加え、競争的資金「ムーンショット型研究開発制度」を活用し「ゲームチェンジャーとなりうる小型化・高度化等を始めとする独創的な振興技術の支援を強化する」ため、新規に20億円を要求。この他、3GeV高輝度放射光施設「Nano Terasu」の2024年度の運用開始に向け38億円、大型放射光施設「SPring-8」の高度化で3億円がそれぞれ新規に計上されている。経済産業省では、エネルギー対策特別会計で対前年度比11%増の7,820億円を計上。最重要課題とされる「福島復興のさらなる加速」では、廃炉・汚染水・処理水対策事業費176億円など、対前年度比21%増の910億円の要求額となっている。原子力規制委員会では、対前年度比25%増の730億円を計上。高経年化対策に係る審査・検査体制などの強化に向け、安全規制管理官(課長レベル)1名設置の機構要求の他、計66名の定員要求も盛り込まれている。
- 01 Sep 2023
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規制委 常陽に原子炉設置変更許可
原子力規制委員会は7月26日の定例会合で、日本原子力研究開発機構の高速炉「常陽」(茨城県大洗町、ナトリウム冷却型、熱出力100MW)について、新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可を決定した。原子力機構は、2017年3月に「常陽」の新規制基準適合性に係る審査を規制委員会に提出。規制委では、炉心設計・熱出力に係る申請内容の補正に伴い、およそ1年半の審査保留を挟み、6年余の審査期間を経て、2023年5月24日に審査書案を了承。その後、原子力委員会と文部科学相への意見照会、パブリックコメントを経て、原子炉設置変更許可となった。「常陽」は、高速増殖炉の基礎・基盤の実証、燃料・材料の照射試験、将来炉のための革新技術検証を使命に、1977年に初臨界に達した後、約71,000時間の運転実績を積んできた。実験装置のトラブルが生じ、2007年5月の定期検査入り以降、運転を停止中。原子力機構は、「常陽」の原子炉設置変更許可取得を受け、運転再開後、高速炉実証炉のための研究開発やがん治療への高い効果が期待されている医療用アイソトープの製造実証に活用していくとしている。〈原子力機構発表資料は こちら〉
- 28 Jul 2023
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ALPS処理水の海洋放出設備 使用前検査が完了
原子力規制委員会は7月7日、東京電力に、福島第一原子力発電所のALPS処理水((多核種除去設備(ALPS)等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を下回るまで浄化した水。海水と混合し、トリチウム濃度を1,500ベクレル/リットル(告示濃度限度の40分の1)未満に希釈した上で放水する。))の海洋放出に係る移送/希釈/放水の各設備について、使用前検査終了証を交付した。ALPS処理水の海洋放出設備は、(1)測定・確認用設備、(2)移送設備、(3)希釈設備、(4)放水設備――で構成。そのうち、(1)については、3月に使用前検査終了証が交付されており、今回、(2)~(4)の検査が完了し、規制委による使用前検査はすべて完了したこととなる。ALPS処理水の海洋放出設備は、2022年7月に規制委員会より福島第一原子力発電所に係る実施計画変更認可を受け、8月に設置工事が開始された。2023年4月26日には放水トンネル(長さ約1km)が完成。6月26日にすべての施設の設置が終わり、同30日に最終の使用前検査が実施された。ALPS処理水の処分に関する関係閣僚会議は2023年1月に、「海洋放出設備工事の完了、工事後の規制委員会による使用前検査、IAEAの包括的報告書等を経て、具体的な海洋放出の時期は、本年春から夏頃を見込む」との見通しを示している。ALPS処理水の安全性レビューに関するこの包括的報告書は7月4日に日本政府に提出されており、今回の使用前検査終了により、海洋放出開始に向け設備・保安上の準備は整ったこととなる。東京電力は、「ALPS処理水希釈放出設備および関連設備の保守管理に努めるとともに、同設備を的確に運用するため、引き続き、運転操作訓練・警報対応訓練を行なうなど、現場での安全に係る品質向上について積極的に取り組んでいく」とするコメントを発表した。
