カナダ・オンタリオ州の州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は6月28日、「サステナブル・ファイナンス・フレームワーク」による初の社債を発行した。今回の起債による調達資金で、新規原子力発電プロジェクトなど、広範なクリーンエネルギープロジェクトに充当する。社債の発行額は10億加ドル(約1,185億円)。OPG社によるこれまでの発行額は子会社を含めると、30億加ドル(約3,554億円)以上となり、カナダ最大。6月25日に公表された新たな社債枠組みの「サステナブル・ファイナンス・フレームワーク」は、世界的な原子力の役割の再評価により、既存の原子力施設の保守や改修に向けた資金調達を初導入した、2021年策定のグリーンボンド・フレームワークに代わるもの。この新たな社債枠組みは、原子力の新設なども対象とした、より広範なクリーンエネルギープロジェクトへの資金提供だけでなく、先住民のコミュニティや企業が、調達、トレーニング、教育、雇用を通じて、OPG社のプロジェクトなどに参加する機会の創出も目的としている。「サステナブル・ファイナンス・フレームワーク」には、以下のエネルギー関連のプロジェクトなどが対象に含まれる。既存の原子力施設の保守や改修に加え、SMR(小型モジュール炉)や大型原子力発電所などの新たな原子力プロジェクト水力発電の改修、太陽光、風力、水素製造などの再生可能エネルギープロジェクトエネルギー貯蔵やクリーン燃料貯蔵などのエネルギー効率向上と管理ゼロエミッション車などのクリーン輸送の促進洪水や異常気象に対する気候適応能力とレジリエンス(回復力)の開発OPG社のA.シポラ最高財務責任者は、「この新たな社債枠組みは、クリーンエネルギーへの移行を実現するための重要な一歩。これらの目標を資金調達に統合し、電力、アイデア、人材を原動力として持続可能な未来を構築するという当社のコミットメントを果たしていく」と強調した。OPG社は、ダーリントン新・原子力プロジェクトサイトで、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製のSMR「BWRX-300」(電気出力30万kW)の計4基の建設を計画し、現在、カナダ原子力安全委員会(CNSC)が同社による初号機の建設許可申請を審査中(既報)。なお、OPG社が所有・運転する、ダーリントン発電所1~4号機(CANDU、各93.4万kWe)では、128億加ドル(約1.5兆円)の改修プロジェクトが半分以上を終えており、2026年末までに完了予定。ピッカリング発電所(B)5~8号機(CANDU、各54万kWe)では、オンタリオ州政府の支援を得て、改修プロジェクトの準備作業が開始されており、2030年代半ばまでに完了予定だ(既報)。
10 Jul 2024
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ロシアとウズベキスタンが5月末に締結したロシア製SMR発電所の建設契約が6月26日に発効し、ウズベキスタン初となるSMRの建設準備作業が今秋にも開始される。今年5月末にロシアのプーチン大統領がウズベキスタンを訪問した際に、原子力砕氷船技術に基づくSMR「RITM-200N」×6基構成(合計電気出力33万kW)の原子力発電所の建設に関する契約がウズベキスタン原子力庁(ウザトム=Uzatom)傘下の原子力発電所建設総局とロシア国営原子力企業ロスアトム傘下のエンジニアリング部門であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社間で締結された。このたび、契約の発効に係る議定書の調印式がウズベキスタンで開催され、両者が調印した。なお、ロシア製SMRの海外輸出プロジェクトは、これが初めてとなる。両国関係者は、ウズベキスタン東部のジザク州の建設サイトを訪れ、現場調査および建設作業の優先課題を特定した。プロジェクトチームや建設作業員の居住エリアやその他必要なインフラ整備工事が今秋にも開始される。ロシアの最新SMRであるRITM-200Nは、舶用炉を陸上用に改良したPWRで、熱出力19万kW、電気出力5.5万kW、設計運転年数は60年。初号機を2029年に運転開始させ、2033年までに全6基を稼働させたい考えだ。RITM-200Nは2012年以降、ロシアの原子力砕氷船「アルクティカ」、「シベリア」、「ウラル」、「ヤクーチア」、「チュコトカ」向けに10基が製造され、最初の3隻はすでに北極圏西部で就航中。ロシア国内においては、RITM-200N原子炉をベースにした陸上設置型SMRがサハ共和国北部のウスチ・クイガ村で建設中。2027年の起動、2028年の運転開始を予定している。周辺の鉱床開発などの産業企業に電力を供給する予定だ。
