IAEAと東海大学との共催による研修コース「IAEA国際スクール 原子力・放射線安全リーダーシップ」が2月20日~3月3日、同学湘南キャンパス(神奈川県平塚市)を中心に行われた。IAEAと東海大学が2018年度に締結した原子力安全教育分野における協力協定に基づくもので、2020年の日本での初開催以来、対面で行われるのは3年ぶり。同スクールは、IAEA標準の「GSR-Part2」に基づき、原子力安全のためのリーダーシップとマネージメントに関する能力開発を目的としている。今回、日本原子力研究開発機構、日本原子力産業協会の支援を得て参加者を募り、日本およびアジア諸国(マレーシア、ベトナム、バングラデシュ、フィリピン)から34名が受講した。同スクールは、原子力・放射線利用に関わる若手・中堅の研究者、技術者を対象に、授業形式の講義ではなく、グループワーク、ケーススタディ、ゲーム形式の演習など、ロールプレイ体験(例えば、原子力発電所の定期検査におけるスケジュール管理と保全活動遂行の葛藤といった場面を想定)を通じ、原子力安全のためのリーダーシップ能力を養うのが特長。今回の研修でも、実際、現場で遭遇し得る場面での「登場人物」の振る舞いや意思決定のプロセスをリーダーシップの観点から検証。指導に当たった東海大学工学部・若杉圭一郎教授は、「参加者は事故に至る複雑な状況や原子力分野で直面しそうな立場や役割を疑似体験し、改善を試みることで、より深いレベルで理解することができた」などと評価している、スクール参加者は3月2~3日に福島県を訪れ、東京電力廃炉資料館や原子力機構の楢葉遠隔技術開発センターなどを見学。閉会式(於:いわきワシントンホテル)では、参加者全員に「卒業証書」が授与された。参加者の一人、フィリピン原子力研究所スタッフでフィリピン大学大学院にも在学するジェナ・サプレインさんは、「特に印象に残ったのは、リーダーとは役職ではなく誰もがなれる資質があるということだった。心を落ち着かせ、異なる意見を受け入れながら議論すれば、周囲との信頼関係を得られる。今後の仕事に活かしていきたい」と話している。東海大学では、これまでも経済産業省と文部科学省との共同事業「原子力発電分野の高度人材育成プログラム」(GIANTプログラム、2008~12年)や国際原子力開発(JINED)との協力によるベトナムの発電所幹部候補生を対象とした人材育成プログラム(2012~18年)を実施するなど、原子力分野の人材育成に力を入れてきた。海外から来日した研修生には、専門教育や現場体験だけでなく、日本語や日本の文化・風習の理解に係るカリキュラムも設けてきた。
10 Mar 2023
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会見を行う原子力規制委員会・山中委員長(インターネット中継)原子力規制委員会の山中伸介委員長は3月8日の定例記者会見で、同日の定例会合で議題となった東京電力柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案を受け同社に対し実施している追加検査に関し、「5月初旬から中旬を目途に報告書の議論に入る」との見通しを示した。核物質防護機能の一部喪失などの事案発生を受け、規制委員会は2021年3月に柏崎刈羽原子力発電所の規制上の対応区分を「第4区分」(事業者が行う安全活動に長期間にわたる、または重大な劣化がある状態)に変更。同4月、東京電力に対し、規制上の対応区分が「第1区分」(事業者の自律的な改善が見込める状態)に改善するまで、事実上、運転が不可能となる是正措置命令を発出。合わせて追加検査を開始した。現地には、昨年末以降、2023年2月までに、山中委員長他、4名の委員が視察に訪れており、3月3日には原子力規制庁の柏崎刈羽原子力発電所追加検査チームが小早川智明社長へのヒアリングを行っている。会見で、山中委員長は、命令解除の可否に関し「公開の場で結論を出したい」と明言。検査で確認された課題として、ハード面では検知器の問題、ソフト面では協力会社も含めた気付き事項の取り上げや「改善措置を一過性にしない」仕組みが不十分なことを指摘し、現時点での命令解除は「なかなか難しい」との見通しを示した。追加検査は計3,300時間に及んでいるが、現在、関連法案が国会で審議中の「事業者が予見しがたい事由による停止期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外」とする規定の適用に関して問われたのに対し、山中委員長は「資源エネルギー庁が判断すること」と応えるに留めた。
08 Mar 2023
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経済産業省と日本原子力産業協会は3月6日、国内原子力企業による海外展開や事業承継・人材育成支援など、原子力サプライチェーンの維持・強化策を議論するシンポジウムを都内で開催した。2022年12月末に資源エネルギー庁が提示した「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」で原子力サプライチェーンの維持・強化が重要な柱の一つとなっており、今回のシンポジウムで経産省は、原子力関連企業を支援する枠組み「原子力サプライチェーンプラットフォーム」の設立を発表した。開会挨拶に立った西村康稔経産相は、「地球規模の課題解決に向けて、今ほど原子力に注目が集まっているときはない」と、シンポジウムの開催意義を強調。日本の原子力産業に関し「半世紀以上にわたる卓越した技術・人材の蓄積がある」と評価するとともに、1月の米国エネルギー省(DOE)・ジェニファー・グランホルム長官との会談における日米間の原子力サプライチェーン構築に向けた議論にも言及し、「経済安全保障の観点からもサプライチェーンの維持・強化は喫緊の課題」と明言。新たな枠組み「原子力サプライチェーンプラットフォーム」を通じた取組を積極的に支援していく姿勢を示した。また、海外からのビデオメッセージで、IEAのファティ・ビロル事務局長は、昨今の世界的なエネルギー危機を懸念。IEAが昨夏発表した原子力の有用性を説く勧告を多くの国が実行していることに触れ、「世界が原子力にカムバックしている」と述べた。IAEAのラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、IAEAが昨秋発表した世界の原子力発電規模の高位予測から、「今後30年以内に600G((ギガ:10の9乗))Wの新規原子力開発が見込まれる」と説明。「計装機器、ギアなど、専門知識を有するサプライヤの役割」に期待する一方、「世界のあらゆる産業がサプライチェーンの課題に直面している」と懸念。サプライチェーンの維持に向け、国境を越えた議論の必要性を指摘するとともに、日本に対して、「高度なものづくり技術や研究開発基盤を多く有している」などと期待を寄せた。世界原子力協会(WNA)のサマ・ビルバオ・イ・レオン事務局長は、同じくビデオメッセージの中で、原子力サプライチェーンの維持・強化に向けて、オープンで透明性のあるビジネス環境の構築、事業の予見性向上、熱利用などの発電以外の用途への技術展開、いわゆる「セクターカップリング」の必要性を指摘した。ディスカッションで説明する原産協会・植竹明人常務理事国内における革新炉の開発状況については、三菱重工業が革新軽水炉「SRZ-1200」、日立GEが小型炉「BWRX-300」(米国GE日立と共同)の展望を紹介。日揮とIHIは、米国ニュースケール社の小型モジュール炉(SMR)開発への出資について説明した。ディスカッションでは、原産協会が海外とのビジネス交流や会員企業と海外企業とのマッチング事業について紹介。国内サプライヤとしてTVE(原子力向けバルブ)、日本ギア工業(バルブアクチュエータ)が品質保証、供給途絶対策(他企業への製造移管、製造技術の転換など)、技術継承に関する課題・取組状況を説明した。原産協会の新井史朗理事長は閉会挨拶の中で、現在、世界各国で検討されている新規建設プロジェクトに際し、「わが国の企業が海外プロジェクトに参画することで、その技術力の維持・強化を図るとともに、世界の原子力発電所の安全性向上にも寄与できる」と、強い期待を表明した。