- 07 Jul 2023
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規制委 柏崎刈羽の核物質防護事案受け東電の「適格性」再確認へ
原子力規制委員会は6月22日、臨時会合を開き、柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護に係る不適切事案に関し、東京電力による改善措置活動の進捗状況について、小早川智明社長らよりヒアリングを行った。柏崎刈羽原子力発電所については、2021年3月に、原子力規制検査の対応区分が「第4区分」(事業者が行う安全活動に長期間にわたる、または重大な劣化がある状態)から、「第1区分」(事業者の自律的な改善が見込める状態)に改善されるまで、燃料移動禁止命令((特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令、事実上プラントが運転できない))が規制委員会より出されている。同委では、2023年4月までに延べ3,500人・時間に及ぶ追加検査を実施。各委員の現地視察も踏まえ、5月17日、対応区分は「第4区分」のまま、追加検査を継続することを決定した。東京電力・小早川社長(インターネット中継)22日の会合で、小早川社長は、是正措置命令発出後の2年間を振り返り、「経営陣が自分事として真剣に取り組む姿勢を貫く」意思を改めて示した上で、規制委員会が確認方針としている強固な核物質防護の実現自律的に改善する仕組みの定着改善措置を一過性のものとしない仕組みの構築――の改善措置サイクルを回す必要性を強調。さらに、「現場の管理者、担当者、協力企業との距離を近付けることが大事」と述べ、現地・現物を自ら把握し経営トップとしてリーダーシップを発揮していく意向を示した。〈東京電力・小早川社長発表資料は こちら〉一連の説明を受け、核セキュリティ担当の田中知委員が、残る課題とされている4項目、「正常な監視の実現」(不要警報の低減など)、「協力会社を含む気付き事項の取り上げ」、「核物質防護基本マニュアルの運用」、「改善措置の継続的な実施」の達成見込みについて質問。これに対し、小早川社長は「7月中を目処に形を作りたい」と応えた。また、自然ハザードに関する審査担当の石渡明委員は、不要警報の低減に関し、柏崎刈羽原子力発電所の厳しい自然環境(大雪、砂嵐など)から、「思わぬ現象も起きうる」として、侵入検知設備の設置場所など、ハード面の対策に限界があることを示唆。荒天時の特別な体制整備など、ソフト面の対策にも言及し、「自然現象への対応に、これで十分ということはない」として、継続的に改善を図っていく必要性を指摘した。山中伸介委員長は、核物質防護の取組を原子力安全確保に活かす考えから、柏崎刈羽原子力発電所の保安規定変更を検討するよう東京電力に求めた。また、同社退席後、委員長は、今後の命令解除の議論を見据え、柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可時(2017年12月)に行った「原子炉設置者としての適格性」に関し、改めて技術的観点から再確認する方針を固め、その具体的方法の検討を原子力規制庁に指示した。
- 23 Jun 2023
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高浜1・2号機 今秋にも国内2例目の40年超運転
関西電力は6月21日、高浜発電所1・2号機について、それぞれ8月下旬、10月中旬の本格運転再開を決定した。火災対策に係る対応のため、再開に向けた工程は当初予定より2か月ほど遅れる見通し。再稼働すれば、国内では、同社・美浜3号機(2021年7月本格運転再開)に続き、2例目の40年超運転となる。高浜1・2号機はそれぞれ1974年、75年に運転を開始しているが、いずれも2011年以降、停止している。〈関西電力発表資料は こちら〉同社は、2015年3月、美浜3号機とともに高浜1・2号機について、新規制基準適合性に係る審査を原子力規制委員会に申請。同年4月には、高浜1・2号機の運転開始から60年までの運転期間延長認可に係る申請を行い、2016年4月に両機とも原子炉設置変更が許可された。高浜町からは2021年2月に、福井県からは同年4月に再稼働に対する理解表明を得ており、安全対策工事も完了。テロに備えた「特定重大事故等対処施設」は、高浜1号機が今年7月中旬、同2号機が同8月下旬の運用開始予定。それぞれ、8月上旬、9月中旬にも調整運転(発電再開)を開始する見通しだ。関西電力では、高浜1・2号機の再稼働に当たり、「トラブルの未然防止のための総点検等を行い、安全を最優先に緊張感を持って進めていく」としている。