09 Jul 2024
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韓国水力・原子力会社(KHNP)は6月28日、自社の研究施設(CRI)内に、小型モジュール炉(SMR)「i-SMR」の運転試験用シミュレーターを開設した。i-SMRは電気出力17万kWの一体型PWRで、概念設計と基本設計は昨年末に完成している。今回のシミュレーターはそれらを基に開発したもので、i-SMRの設計や操作を検証し、開発にフィードバックさせるのが狙いだ。KHNPは、2025年末までに「標準設計(SD)」を完成させ、2028年に「標準設計承認(SDA)」を取得したい考えだ。i-SMRのベースとなったのは、韓国原子力研究院(KAERI)が開発したSMART炉(System-integrated Modular Reactor)。事故時に運転員の介入や電力供給なしで、原子炉を安全に停止する受動的安全性を備えているほか、モジュール化による工期短縮、運転システムの自動化による省人化などが特長だという。KHNPは2020年、i-SMR開発プロジェクトに着手し、2023年に同プロジェクトは、政府の全面的な支援を受けた国家研究開発プロジェクトと位置付けられた。韓国政府のバックアップの下、プロジェクト全体を管理するi-SMR開発機構が発足し、KHNPやKAERIのほか、韓国電力技術(KEPCO E&C)、韓電原子力燃料(KNF)や斗山エナビリティなど、韓国の主要原子力関連企業が参加している。i-SMRをめぐっては、KHNPは今年4月、i-SMRと太陽光や風力などの再生可能エネルギーを組み合わせて、エネルギーの安定供給とCO2排出ネットゼロを実現する都市構想である「スマートネットゼロシティ(SSNC)」を発表。SSNCの開発促進のため、同月、韓国南東部の慶尚北道(キョンサンブクト)の慶山市と了解覚書(MOU)を締結した。続く6月には、KHNPは、大邱広域市と、大邱慶北新空港近くのハイテク産業団地へのi-SMR建設に向け、フィージビリティ・スタディ(FS)を含むMOUを締結している。さらに、KHNPは昨年12月、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)の会期中、インドネシアの電力会社ヌサンタラ・パワー(PLN NP)社およびヨルダン原子力委員会(JAEC)とそれぞれMOUを締結。KHNPとPLN NP社は、インドネシアにおけるi-SMR開発の経済性や技術に関する共同基礎研究を実施するほか、地域の専門技術の開発、原子力分野の人的・技術交流などで協力する。一方、KHNPとJAECは、共同FSの実施など、ヨルダンにおけるi-SMRの展開可能性に関するMOUを締結している。
09 Jul 2024
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国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は6月27日、米国のワシントンD.C.で開催された世界銀行グループの理事会に出席。世銀をはじめとする国際開発金融機関(MDB)に対し、途上国における原子力発電導入プロジェクトへの融資解禁を強く訴えた。グロッシー事務局長は、持続可能な開発および発展のため、世界はクリーンで信頼性の高い、持続可能なエネルギーを大量に必要としていると指摘。脱炭素化の迅速な達成のためには、他の低炭素技術とともに原子力発電の展開を加速するよう求める新たな世界的コンセンサスが生まれつつあるとの見解を示した。そして、「アフリカからアジアまで、エネルギーミックスに原子力を加えようとする国々は、技術的・財政的支援を必要としている。IAEAは技術的専門知識を有しており、安全で確実かつ持続可能な原子力発電インフラを確立するよう支援することは可能だが、原子力発電プロジェクトには資金調達面で依然としてハードルがある」と現状を分析した。