08 Mar 2023
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原子力規制委員会は3月3日、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護に係る不適切事案に関し、同社・小早川智明社長へのヒアリングを行った。柏崎刈羽原子力発電所では、2020年以降、核物質防護機能の一部喪失などの事案が発生。規制委員会は、「組織的な管理機能が低下」、「核物質防護上、重大な事態になり得る状況であった」と指摘し、2021年3月に同所の規制上の対応区分を「第4区分」(事業者が行う安全活動に長期間にわたる、または重大な劣化がある状態)に変更。同4月、東京電力に対し、柏崎刈羽原子力発電所に係る規制上の対応区分が「第1区分」(事業者の自律的な改善が見込める状態)に改善するまで、事実上、運転が不可能となる是正措置命令を発出。合わせて同所に係る追加検査を開始した。豪雪の中、柏崎刈羽発電所を視察する原子力規制委員会・山中委員長(原子力規制委員会提供)現地には、昨年末以降、2023年2月までに、山中伸介委員長他、4名の委員が視察に訪れている。今回のヒアリングは、その追加検査の一環として行われたもの。原子力規制庁の柏崎刈羽原子力発電所追加検査チーム長・古金谷敏之氏(長官官房緊急事態対策監)らが東京電力(本社)を訪れ、同社による改善措置活動の状況について説明を受けた。冒頭、小早川社長は、「自ら現場を確認する」ことの重要性を強調。設備のパフォーマンス向上などの取組状況を述べた上、引き続き「社長である私の責任で着実に対応していく」姿勢を示した。ヒアリング終了後、取材に応じた古金谷氏は、東京電力との間の認識に関し「大きなズレはなかった」と、課題に対する取組・成果を認める一方、CAP((小さな気付きを広く収集し改善につなげる取組))の不十分さなど、まだ改善の余地があることを指摘。今回のヒアリングに関し「結論ありきのものではない」と述べ、追加検査の終了や是正措置命令解除に向けた具体的見通しについては言及しなかった。また、小早川社長は、「是正措置命令を受けてから2年間取り組んできた中身についてお話しした」と説明。柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関しては、「セキュリティとセイフティがしっかりと健全な状態になって初めて再稼働の時期について言及」する姿勢を示した上で、「スケジュールありきではなく、まずは改善」との考えを強調した。原子力規制庁の柏崎刈羽原子力発電所追加検査チームは3月6日、現地にて稲垣武之所長らからのヒアリングを行う。
06 Mar 2023
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日本原子力研究開発機構の研究グループはこのほど、全面マスク装着時、その機能を損なうことなく眼鏡をかけた状態でも作業ができる「全面マスク用マグネット固定方式眼鏡」を開発。同機構のMOX燃料製造技術開発施設における汚染検査作業での運用を開始するとともに、自衛消防班(核燃料サイクル工学研究所所属)にも配備した。今回開発された眼鏡は、理化学・保安用品を手がけるコクゴから3月1日より発売されている、〈原子力機構他発表資料は こちら〉眼鏡の各パーツ名称(パリミキホームページより引用)全面マスクは、その構造上、テンプルの付いた眼鏡をかけた状態で装着すると、顔面とマスクの間に隙間ができ気密性が損なわれることから、被ばく管理を要する原子力施設での作業者支障が生じるなどの懸念があった。実際、研究グループが実施した眼鏡(市販品)をかけた状態での全面マスクの漏れ率試験によると、かけていない状態に比べ、防護係数(呼吸用保護具の防護性能を表す指標)が大幅に低下することが示されている。そのため、研究グループでは、テンプルがなくマグネットにより固定できる方式を採用した眼鏡を開発した。視界を妨げない額などの位置に、全面マスクの外側と内側のそれぞれ、眼鏡を固定できるマグネットをマスク本体を挟む格好で取り付け、眼鏡を固定。マスク外側のマグネットを動かすことで内側のマグネットも動き、マスクを外すことなく眼鏡の位置を微調整することが可能な仕組みとなっている。レンズ、リム、ブリッジが一体型の構造で、誰でも簡単に確実な装着が可能だ。材質は落下などによる破損防止のため、プラスチック製を採用。度数は多くの人が使用できるよう、近眼用と老眼用で計7種類を用意している。「全面マスク用マグネット固定方式眼鏡」の適用分野に関し、研究グループでは、全面マスクの種類によらず汎用性が高いことから、原子力施設における安全対策への貢献のみならず、化学施設、医療施設、消防施設を有する防災機関でも利活用できると期待。一方で、磁力を用いることから、心臓ペースメーカー装用者への対応なども今後の課題として指摘している。
02 Mar 2023
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フランスで建設中のITER(国際熱核融合実験炉)に組み込む超伝導トロイダル磁場コイル(TFコイル)の日本分担分全8基の製作がこのほど完了した。量子科学技術研究開発機構(QST)が2月21日に発表したもの。QSTは2021年までに三菱重工業と共同でTFコイル4基を製作。今回、東芝エネルギーシステムズと共同で4基目を完成させ製作完了となった。〈QST他発表資料は こちら〉TFコイルは、ITERの主要機器の一つで、高さ約16.5m(5階建てビル相当)、幅約9m、重量約300トンのD字型の超伝導コイル。計18基が真空容器を取り囲むように放射状に並び、高温かつ高密度のプラズマを閉じ込めるため、最大12テスラの強力な磁場を発生させる。ITERに用いるTFコイルは計19基製作され、9基(予備1基を含む)を日本、10基を欧州とで分担。巨大さにもかかわらず、誤差1万分の1以下(数mm)の厳しい精度が要求される。今回のTFコイル製作完了を受け、QSTと東芝エネルギーシステムズは、「ITER計画における日本分担機器製作の着実な進展を示すとともに、同計画における日本の貢献が非常に大きいことを示すもの」としている。日本分担分のTFコイル初号機はQSTと三菱重工が製作。2020年1月に三菱重工二見工場(兵庫県明石市)で行われた同機の完成披露式典で、ITER機構長のベルナール・ビゴ氏(当時、2022年逝去)は、「日本は常にプロジェクトの中心となる貢献をしており、世界の核融合開発の牽引役だ」と、日本の技術力を賞賛した。〈関連記事は こちら〉ITERは2035年の核融合運転開始を目標にフランスのサン・ポール・レ・デュランスで建設中。日本製作のTFコイルのうち、7基は既に現地に輸送されている。2022年11月に行われたITER理事会によると、運転開始までの建設進捗率は77.5%(同9月末時点)となっている。
01 Mar 2023