- 22 Jun 2023
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「常陽」の審査完了へ RI国産化にも期待
原子力規制委員会は5月24日、日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」(大洗町、ナトリウム冷却型高速炉、熱出力100MW)について、新規制基準に「適合している」とする審査書案を了承した。今後、原子力委員会と文部科学省への意見照会、パブリックコメントを経て、正式決定となる運び。原子力機構は2017年3月、「常陽」の新規制基準適合性に係る審査を規制委員会に申請。炉心設計・熱出力に係る申請内容の補正に伴い、およそ1年半の審査保留を挟み、都合6年余の審査期間を経て、審査書案の了承となった。「常陽」は、高速増殖炉の基礎・基盤技術の実証、燃料・材料の照射試験、将来炉のための革新技術検証を使命に、1977年に初臨界に達した後、約71,000時間の運転実績を積んできた。現在、2007年度に実験装置のトラブルが生じ運転を停止中。2016年に高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉決定を踏まえ原子力関係閣僚会議が策定した「高速炉開発の方針」では、炉心燃料関連技術、ナトリウム取扱・主要機器関連技術など、高速炉特有の技術課題解決のための知見獲得、国際協力との相乗効果による開発推進の観点から、「常陽」の再稼働に向けて積極的に取り組むとされている。高速炉開発は非エネルギー分野での貢献も期待されており、原子力機構が昨秋開催した報告会での説明によると、現在、全量を海外に依存している医療用ラジオアイソトープの国産化に向けて、「常陽」を活用し、がん治療で世界的に注目されるアクチニウム225の製造実証を2026年度までに行うとしている。
- 24 May 2023
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規制委 柏崎刈羽の核物質防護事案で追加検査継続へ
原子力規制委員会は5月17日の定例会合で、核物質防護に係る不適切事案のため東京電力柏崎刈羽原子力発電所に対し実施している追加検査を、引き続き行う対応方針を了承した。柏崎刈羽原子力発電所では、2020年9月に発電所社員が他社員のIDカードを無断で持ち出し中央制御室まで不正に入域する事案が発生。この他にも、核物質防護設備の機能の一部喪失事案が発覚したことから、規制委員会は、「組織的な管理機能が低下」、「核物質防護上、重大な事態になり得る状況」と指摘し、2021年3月、同所に対する原子力規制検査の対応区分を「第4区分」(事業者が行う安全活動に長期間にわたる、または重大な劣化がある状態)に変更。約2,000人・時間を目安として追加検査を行うことを決定し、東京電力に対し同年4月、対応区分が「第1区分」(事業者の自律的な改善が見込める状態)に改善するまで、事実上、運転が不可能となる是正措置命令を発出した。17日の会合では、原子力規制庁が2021年4月~23年4月に実施した追加検査の報告書について説明。検査時間は3,475人・時間に達したとしている。そのうち、2021年秋の東京電力による改善措置報告後に行われた「フェーズⅡ」では、「強固な核物質防護の実現」、「自律的に改善する仕組みの定着」、「改善措置を一過性のものとしない仕組みの構築」の3つの確認方針で検査。これに基づく27項目からなる確認視点のうち、4項目が未だ「是正が図られていない」との判断に至り、原子力規制検査の対応区分を「第4区分」のまま、「フェーズⅢ」として追加検査を継続するとしている。今回の報告書では、「是正が図られていない」と判断された確認視点の一つ「自然環境に適合した設備が設置され不要警報が減少しているか」に関し、荒天時の体制構築や不要警報の低減目標を踏まえた具体的対応について、引き続き確認の必要があると指摘。自然ハザードに関する審査を担当する石渡明委員は、日本海側の厳しい気象条件にも言及しながら、「長期的に改善している傾向がはっきりと見える。『あと一息』という感じではないか」と、東京電力の取組に一定の評価を示した。山中伸介委員長は、今後、追加検査の進捗について引き続き報告を受けるとともに、東京電力社長との対話の場を設定し、今回の報告書で指摘された課題への対応状況について意見交換を行う考えを示した。なお、規制委員会による対応方針を受け、東京電力は、検査で指摘事項のあった4項目について「しっかりと是正を図っていく」とのコメントを発表した。
