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更田規制委員長が年明け初会見、重点事項として新検査制度の着実な実施など
原子力規制委員会の更田豊志委員長は、1月8日の定例記者会見の中で、2020年の重点事項として、(1)新検査制度の運用開始、(2)福島第一原子力発電所の廃炉、(3)六ヶ所再処理工場の新規制基準適合性審査――をあげた。2020年度より本格運用を開始する新検査制度については、着実に機能するよう「被規制側との意思の疎通、相互の信頼関係が醸成されることが大きなポイント」と強調。福島第一原子力発電所については、特に処理水の取扱いをあげ「苦渋だが、早期に決断せざるをえない時期に差し掛かっている」との見方を示した。六ヶ所再処理工場の審査は申請から丸6年が経っているが、「様々な審査案件の中でも大きな判断の対象」と、大詰めの段階にあることを示唆した。福島第一原子力発電所廃炉の関連で、12月末の 中長期ロードマップ改訂 を受けた質問もあり、燃料デブリ取り出しについては、「まだまだ非常に難しい問題がある」と、収納・保管・移送方法も含め技術的課題が山積している現状を指摘。また、昨秋再開の事故分析で実施された3号機原子炉建屋内現地調査の 映像 に関しては、「まだ推測の域を出ないが、損傷状態を見ることができたのは大きな前進」と、成果を認める一方、「線量の高さが調査を阻んでいる。緊急時に備え原子力規制庁職員の被ばく管理も改めて考える必要がある」などと述べた。
- 09 Jan 2020
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規制委、関西電力大飯1、2号機の廃止措置計画を認可
原子力規制委員会は12月11日の定例会合で、関西電力大飯発電所1、2号機(PWR、117.5万kW)の廃止措置計画の認可を決定した。同委では、2018年11月に認可申請を受けているが、透明性確保の観点から、廃止措置計画についても新規制基準への適合性と同様に公開会合で審査を行うこととなり、本件に関しては同年12月より計5回の会合で事業者から説明を求めるなどした。審査結果では、廃止措置工事が運転中の同3、4号機に影響を及ぼさないよう定められた社内標準・体制などを確認したとしている。大飯1、2号機とも、廃止措置は、「解体準備」(第1段階)、「原子炉周辺設備解体撤去」(第2段階)、「原子炉領域解体撤去」(第3段階)、「建屋等解体撤去」(第4段階)の区分で並行して進められ、2048年度に完了する予定。今回、全工程中、第1段階について審査が申請され認可となった。なお、1、2号機に貯蔵されている新燃料および使用済み燃料のうち、使用可能なものは3、4号機で使用することとなっている。
- 11 Dec 2019
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規制委が中国電力・清水社長らと意見交換
原子力規制委員会は11月28日の臨時会議で、中国電力の清水希茂社長らと意見交換を行った。同委が原子力事業者の経営トップを順次招き実施しているもの。清水社長は、島根原子力発電所の安全性向上に向けて実施している「リスク情報等の活用」、「自然災害への対応」、「原子力防災」、「技術力の維持・向上」、「広報活動」などの取組状況を説明。その中で、11月8~10日に実施された政府主催の原子力総合防災訓練の概要を報告し、得られた課題や改善事項については、今後、自社主催で実施する訓練へも反映させ、検証していくとした。これに対し、地震・津波関連の審査を担当する石渡明委員は、先の総合防災訓練で地震に伴う津波発生が想定されていなかったことから、「是非色々な厳しい気象条件を想定した訓練に努めて欲しい」として、自然災害に対する感受性を高めていくよう要望。また、山中伸介委員は、島根3号機で新検査制度導入に備えた検査官の実務訓練が実施されたことへの謝意を表した。さらに、現在、島根1、2、3号機がそれぞれ廃止措置中、新規制基準適合性に係る審査中、建設中と、異なる段階にあることに関し、「人材育成には非常によい環境となっており、是非活用して現場力を養って欲しい」と期待を寄せた。現在島根2号機は審査が大詰めとなっているが、更田豊志委員長は、審査における事業者側との「共通理解」の重要性を改めて強調した上で、同委が随時実施している原子力部門責任者との意見交換(CNO会議)など、技術的課題について実務者レベルでの接点を密にする必要性を述べた。
- 29 Nov 2019
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規制委、女川2号機が新規制基準に「適合」との「審査書案」まとめ
原子力規制委員会は11月27日、東北電力女川原子力発電所2号機(BWR、82.5万kW)について、新規制基準に「適合している」とした「審査書案」を取りまとめた。今後、原子力委員会と経済産業相への意見照会、一般からの意見募集を経て正式決定となる運び。同機は2013年12月に審査が申請され、規制委員会では、女川原子力発電所が過去に大地震を経験してきた地理的特性を踏まえ、特に地質・地震動評価や耐震設計について慎重な審査を行ってきた。 同発電所は、2011年3月の東北地方太平洋沖地震の震源地に最も近い原子力発電所で、発災時には最高水位13mの大津波が押し寄せたが、建設段階から津波対策を重要課題として、敷地高さを海抜14.8mに設計していたことなど、緊急時対策の積み重ねにより、重大事故には至らなかった。 現在東北電力では、さらなる安全性向上を目指し、基準津波評価に対し十分な裕度を持つ海抜29mまでの防潮堤かさ上げ工事を進めている。新規制基準や最新知見を踏まえ実施している女川原子力発電所の安全性向上対策は2020年度に完了予定(特定重大事故等対処施設、常設直流電源設備を除く)。2019年3月の定例社長会見によると、同2号機の安全対策工事費は3,400億円程度となっている。
- 27 Nov 2019
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規制委が福島第一事故の調査・分析再開へ、現場の環境改善踏まえ
原子力規制委員会は9月4日の定例会合で、福島第一原子力発電所事故に関する調査・分析を再開する方向性を示した。2020年内の中間報告書(第2次)取りまとめを目指す。同委では、福島第一原子力発電所事故に関し、東京電力による廃炉に向けた取組を監視・評価する検討会を概ね月1回の頻度で開催しているが、事故の調査・分析を行う検討会は2014年の中間報告書取りまとめ以降開かれていない。中間報告書では、国会事故調報告書で未解明問題とされた7項目の個別課題に関する検討結果を取りまとめているが、高線量などのため現地調査に着手できない事項もあったことから、廃炉作業の進捗や新たに解明された事実も踏まえ、引き続き長期的な検討が必要であるとしている。4日の規制委員会会合では、今後の事故調査・分析に向けて、「現場の環境改善や廃炉作業の進捗により、原子炉建屋内部などへのアクセス性が向上し、必要な試料の採取や施設の状態確認が可能となってきた」などと、事故分析を再開できる段階に至ったとの見方が示された。その上で、事故分析の再開に際し、施設の状態や機器内付着物など、必要な現場状況が廃炉作業の進捗に伴い変貌・喪失する可能性もあることから、資源エネルギー庁や東京電力他、関係機関を交えた公開の連絡調整会議を設け、作業計画に係る情報共有やスケジュール調整を図りながら進めていくとしている。今後の事故分析の対象範囲に関して、8月下旬に原子力規制庁職員が福島第一2号機の原子炉建屋内の現地調査を行っている。会合終了後の記者会見で、更田豊志委員長は、同建屋内の「耐圧強化ベントライン/ラプチャーディスク」と呼ばれる部位の作動状況に関し、1992年の通商産業省(当時)要請「アクシデントマネジメント」を受けた事業者の自主的取組として整備されたことを振り返り、「着実に施工がなされていたのか、きちんと検証したい」と、予断を持たずに調査に臨む考えを強調した。
- 05 Sep 2019
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