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政府は2月28日、エネルギー関連の5つの法改正案を閣議決定。これらをまとめた束ね法案「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」(GX脱炭素電源法)として、今通常国会に提出された。GX脱炭素電源法のうち、原子力に関しては、原子力発電の利用に係る原則の明確化(原子力基本法)高経年化した原子炉に対する規制の厳格化(原子炉等規制法)原子力発電の運転期間に関する規律の整備(電気事業法)円滑かつ着実な廃炉の推進(再処理等拠出金法)――が柱となっている。原子力基本法の改正では、従前の条文に対し、目的、基本方針の中に、それぞれ「地球温暖化の防止」、「福島第一原子力発電所事故を防止できなかったことを真摯に反省」との文言が追加され、安全最優先、原子力利用の価値を明確化。さらに、廃炉・最終処分などのバックエンドプロセスの加速化、自主的安全性向上・防災対策に係る「国・事業者の責務」について、新たに条文立てされている。高経年化炉の規制については、関連法案の成立を前提として既に原子力規制委員会で技術的検討が開始されているが、事業者に対し、①運転開始から30年を超えて運転しようとする場合、10年以内ごとに、設備の劣化に関する技術的評価を行う、②その結果に基づき長期施設管理計画を作成し、規制委員会の認可を受ける――ことを義務付ける。運転期間については、原子炉等規制法から電気事業法に移され、これまで通り「運転期間は40年」、「延長期間は20年」の原則を維持。安定供給確保、GX(グリーントランスフォーメーション)への貢献、自主的安全性向上や防災対策の不断の改善につき、経済産業相の認可を受けた場合に限り延長を認め、「延長しようとする期間が20年を超える」場合は、事業者が予見しがたい事由(東日本大震災以降の安全規制に係る制度・運用の変更、司法判断など)に限定して運転期間のカウントから除外することで、実質的に60年超運転を可能とする。また、再処理等拠出金法では、経済産業省の認可法人「使用済燃料再処理機構」の業務に、「各地の廃炉作業の統括」を追加している。
28 Feb 2023
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原産協会の新井史朗理事長は2月24日、定例記者会見を行い、今後のGX(グリーントランスフォーメーション)関連法案の国会審議に向け期待を示した。新井理事長はまず、2月10日に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」を受け、「エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源として、再生可能エネルギーとともに原子力を最大限活用する方針が示されたことは意義深い」と改めて強調。40年プラス20年の運転期間制限を設けた上で、一定の停止期間に限り追加的な延長を認めることや、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組むとした同方針に関し、新井理事長は、「国民の理解を得るためにも審議を尽くして成案を得て欲しい」と要望するとともに、原子力産業界として「GX推進に向けて原子力を活用していくために、弛まぬ安全性向上に努め、安定運転の実績を積み重ね国民の皆様に信頼してもらえるよう引き続き取り組んでいく」と述べた。また、福島第一原子力発電所事故から間もなく12年を迎えることに際し、改めて被災した方々への見舞いおよび復興に係る方々への尽力・苦労に対する敬意・感謝の意を表明。2月7日に閣議決定された福島復興再生特別措置法改正案で新設の「特定帰還居住区域」(仮称)に関し、「住民の意向をきめ細かく反映したものとなり、先行して避難指示が解除された『特定復興再生拠点区域』((帰還困難区域のうち、市町村作成・国認定の計画に基づき居住を目指し除染やインフラ整備を推進する地域))と一体となって地域が復興することを期待する」と述べた。福島第一原子力発電所で発生するALPS処理水((トリチウム以外の核種について環境放出の規制基準を満たす水))に関しては、「情報をわかりやすく発信するとともに、中国、韓国、台湾の原子力産業協会と組織する『東アジア原子力フォーラム』などの枠組を通じて科学的根拠に基づく正しい情報提供に努めていく」とした。折しもロシアによるウクライナ侵攻開始から丁度1年を迎え、新井理事長は、ウクライナの原子力発電所の安全確保に向けたIAEAの取組を支持し、「原子力関連施設の安全を脅かすすべての行為に強く反対する」と強調。「ウクライナの原子力関連施設とそこで働く職員の安全が一日も早く確保されることを望む」と述べた。
27 Feb 2023
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原子力規制委員会は2月22日、「高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チーム」の初会合を行った。利用政策側(資源エネルギー庁)による運転期間見直しに向けた検討を踏まえ、同委では、昨秋からの議論の末、2月13日に高経年化炉に係る新たな安全規制の概要および関連の原子炉等規制法案を了承。運転開始後30年を超えて運転する場合、事業者に対し10年以内ごとに施設の劣化を管理するための「長期施設管理計画」の策定を義務付け、認可を受けなければ運転できないというもの。新制度の実施は関連法案の成立が前提だが、施行後の遅滞ない運用を図るべく同チームにおいて詳細な規則・ガイド類の整備に向け検討を行うこととなった。検討チームは、プラント審査を担当する杉山智之委員が中心となり、原子力規制庁職員らで構成。必要に応じ事業者からの意見聴取も行う。初会合の冒頭、杉山委員は、「新しい制度にスムーズに移行するため、何を決めなければいけないか。どのように高経年化したプラントの安全を確保していくかを議論していきたい」と、口火を切った。同チームの新制度に係る検討事項として、原子力規制庁は、基本的な枠組み新たな技術的検討(運転開始後60年以降の評価など)わかりやすい情報発信手法(1か月程度で概要をまとめる)――に大別。新制度においても、現行の劣化評価の技術的内容は運転開始後60年までは引き続き実施し、「40年+20年」の運転延長認可の際に実施されていた「特別点検」も同様に維持するとの原則を示した。いわゆる「設計の古さ」に関して、原子力規制庁原子力規制技監の市村知也氏は、これまでの新規制基準適合性に係る審査対応を振り返り、事業者によるシビアアクシデント対策、材料の改善などの事例をあげ、劣化管理との関連性やバックフィット(既に許認可を受けた施設が新知見に基づく規制要求に適合することを確認する)による対応可否を整理することを示唆。原子炉安全工学の立場から、杉山委員は、「着工後、相当な時間が経っているがまだ運転に至っていない炉は今でも『ゼロ歳』と扱われている」などと、「一旦設置許可を受けた炉は差し当たり40年間の運転は保証される」という考え方に疑問を呈し、運転されない間に進む劣化も重要な観点であることを指摘した。初会合には、杉山委員の他、田中知委員、伴信彦委員、石渡明委員が出席。自然ハザードに係る審査を担当する石渡委員は、海外における長期運転認可の状況に触れながら、サイト周辺の環境変化に関し「60年もたてば、洪水で川の流れが変わったり、田んぼの真ん中だったのが周りに家が建ち並んだり、ガラッと変わってくる」と述べ、今回の新制度設計における環境影響評価に係る観点の欠如を指摘した。検討チームでは今後、作業の進捗を見ながら、月2、3回程度のペースで会合を開く予定。
24 Feb 2023