- 17 May 2023
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規制委 60年運転で「追加点検」実施の方針
原子力規制委員会の山中伸介委員長は5月10日夕刻の定例記者会見で、同日会合の議題となり了承された運転開始から60年目以降の原子力発電所に課する「追加点検」の考え方に関し、「今後の専門的な議論に向けて大筋が固まった」と述べ、技術的論点は概ねクリアされたとの認識を示した。〈規制委発表資料は こちら〉現在、国会で「原子力発電の運転期間に関する規律の整備」、「高経年化した原子炉に対する規制の厳格化」などを盛り込んだ原子力関連の法案が審議中となっている。原子力事業者が予見しがたい事由による停止期間に限り現行規定で最長60年の運転期間から除外する(電気事業法)とともに、運転開始から30年を超えて運転しようとする場合、10年以内ごとに設備劣化に関する技術的評価、および劣化を管理する計画の認可を受けることを義務付ける(原子炉等規制法)というもの。60年超の運転も認め得ることとなる。規制委員会では、こうした運転期間見直しの動きを踏まえ、昨秋より高経年化した原子力発電所の安全規制に関する検討を進め、随時、専門チームでの検討状況について報告を受けてきた。10日の定例会合では、現行の運転開始40年目で課する「特別点検」と同じ項目で、60年目以降の運転に係る認可の際、「追加点検」の実施を求めることを原則とする考え方を了承。山中委員長は会見で、「今後は規則・ガイド類をまとめていく必要がある」として、関連法案成立後、膨大な作業を要する見通しを示した。同委では高経年化した原子力発電所の安全規制に関するわかりやすい資料作りに取り組んでいるが、山中委員長は、「『劣化が進んでいくとはどういうことなのか。それに対しどういう規制を行っていくのか』を、国民に理解してもらうよう今後も改善を図っていく」と改めて強調。また、人工知能を使ったチャットサービス「ChatGPT」の活用について問われたのに対し、同氏は「職員の間で色々と勉強している段階だと思う」と応え、現時点では導入に向けた具体的検討はなされていないとした。
- 11 May 2023
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ALPS処理水を巡る2度目のIAEA規制レビュー 日本側取組を評価
IAEA・カルーソ氏原子力規制委員会は5月10日の定例会合で、2023年1月に行われた福島第一原子力発電所のALPS処理水(トリチウム以外の核種について環境放出の規制基準を満たす水)取扱いに関するIAEA規制レビュー(ミッション団長=グスタボ・カルーソIAEA原子力安全・核セキュリティ局調整官)の報告書について原子力規制庁より説明を受けた。〈規制委発表資料 こちら〉同報告書は、ALPS処理水の海洋放出に関し、2021年7月に日本政府がIAEAによる支援を要請し署名した付託事項に基づき行われたレビューのうち、規制面でのレビューについて取りまとめたもの。1月のIAEAによる規制レビューは2022年3月に続き2回目となり、規制委員会へのヒアリングや現地視察を終了後、団長のカルーソ氏は、「前回のミッションで出たほとんどの問題について考慮されていることを確認できた」と、日本の規制当局の取組を評価した上で、3か月以内にも報告書を公表するとしていた。今回、IAEAが公表した報告書では、政府の役割と責任、主要概念と安全目的、認可プロセスなど、規制に係る5つの技術的事項に関するレビューについて記載。進捗報告書との位置付けで、結論には言及しておらず、「ALPS処理水の海洋放出開始まで、および放出開始後において、国際安全基準に照らし規制プロセスとその活動を引き続き監視する」としている。IAEAはレビュー全側面にわたる包括的報告書を年央にも公表することとしているが、原子力規制庁担当者によると、これに向けたミッションが5月末にも来日する予定。日本政府は海洋放出開始時期を春から夏頃と見込んでいる。トンネル掘進完了後の放水トンネルの様子©東京電力この他、10日の定例会合では、東京電力が昨秋に申請した福島第一原子力発電所廃炉に関する実施計画の変更認可が決定された。ALPS処理水の海洋放出に当たり、トリチウム以外に測定・評価を行う対象核種として29核種を選定し放出基準を満足することを確認するとしたもの。ALPS処理水の希釈放出設備の設置工事は、4月26日に全長約1,031mの放水トンネルの掘進が完了している。