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日本エネルギー経済研究所(エネ研)は2月21日、都内のホテルで、「原子力規制のベストプラクティス」をテーマにシンポジウムを開催「原子力規制のベストプラクティス」をテーマにシンポジウムを開催。OECD原子力機関(NEA)のW.マグウッド事務局長をはじめ、カナダ、英国の原子力規制専門家が登壇し、「合理的な規制」のあるべき姿について議論した。シンポジウムは対面式で開催され、多くの関係者が詰めかけた。マグウッド氏は、世界規模で原子力発電の新規導入が検討されている中で、最も重要なことは「スキルを備えた力強い規制当局」の存在だと強調。世界の規制分野で、優秀な規制人材の確保が課題となっていると述べた。そして規制当局の意思決定に関しては、透明性を持ちつつ “誰が見てもわかる明確な原則” を示すことで、信頼を得ることができるとし、規制者側にも「自らに対しても批判的である」よう求めた。また福島第一事故以降、日本の規制当局がとってきた対応を「緊急性の高い危機対応であり、妥当」と一定の評価をしつつも、「もはや危機は脱した」として、これまでの規制対応などのアプローチ自体を「見直す時期に来ている」と指摘。規制当局にはイノベーションを受け入れる姿勢が大切だとした上で、AI等の最新手法を貪欲に取り入れ、“reasonable(合理的)” かつ実用的な安全性向上へ取り組むべきだと訴えた。そして私見としながらも、規制当局の意思決定は、将来に渡ってリピートされる模範例となることが大事だとし、規制当局のグローバル規模での連携により、より良い規制が生まれるのではないかと、規制当局間のコミュニケーション強化を呼びかけた。CNSCの上席副長官兼最高規制業務責任者を務めるジャマル氏カナダ原子力安全委員会(CNSC)や米原子力規制委員会(U.S.NRC)の委員を歴任したR.ジャマル氏は、カナダでの規制事例を紹介。その規制手法は柔軟であり、常に原子力安全規制分野の変化に対応できるよう心掛けているとした。そして規制にあたって最も重要視すべきこととして、「合理的でないリスク防止策」を除外することを挙げた。これは、原子炉を停止してしまえば簡単にリスクは防止できるが、そうした安易な手法は取らず、さまざまなリスク情報を分析した上で対応するということで、こうした姿勢も、規制当局にそれだけの力量があってはじめて可能になると強調した。英国のR.キャンベル氏は、英原子力規制庁(ONR)等で30年以上のキャリアを積んだベテラン。今回が初来日となった。同氏は規制において「タイムスケールの透明性」が不可欠だと指摘。申請から認可までいかに迅速に結論を出せるかがカギであり、「法律や規則で決まっているものではないが、規制当局としてのサービスの一環として示す必要がある」と強調した。また、事業者と規制当局は常に対話を継続するべきだとした上で、規制当局は「外部からどのように見られているかを常に意識しなければならない」との認識を示した。モデレーターを務めたエネ研の村上朋子・研究主幹が質疑の中で、「規制プロセスとプラント利用率向上のバランス」について問い掛けたところ、3者とも「設備利用率は事業者の管轄であり、規制当局は関知しない」と断言。また「規制当局は電力供給の安定性も考慮すべきなのでは?」との会場からの声に対し、これも3者とも「規制当局は電力の供給に責任を持つものではない」との考えで一致した。ただし、「優れた規制当局は、どこで何が起きているかを把握しなければならない。場合によっては規制当局は、状況を踏まえて意思決定を行なうこともある。必ずしもプラントを今すぐ止めなければならない問題でなければ、当局も相応の対応が取れるはずだ」(マグウッド氏)、「国民のwell-being(幸福)のためという目標を忘れてはならず、graded approach(リスクに見合った規制)を適用すべきだ」(ジャマル氏)──等のコメントがあった。昨年ONRを退任したばかりのキャンベル氏一方、「合理的な規制とは?」との問いに関しては、マグウッド氏とジャマル氏が「安全目標に照らし合わせ、それを十分に達成した状態でプラントが稼働することが基本」と、バランスを取りながら合理性を判断するとしたのに対し、キャンベル氏は「合理性とは、余計なコストをかけないこと」と即答。規制当局としてはリスクが十分に低ければ、合理性の観点から十分にacceptable(受容可能)であり、わずかなリスクを下げるために過大なコストを投じることは馬鹿げていると指摘した。キャンベル氏は日本のプラントが置かれた状況にも言及。「再稼働を目指すというが、12年間の停止期間は非常識。これは全てイチからやり直すようなもので、人材が足りないだけでなく、数多くのトラブルが起きることが目に見えている。規制当局を納得させることは難しいだろう」と指摘した。その上で、そこまでして旧いプラントを再稼働させるよりも「最新知見を結集した新型炉にリプレースする方が、明らかに合理的」との考えを明らかにした。
24 Feb 2023
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「原子力人材育成ネットワーク」((産業界、大学・高専、行政機関、地方自治体等からなる原子力人材育成のプラットフォーム))の2022年度シンポジウムが2月14日、都内で開催された(日本原子力研究開発機構主催、オンライン併用)。1年間の活動成果を報告するとともに、原子力人材育成に資するデータ収集・分析など、3つのテーマを設け議論。次世代人材育成のテーマでは学校教科書の原子力や放射線に関わる記述についても取り上げられた。同ネットワークの運営委員長を務める原産協会の新井史朗理事長は、開会に際して挨拶。先に閣議決定された「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」の中、「エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源として、再生可能エネルギーとともに、原子力を最大限活用する」方針が示されたことに言及し、「原子力に関わる人材育成の課題解決に向けて、共通の思いを新たにしてもらい」と述べたほか、「機関横断的な活動の成果が一層実りあるものとなって欲しい」と、有意義な議論を期待した。原子力人材育成に資するデータ収集・分析に関し、日本原子力文化財団は、毎年実施している「原子力に関する世論調査」(全国15~79歳の男女対象)について紹介。直近の2021年度調査から、「若年層は他の年代より、今後の原子力発電の利用に対する肯定意見の割合が多い」との分析結果を示した。調査結果を説明する杉本純氏 ©︎Japan Nuclear Human Resource Development Networkまた、次世代人材育成のテーマでは、元京都大学教授で日本原子力学会教科書調査ワーキンググループ主査を務める杉本純氏が小中高校の教科書のエネルギー、環境、原子力、放射線に関わる記述の充実化に向けた調査結果を説明。同調査では、教科書改訂などの時宜をとらえ、対象学年・教科は調査年次により異なるが、1996年以降、これまでに17件の報告書を発表し、文部科学省、教科書出版会社などに提言を行ってきた。例えば、昨夏、報告書が発表された2022年度使用開始の高校教科書を対象とした調査は、地理歴史、公民、理科、保健体育、家庭、工業について、計11科目・72冊の教科書を対象に実施。新設された「公共」(公民の1科目)に関連し、社会系の教科について、再生可能エネルギーのメリット・デメリットや、エネルギー供給の安定性、安全性、環境への影響にも言及するよう提言。また、原子力エネルギー利用についての学びに関し、「考えるべき視点が様々かつ一教科の学びで完結しない」、「それゆえに、新学習指導要領が掲げる『主体的・対話的で深い学び』を展開できる」とした上で、調べ学習、ディベート、観察・実験を採り入れるなど、教科横断的な関連を理解させる工夫を要望している。杉本氏は、同WGの報告書がメディアで取り上げられた事例も紹介。今後の活動として、「現場の先生方、教科書会社で執筆している担当者と直接の意見交換も行いたい」などと述べた。
22 Feb 2023
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開会挨拶に立つATENA・魚住理事長原子力エネルギー協議会(ATENA)は2月16日、「ATENAフォーラム2023」を都内ホールで(オンライン併用)開催した。ATENAは2018年7月、電力会社に加えメーカーなども含む産業界全体で原子力の自主的安全性向上を図る組織として発足。知見・リソースを効果的に活用しながら、原子力発電の安全性に関する共通的な技術課題に取り組んでいる。ATENAの取組について発信するフォーラムの開催は今回で5回目となる。来賓挨拶に立つ原子力規制委員会・山中委員長来賓挨拶に立った原子力規制委員会の山中伸介委員長は、ATENAの取組に関し「個別事業者としては言い得ないような意見を拾い上げ、原子力規制委員会・規制庁に対する異論・反論も含めた事業者の意見・提言の発信がより強く期待できる」と、その意義を強調。一例として、事故耐性燃料の導入に向けた事業者との技術的議論の進展などに言及した上で、今後も原子力発電所の長期サイクル運転におけるリスク情報の活用など、技術課題に係る様々な提案が寄せられるよう、ATENAのリーダーシップ発揮に期待した。また、昨今の原子力施設におけるトラブル多発を背景に、「技術力・現場力の低下が生じているのではないか。大学などにおいても原子力を学ぶ学生数が減少し、実験装置を自ら作成するという体験が少なくなっている」として、将来の原子力人材育成に向け真剣に考えるべきと明言。ATENAに対し、「メーカーも含む」という強みに触れ、「これまでの発想とはまったく異なった若手人材の育成に取り組んで欲しい」と述べた。講演を行う米NEI・コースニック理事長続いて基調講演(ビデオメッセージ)を行ったM.コースニック米国原子力エネルギー協会(NEI)理事長兼CEOはまず、昨今の世界的なエネルギー危機・政情不安に言及。その上で、「各国の指導者たちは今、気候危機への対応が自国の経済やエネルギー安全保障に直結していることを認識している。その多くは、出力の大規模化が容易で信頼性が高く、安価でクリーンなエネルギー源として原子力を推進する明確な政策を打ち出している」と述べ、英国、フランス、カナダ、ポーランド、オランダ、ブルガリア、チェコにおける最近の原子力開発に向けた動きを紹介した。同氏は、米国の原子力推進に係る法案提出状況にも触れ、「10年前は州レベルで12本もあれば良い方だったが、最近では100本以上にも上っている」と、関心の高まりを強調。運転期間の見直しや次世代革新炉の開発・建設など、日本の原子力政策の動きに関しては、「強固なサプライチェーンと経験豊富な人材が必要」と指摘するとともに、「『今こそ原子力に全力投球すべき』ことは明らか」と述べ、NEIとATENAとのパートナーシップを強めていく姿勢を示した。パネルディスカッションの模様(スクリーン上はアポストラキス氏)パネルディスカッションでは、山口彰氏(原子力安全研究協会理事、モデレーター)、ジョージ・アポストラキス氏(電力中央研究所原子力リスク研究センター所長)、金城慎司氏(原子力規制庁原子力規制企画課長)、水田仁氏(関西電力原子力事業本部長代理)、山本章夫氏(名古屋大学工学部教授)、富岡義博氏(ATENA理事)が登壇。安全性と経済性の両立を巡るリスクコミュニケーションツールの活用、産業界と規制当局との対話などをテーマに意見が交わされた。※写真は、いずれもオンライン中継より撮影。
21 Feb 2023
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資源エネルギー庁は2月10日、高レベル放射性廃棄物の処分地選定を巡る取組について考えるシンポジウム「わたしたちの子どものための街づくり~地層処分問題と共創する未来~」を都内で開催。石川和男氏(政策アナリスト)による進行のもと、野波寛氏(関西大学社会学部教授)の他、この問題に関心を持つ若手として、トリンドル玲奈さん(モデル・女優)、大空幸星さん(NPO法人あなたのいばしょ理事長)、中野愛理さん(ミライブプロジェクト代表、武蔵野大学〈学生〉)が登壇しパネルディスカッションに臨んだ。挨拶に立つ西村経産相冒頭、挨拶に立った西村康稔経済産業相は、最終処分について、「原子力発電所から発生した使用済燃料が既に存在する以上、世界的に解決しなければならない共通の課題」との認識を改めて示した。処分地選定に向けた文献調査が北海道の寿都町・神恵内村のみで行われていることに関し、「NIMBY」(Not in My Back Yard、必要なのはわかるが自分の家の裏庭には作らないで欲しい)の意識が根底にあることに触れ、「決して特定の地域の問題にしてはならない」と、全国レベルで考える必要性を強調。折しも、同日、最終処分関係閣僚会議で、高レベル放射性廃棄物などの最終処分に係る基本方針の改定案が取りまとめられたが、西村経産相は、「文献調査の実施地域を全国に拡大していくことが大事」と、引き続き取組を強化していく考えを述べた。講演を行う片岡・寿都町長ディスカッションに先立ち寿都町の片岡春雄町長、神恵内村の高橋昌幸村長が基調講演。両首長とも、人口減少に伴う地域の将来に対する不安から文献調査応募に至った経緯を説明。その上で、それぞれ、「文献調査に応募する第3、第4の自治体が1日も早く出てくることを期待」、「身近な問題としてとらえ、多くの方々が正しい情報を共有し発信してもらいたい」と述べ、地層処分問題に関し、特に若い世代の関心が高まることを期待した。ディスカッションを進める石川氏続いて、「あなたの住む街に処分場が来たらどうする?」をテーマにパネルディスカッション。高レベル放射性廃棄物問題の認知度の低さに関して、エネルギー問題などをテーマに全国の学生と交流を行っている中野さんは「地層処分についてもともと知っていたという人は本当に少ない」と強調。虐待・DVなどに係る支援活動に取り組む大空氏も「『気候変動問題に何かアクションを取ろう』と考えている層にも届いていない」と、社会問題の中でも殊に関心が低いことを述べ、まず若手を中心に無関心層から訴えかけ話し合ってもらう必要性を指摘。また、長期にわたる処分事業に係るイデオロギーの問題に関して、野波氏は社会学の立場から、「『遠くにいて見えない被害者がいる』ことに気付かない典型」などと述べ、学校の道徳教科書でも取り上げ理解を深めることを提案。石川氏がこうした「次の世代にツケが回される問題」について問うと、大空氏は「今作られた橋や道路は100年後には直す必要が生じている」などと、社会構造上、高レベル放射性廃棄物に特化するものではないことを指摘した。六ヶ所村や柏崎市・刈羽村他への訪問経験から、中野さんは、原子力関連施設を立地する地域の想いに関して、「自分たちの手でまちづくりを行う姿に感銘を受けた」などと所感を述べた。福島の復興イベントにも参加してきたトリンドルさんは、「まずは知ってもらうことが大事」と強調。さらに、意思決定のプロセスに関して、「自分が不安に思うことを表に出さないようにしているのでは」との懸念を示し、「色々な立場・世代を越え対話することが必要」と、幅広いコミュニケーションの重要性を訴えかけた。※写真は、いずれもオンライン中継より撮影。
17 Feb 2023
2091
原子力規制委員会は2月15日の定例会合で、高経年化した原子力発電プラントの安全規制に関する検討チームの設置を決定した。同委では昨秋より、資源エネルギー庁による運転期間見直しに係る検討を見据え、高経年化プラントの安全規制に関する新たな制度設計を議論。去る2月13日の臨時会合で、新制度の概要および関連法改正案について決定した。新制度は、運転期間の規定にかかわらず、運転開始から30年を超える際、事業者に対し、10年以内ごとに、安全上重要な機器類の劣化を管理するための「長期施設管理計画」(仮称)の策定を義務付け、認可を受けなければ運転延長できないというもの。一方、資源エネルギー庁では昨年末、「現行制度と同様に、運転期間は40年、延長を認める期間は20年との制限を設けた上で、一定の停止期間(東日本大震災以降の法制度の変更など、事業者が予見しがたい事由によるもの)に限り、追加的な延長を認める」(いわゆる「時計を止める」)との方向性を示している。規制委員会が新設する検討チームは、プラント審査を担当する杉山智之委員を中心に、原子力規制庁の職員らで構成。具体的な検討スケジュールについては示されていないが、原則、一般公開のもと、事業者からのヒアリングも行いながら議論していく。15日の会合後の記者会見で、山中伸介委員長は、同検討チームの始動に当たり、「まずは劣化とはどのような物理的性質が重要なのかをきちんと整理し、運転期間にかかわらず、今までに取得されてきたデータ・評価手法がどのようなもので、何をどこまで評価すべきか、チーム内で共通認識を持つ」と強調。わかりやすい情報発信に努めていく考えも述べた。山中委員長は核燃料工学が専門だが、運転開始から60年以降の評価に関し、「個人の意見」として、「運転開始50年と60年でそれほど物理的特性が大きく変わるものではない」との見方を示した上で、関連法案の成立までにある程度の技術的大枠を固める考えを述べた。13日の会合で自然ハザードに係る審査担当の石渡明委員は、運転期間に関する規制委員会の見解を巡り、新制度および関連法改正案の決定に反対。続く15日の会合でも、検討チームの設置について、「必要あれば参加する」としたものの反対を表明した。山中委員長は、今後の技術的議論の中で、引き続き石渡委員に新制度に対する理解を求めていくとしている。