- 10 May 2023
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春の叙勲 元原子力規制庁長官の池田克彦氏が瑞宝重光章
瑞宝重光章を受章する池田氏(2015年、全原協総会にて)政府は4月29日、春の叙勲受章者を発表した。原子力規制庁の初代長官を務めた池田克彦氏が瑞宝重光章を受章する。同氏は、2012年9月に発足した原子力規制委員会の事務方トップとして2015年7月まで在任。福島第一原子力発電所事故後の原子力規制行政の建て直しに尽力した。池田氏は、同職就任以前、警察官僚として警察庁警備局長、警視総監などを歴任。警備部門の経験が豊富で、1995年の「地下鉄サリン事件」以降、有毒ガス発生事案に注目が集まった時期、NBC(核、生物、化学)テロ対策訓練で指揮を執ったこともある。現在は、日本道路交通情報センター理事長。同氏は雑学本の著者としても知られている。
- 01 May 2023
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規制委 高経年化プラントの安全規制で説明資料公開
原子力規制委員会は4月19日、高経年化した原子力発電所の安全規制に関する検討状況と、その全体像についてわかりやすく説明するための資料をWEBサイトで公開した。現在、原子力発電の運転期間に関する規律の整備を含む「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が国会で審議中となっている。同法案では、「運転期間は最長で60年に制限する」という現行の枠組みは維持した上で、原子力事業者が予見しがたい事由による停止期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外することを規定。これにより、現行法上の上限である60年を超えての運転も可能となる。今回、規制委員会が公開した資料では、同法案中、原子炉等規制法改正案に関する部分を説明。運転期間に関する規定が電気事業法に移管される一方、「原子力事業者に対して、運転開始から30年を超えて運転しようとする場合、10年以内ごとに、設備の劣化に関する技術的な評価を行い、その劣化を管理するための計画を定め、規制委員会の認可を受けることを義務付ける」新たな制度を規定している。資料の概ね前半は、新規制基準、バックフィット制度((既に許認可を受けた施設が新知見に基づく規制要求に適合することを確認する))、物理的な経年劣化事象(低サイクル疲労、中性子照射脆化他)など、安全規制のあらまし・課題について説明。後半では、新たな制度で事業者に策定を義務付ける「長期施設管理計画」に定める内容、認可の基準などについて説明。さらに、現在、高経年化に関する規制委の検討チームで技術的議論が進められている非物理的な劣化、いわゆる「設計の古さ」については、「スペアパーツが入手できなくなったり、メーカーの技術サポートが受けられなくなること」を例示した。運転開始後60年以降の評価については、これまでの制度の運用や経年劣化に関する科学的知見から「科学的根拠をもとに厳格な審査ができる」とした上で、海外における運転開始から50年を超えた原子炉の一覧を示し、「60年超の劣化に関する科学的知見の蓄積が進んでいく」と述べている。同資料は、原子力規制庁制作による要約版との位置付け。4月18日の規制委定例会合で、資料のまとめに当たっている同庁長官官房総務課長の黒川陽一郎氏が内容を説明。これに対し、検討チームを主導する杉山智之委員は、「まだ世間の疑問に対して応えきれていない」と述べ、Q&A集、技術資料集の追加など、さらなる充実化を求めた。資料は今後、ブラッシュアップされていく見通し。
- 20 Apr 2023
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