16 Feb 2023
1692
原子力委員会は2月14日、「原子力利用に関する基本的考え方」の改定案を取りまとめた。2017年の策定から5年ぶり。国に対し「総合的な視点に立ち、原子力エネルギーの利用のために必要な措置を講ずるべき」と提言している。同委による基本的考え方は2017年、「今後の原子力政策について政府として長期的な方向性を示唆する羅針盤となるもの」として閣議決定。5年を目途に見直すこととされており、2022年の初頭より、関係行政機関や有識者からのヒアリングなどを実施し、改定に向けて検討を進めてきた。改定案については、昨年末より1か月間のパブリックコメントを実施し、14日の定例会合で寄せられた意見を集約。近く原子力委員会として成案を正式決定し、閣議決定となる見通し。今回の改定案では、前回策定からの情勢変化として、カーボンニュートラルに向けた世界的な動きの加速化、電力安定供給を巡る状況変化、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う地政学リスクの深刻化、エネルギー安全保障に係る懸念を列記。加えて、原子力の積極的活用を表明する海外の動き、既存の原子力発電所の運転延長、新たな安全メカニズムを組み込んだ革新炉の新設などから、原子力利用に対し注目が集まっていることも述べている。その上で、「原子力利用の基本目標およびその重点的取組」(計9項目)として、「エネルギー安定供給やカーボンニュートラルに資する安全な原子力エネルギー利用を目指す」ことをあげた。先般、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の同時実現に向け閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」の中で「原子力の活用」として示された運転期間の延長については、「『運転期間は40年、延長を認める期間は20年』との制限を設けた上で、原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めることとすべき」と明記。また、革新炉の開発・建設に向けた取組としては、革新軽水炉について、「他の革新炉よりも技術的に成熟し、既存の軽水炉の経験が活かしやすいため、比較的早い段階での市場展開が見込める」と期待。今後の革新炉導入に向けては、新たな安全技術の実証、投資に向けた事業環境整備、炉型を踏まえた適切な段階での規制整備、国内サプライチェーンの維持・強化などの課題を指摘している。この他、重点的取組としてあげた「放射線・ラジオアイソトープの利用の展開」の中で、医療用RIの国産化、核医学治療の普及に向け、2022年5月に原子力委員会が策定したアクションプランにも言及し、関係省庁、研究機関・大学、企業などが連携して取り組む必要性を強調。「原子力利用の基盤となる人材育成の強化」では、原子力分野のジェンダーバランス改善、原子力・放射線に係る次世代教育の充実化の重要性も述べている。*理事長メッセージ(2022年6月7日に行われたヒアリングでの発言内容)は こちら をご覧ください。
15 Feb 2023
2030
原子力規制委員会は2月13日に臨時会合を行い、高経年化した原子力発電プラントに関する安全規制について新たな制度案を取りまとめた。資源エネルギー庁において運転期間見直しの検討が進められていることを踏まえ、昨秋より議論してきたもの。運転期間の規定にかかわらず、運転開始から30年を超える際、事業者に対し、10年以内ごとに、安全上重要な機器類の劣化を管理するための「長期施設管理計画」(仮称)の策定を義務付け、認可を受けなければ運転できないという仕組み。〈規制委発表資料は こちら〉総合資源エネルギー調査会では昨年末、「現行制度と同様に、運転期間は40年、延長を認める期間は20年との制限を設けた上で、一定の停止期間(東日本大震災発生後の法制度の変更など、事業者が予見しがたい事由によるもの)に限り、追加的な延長を認める」(いわゆる、審査期間中は「時計を止める」)との方向性を示しており、2月10日閣議決定の「GX実現に向けた基本方針」にも盛り込まれている。今回の規制委による新制度案取りまとめにより、運転期間見直しに係る利用政策側と規制側、双方の考え方が出そろい、今後、2月下旬にも関連法案が閣議決定される見通し。規制委員会では、12月22日より新たな制度案に対するパブリックコメントを実施。去る2月8日の定例会合で約1,700件寄せられた提出意見に対する考え方を整理した上で、決定が諮られたが、石渡明委員の反対により継続審議となった。13日の臨時会合では、関連法改正案の条文も合わせて再度決定が諮られたが、同委員は運転期間のあり方に関して「規制委員会が意見を述べる事柄ではない」ことを明記した委員会見解(2020年7月)の決定プロセスに係る疑義などを主張し反対。他4名の委員長・委員による賛成多数で決定となった。石渡委員は、審査の長期化に伴う機器類の劣化進展や事業者との対応における公正さ維持に懸念を示したほか、運転開始から60年以降の規制に係る方針が不明確なことも指摘。今回、新制度案の取りまとめに際し事業者との意見交換を主導した杉山智之委員は、「規制の全体像に対する整理・説明が足りなかった」と、議論の進め方の拙速さを内省。原子炉安全工学専門でプラント審査を担当する立場から、今後、詳細な技術基準の策定を着実に進めていくとともに、審査期間の引き延ばしなど、審査の公正さに対する支障をきたさぬよう厳正な姿勢で臨む考えを示した。山中伸介委員長は、「運転期間がどうあれ、われわれの任務は安全規制をしっかり行っていくこと」と述べ、個々のプラントごとに厳正な技術的判断を行う規制委員会としての姿勢を改めて強調。運転開始から60年以降の規制に関しては、「今後、10年ごとの審査で精度を上げていく」とし、必要な物理的データの取得・評価で担保できるとの考えを示した。会合終了後の記者会見で、新制度案について、地質学が専門で自然ハザードに係る審査を担当している石渡委員の賛同が得られなかったことについては、「分野の違いが原因ではない」と明言。引き続き同委員に対し理解を求めていくとした。また、「運転期間は安全規制ではない」との考えを強調。今回、示された関連法改正案で、40年の運転期間および延長認可に関しては、原子炉等規制法から電気事業法(経済産業相の認可事項)に移管されている。
14 Feb 2023
2449
政府は2月10日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定した。2022年2月以降のウクライナ情勢に伴いエネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となっている中、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するべく、昨夏より「GX実行会議」や各省における審議会などで議論されてきたもの。今通常国会に関連法案が提出される運びだが、松野博一官房長官は同日の記者会見で、「今後10年間で150兆円を超える官民協調でのGX投資を実現する」と述べ、必要な予算措置・法整備に向け、国会での前向きな議論に期待を寄せた。同基本方針では、エネルギー安定供給の確保に向け、徹底した省エネルギーの推進再生可能エネルギーの主力電源化原子力の活用など――があげられている。昨年末から1か月間行われたパブリックコメントでは、3,000件を超す意見が寄せられた。当初の案文から、原子力に関しては「エネルギー基本計画を踏まえて活用」と修正がなされたほか、次世代革新炉への建て替えについて、廃炉を決定したサイトにおける「敷地内で」との文言が追記されている。原子力政策に係る一連の法案についても、2月下旬に国会提出となる見込み。同日は、最終処分関係閣僚会議も行われ、高レベル放射性廃棄物などの最終処分に関する基本方針の改定(案)が示され、パブリックコメントに付すこととなった。処分地選定に向けて、現在、北海道の寿都町・神恵内村のみで行われている文献調査の実施地域拡大を目指すことなどが盛り込まれている。松野官房長官は、「原子力に対する国民の大きな懸念の一つである『最終処分場が決まっていないこと』をしっかり認識した上で、政府が一丸となり責任を持って最終処分に向けて取り組んでいく」と、原子力のバックエンドに係る問題意識を改めて述べ、取組の具体化を図っていく考えを強調した。これを受け、原子力発電環境整備機構(NUMO)の近藤駿介理事長は、北海道両町村への謝意を表した上、さらに複数の自治体で文献調査が受け入れられるよう取組を強化していくとのコメントを発表した。*理事長メッセージは こちら をご覧ください。
10 Feb 2023
3240
黒﨑健氏©京都大学日本原子力学会では、政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」における原子力政策検討の動きをとらえ、次世代革新炉の開発・建設に関する専門的議論や報道関係者との対話を強化している。同学会の社会・環境部会では1月13日、総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループで座長を務めている黒﨑健氏(京都大学複合原子力科学研究所教授)を招き、マスメディアとの交流会を開催し意見交換を行った。黒﨑氏はまず、昨今の原子力開発を巡る国際動向を俯瞰。中国・ロシアにおける躍進ぶりをあげる一方、日本については、福島第一原子力発電所事故以降、新規建設の具体的プロジェクトが途絶したことによる「技術力の低下」を第一の問題点として指摘した。サプライチェーン脆弱化の課題にも触れ、同氏は、次世代革新炉開発検討の背景として、発電以外の利用も含めた「原子力の新しい価値の創造」を強調。2022年10~12月に開催された革新炉WG会合の議論について紹介した上で、次世代革新炉の開発・建設に係わる事業実現に向けて、「ニーズがありユーザーが現れること」を前提に、採算の見通し、規制の確立の必要性を指摘した。黒﨑氏は、その中で特に、採算見通しのための仕組みとして、EUタクソノミー((持続可能な経済活動を明示し、その活動が満たすべき条件をEU共通の規則として定めるもので、2022年2月に原子力を含めることに関する規則が採択された))、英国のRABモデル((規制当局が認可した投資を規制料金を通じて回収する仕組みで、英国では下水道や空港建設で実績がある))などを例示。「脱炭素の取組に原子力を盛り込むことが一つのポイントとなる」と述べた。昨年末に総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会が取りまとめた「今後の原子力政策の方向性と実現に向けたアクションプラン」(案)では、次世代革新炉の開発・建設に向けた方針として、「廃止決定した炉の次世代革新炉への建て替え」と記載されている。こうしたリプレースの考え方に関して、黒﨑氏は、使用済燃料中間貯蔵施設の地元受入れも難航している現状に触れ、「立地問題は非常に重要だが、まだ突っ込んだ議論がされている段階ではない」などとした。また、高速炉に関しては、燃料に係る専門的立場から廃棄物の有害度低減技術を実用化する困難さを指摘。さらに、技術継承の視点からも「今がスタートするギリギリの時。後5年経過すると無理ではないか」と繰り返し強調し、次世代革新炉開発全般を通じ人材確保への危機感をあらわにした。原子力学会の原子力安全部会では昨秋、次世代革新炉の規制に関するセミナーも開催している。
08 Feb 2023
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政府は2月7日、福島の復興促進に向け、「特定帰還居住区域」(仮称)設定の制度創設を含む福島復興再生特別措置法の改正案を閣議決定した。〈復興庁発表資料は こちら〉2017年の同法改正により、帰還困難区域内に市町村長が住民・移住者の生活・地域経済再建の拠点となる「特定復興再生拠点区域」を設定できる制度が創設され、除染・インフラ整備などの一体的・効率的実施などにより、避難指示が一部解除されてきた。一方で、同拠点区域外の帰還困難区域では、避難指示解除の具体的な方針が示されておらず、住民が帰還を望みながらも依然として避難生活を余儀なくされている状況にある。政府では、2021年に「2020年代をかけて拠点区域外に帰還意向のある住民が帰還できる」よう、必要な箇所の除染を進めるという方針を決定した。今回、その方針を実施すべく、「特定復興再生拠点区域」外の帰還困難区域においても、避難指示解除による住民の帰還および帰還後の生活再建を目指す「特定帰還居住区域」を市町村長が設定できる制度を創設することとした。「特定帰還居住区域」は、帰還住民の日常生活に必要な宅地、道路、集会所、墓地などを含む範囲で、放射線量を一定基準以下に低減できる一体的な日常生活圏を構成しており、事故前の住居で生活の再建を図ることができる計画的かつ効率的な公共施設等の整備ができる「特定復興再生拠点区域」と一体的に復興再生できる――という要件で設定。市町村長が「特定帰還居住区域」の設定範囲、公共施設整備などの事項を含む「特定帰還居住区域復興再生計画」(仮称)を作成し国が認定する。認定を受けた計画に基づき、除染・インフラ整備の費用負担や代行などに関し国による特例措置の適用が図られることとなる。同制度の運用により、帰還困難区域における避難指示解除に向けた取組を着実に進め、帰還意向のある住民の帰還の実現、居住人口の回復を通じた自治体全体の復興を後押ししていく。
07 Feb 2023
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岸田文雄首相は2月2日夕刻、ミクロネシアのデイビッド・W・パニュエロ大統領と総理官邸で会談。両国間の協力関係のさらなる発展に向けたコミットメントを確認する中で、福島第一原子力発電所で発生するALPS処理水((トリチウム以外の核種について環境放出の規制基準を満たす水))の取扱いについても話し合った。〈外務省発表資料は こちら〉岸田首相は、「ALPS処理水の海洋放出は、環境および人の健康に害がないことを確保した上で実施されること、日本は引き続きIAEAのレビューを受けつつ、太平洋島しょ国・地域に対し、高い透明性をもって科学的根拠に基づく説明を誠実に行っていくこと」を説明。これに対し、パニュエロ大統領は、駐ミクロネシア日本大使によりALPS処理水に関して透明性ある説明がなされていることに謝意を表明。その上で、「以前に国連総会で述べたほどの恐れや懸念はもはや有していない。こうした説明によって、今や、われわれが共有する海洋資産および資源を傷つけないという日本の意図、技術力をより深く信頼している」として、ミクロネシア国内のALPS処理水に係る理解に向けた日本の取組を高く評価した。日本および大洋州の計19か国・地域の首脳が参加した第9回太平洋・島サミット(2021年7月、テレビ会議)で、菅義偉首相(当時)は、「国際基準を踏まえた規制基準を遵守してALPS処理水の海洋放出を行うこと、IAEAと緊密に協力し、科学的根拠に基づく説明を引き続き提供すること」を説明している。日本と太平洋島しょ国との首脳レベルの会談でALPS処理水について話し合われた最近の例としては、2022年9月の日・パラオ会談があり、その中で、パラオのスランゲル・S・ウィップス・Jr.大統領は、岸田首相による説明に対し、日本の「緊密な対話を継続する」との意向に歓迎の意を示した。ALPS処理水の海洋放出開始時期については、去る1月13日の関係閣僚会議で、「本年春から夏頃と見込む」とされ、政府では引き続きALPS処理水の性状や安全性に関し、関係省庁の連携による国際社会への戦略的な情報発信に努めている。外務省では、在京外交団向けテレビ会議説明会の他、昨年末にはユーロニュース社(フランスに拠点を置く欧州のニュース専門放送局)とタイアップし、専門家や福島の方々へのインタビューも交えた短編の解説番組を制作。ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、トルコ語、ペルシャ語、アラビア語など、多言語で全世界に放送されている。
03 Feb 2023
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会見を行う新潟県・花角知事(インターネット中継)新潟県が福島第一原子力発電所事故の検証のため設置している「健康と生活への影響に関する検証委員会」の健康分科会(座長=鈴木宏・新潟大学名誉教授)は、1月30日の会合で、最終報告書を概ね了承した。県では、福島第一原子力発電所事故を受け、「事故原因」、「事故が健康と生活に及ぼす影響」、「万一事故が起こった場合の安全な避難方法」の3つの検証を有識者による委員会で進めてきたが、これですべての検証に係る報告書が出そろうこととなる。花角英世知事は2月1日の定例記者会見で、約5年半にも及んだ同分科会における地道な議論に対し謝意を表明。3つの検証は、県が柏崎刈羽原子力発電所再稼働の是非に係る議論開始の前提としており、今後、「新潟県原子力発電所事故に関する検証総括委員会」で、各報告書の総括が行われる運びだが、花角知事は「これからどういう議論の進め方をするかは、最終的に検証が終わったところで議論を始めたい」とし、明確な方向性は示さなかった。健康分科会の最終報告書では、事故の複合災害としての検証結果として、「原発の『安全神話』を過去のものとし、『想定外』が常に起こることを前提とした対応が常に求められる時代を迎えたことが明確になった」と指摘。原子力事故対応に当たる専門家や行政担当者への基本的要望として、「原子力事故データが国民に帰属するとの認識の保持、情報の透明性の担保、情報の解析に基づく活動への説明責任の遂行」をあげた上で、通常時対応、事故発生時緊急対応、事故後の中長期的対応に大別し、計26項目を提言。原子力事故の環境や健康への影響に関する「ヘルスリテラシー」の向上や、事故後、10年ごとの節目などを捉え、国内外アカデミアと市民を含む第三者組織による原子力事故対応活動の検証を継続することも求めている。
01 Feb 2023
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高市早苗・内閣府特命担当大臣(科学技術政策他)は、1月31日の閣議後記者会見で、次世代革新炉の開発・建設に向けて人材育成の重要性を述べた。政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」が昨年末に取りまとめた「GX実現に向けた基本方針」では、「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む」とされている。高市大臣は、所管する原子力委員会が現在改定に向け検討を進めている「原子力利用に関する基本的考え方」の案文(12月23日~1月23日にパブリックコメント実施)で、「原子力の社会インフラ産業としての重要性、原子力発電や放射線利用を始めとしたキャリアパスが多様であることなどを、国や原子力関係事業者が発信していく」必要性が記載されていることに言及。原子力人材確保に関して、「複数機関の連携による教育基盤の底上げ、研究の重要性も指摘されている」とし、今後の次世代革新炉開発に向けて、「将来のビジョンを示せるよう、関係省庁が連携し産業界や大学と連携しながら、必要な人材確保に努めていきたい」と強調した。経済産業省および文部科学省では高速炉、高温ガス炉など、次世代革新炉開発に係る検討が進められており、内閣府(科学技術政策)においても現在、産業界からの参画も得た有識者会議で、核融合エネルギーの開発に向けた戦略策定について議論している。
31 Jan 2023
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原産協会の新井史朗理事長は1月27日、定例記者会見を行い、昨年末、政府が示した「GX実現に向けた基本方針」について、「非常に意義深い」と述べた。加えて、原子力の最大限活用を記載した同方針を支持するとともに、法制化などにより将来にわたってこれが維持・継続することを要望。次世代革新炉の開発・建設についても支持し、産業界からの投資を促す観点から、政府による支援、制度措置など、事業環境整備の早期具体化を要望した。〈関連の理事長メッセージは こちら〉2023年の原産協会の取組として、新井理事長は、原子力に対する理解促進福島復興支援人材確保・人材育成国際協力――の4点を列挙。「原子力発電の最大限活用には、原子力の優位性や、原子燃料サイクルの重要性、事業者の安全性追及への取組などについて、多くの方々に知ってもらうことが肝要」と、述べた上で、原子力が持つ価値の発信に取り組むとともに、立地地域との対話を通じて、理解活動に取り組んでいくことを強調した。福島復興支援に向けては、福島第一原子力発電所の廃炉作業の進捗、処理水の海洋放出などに対し、理解を深めてもらうよう、福島に関する情報発信、現地視察の実施、福島物産の紹介や販売協力を通じた情報提供提供に取り組むとしている。人材確保・人材育成については、企業説明会などを通じて、原子力が夢とやりがいのある魅力的な産業であることを、若い世代に知ってもらうとともに、産業界の原子力人材の確保を支援。「原子力人材育成ネットワーク」((産業界、学術界、地方自治体、行政庁からなる国内外の人材育成のプラットフォーム))を通じ、効率的、効果的、戦略的に人材育成の取組を進めていくとした。国際協力については、「高い技術と品質で定評のあるわが国の企業が海外のプロジェクトに参加できれば、技術力の維持・強化とともに、世界の原子力発電所の安全性向上に寄与できる」と述べ、わが国の原子力産業振興の一助となる情報発信やビジネス交流を行っていくとした。
30 Jan 2023
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原子力発電環境整備機構(NUMO)はこのほど、地層処分の若年層に対する関心喚起に向け、アニメーション動画「地層処分って?」を制作。1月26日より特設サイトにて公開している。アニメーション動画は、原子力発電って、ゴミが出るの?地下に埋めて大丈夫?放射線の影響はないの?日本に処分できる場所なんてあるの?海外ではどうしているの?――の全5話構成。各話3~5分程度の短編で、順番に見ることも、関心のあるものだけを見ることもできる。高レベル放射性廃棄物の地層処分は地表から300m以深の安定した岩盤で実施されるが、アニメーション動画の利点を活かし、地下断面図上に、実際に見ることのできない地震の揺れや地下水の流れを表現していることなどが特徴だ。各話とも大人と子供の対話形式で進行し、各話の終わりに自身でも探求することを促している。各国の地層処分の状況を紹介する第5話の終わりでは、「地層処分は世界共通の国レベルでの課題でもあり、今まで電気を使ってきた私たちが自分事として考える必要がある」と述べている。NUMOでは、若年層を含む幅広い層向けに、地層処分に関心を持ってもらう契機となるコンテンツを随時、制作・公表している。
27 Jan 2023
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