その上で、「民間の金融機関は一層、資金調達に貢献する必要があるが、世界銀行のようなMDBが、原子力プロジェクトの財政面を評価し、適切な融資を実施することにより、持続可能な開発は加速される」と強調した。世界銀行や他MDBは現在、原子力発電所の新設プロジェクトへの融資は実施していない。一部のMDBが既存炉の改修や廃炉に融資を実施している程度だ。昨年12月にUAEのドバイで開催された第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)の成果文書ではCOP史上初めて、炭素排出量を削減するための重要なアプローチの1つとして「原子力」が明記され、他の低炭素エネルギー源とともに原子力導入の加速が世界的に求められている。グロッシー事務局長は、原子力発電への融資は、この「新たな世界的コンセンサス」にMDBが歩調を合わせることになると言及した。また、COP28では25か国が2050年までのネットゼロ達成に向けて、世界の原子力発電設備容量を3倍に増加させるという誓約にも署名。同誓約では世界銀行、国際金融機関、地域開発銀行に対し、原子力を融資対象に含めるよう呼びかけており、今年3月にIAEAとベルギー政府が主催した初の原子力エネルギー・サミットにおいても、多くの国がこの呼びかけに賛同している。国際エネルギー機関(IEA)は、気候目標を達成するためには、世界の低炭素電力の25%を供給している原子力発電設備容量を、2050年までに少なくとも倍増させることが必要であるとし、これはIAEAが2023年に公表した「高ケース予測(野心的だが妥当かつ技術的に実現可能な政策シナリオ)」と一致する。2050年までに原子力発電設備容量を倍増させるには、原子力発電への投資を年間1,000億ドル(約16兆円)に倍増させる必要があるとIAEAは推定している。現在、およそ30か国が原子力の新規導入を検討または着手しており、そのうち、約2/3が開発途上国。IEAによると、世界がパリ協定の下での気候目標を達成する場合、これら開発途上国で原子力発電を大幅に拡大する必要があるという。グロッシー事務局長は、開発途上国における原子力導入プロジェクトへの資金調達は依然として大きな障害であると指摘。新規導入国の中には、バングラデシュやエジプトなどのように、建設プロジェクトを受注した主契約者から融資を受けるケースもあるが、異なる資金調達オプションが必要となるケースも出てくるとの見方を示している。
08 Jul 2024
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カザフスタンのK.-J. トカエフ大統領は6月27日、同国での原子力発電所新設に関する国民投票を今秋実施する方針を明らかにした。トカエフ大統領は、メディアに対し、「エネルギーの安定供給なくして経済発展はない。カザフスタンには原子力開発の大きな可能性があるが、原子力は正しく、効果的に利用することが重要だ。すでに原子力について、幅広く、様々な視点から議論がされており、メディアもこのプロセスに積極的に参加すべきだ」と指摘。「原子力発電所建設の最終的な決定は国民がするもの。このため、国民投票を今秋に実施する。政府が正確な日付を決定する」と表明した。同大統領は、昨年9月1日の国民へのメッセージの中で、原子力発電所建設について包括的で幅広い議論を継続し、国民投票を実施する必要性を強調していた。カザフスタンのエネルギー省は昨年8月、カザフスタンの原子力発電の新設に向けた諸活動の進展状況を公表。サイトについては、アルマティ州のジャンブール地区にあるバルハシ湖西南に位置するウルケン村を選定。炉型については、建設と運転経験で実証済みの以下の炉型を候補に挙げている。中国核工業集団公司(CNNC)製「華龍一号(HPR-1000)」(100万kW級PWR)韓国水力・原子力会社(KHNP)製「APR1400」(140万kW級PWR)露ロスアトム製VVER-1200(120万kW級PWR)またはVVER-1000(100万kW級PWR)フランス電力(EDF)製EPR-1200(120万kW級PWR)また、建設予定地があるアルマティ州や近隣の州で、原子力発電所建設をめぐり、地元住民を交えた公開討論が複数回実施されている。化石燃料資源が豊富なカザフスタンでは、総発電電力量のうち7割を石炭火力が、2割を天然ガス火力が占めている。ウラン生産については世界トップクラスの生産量(世界シェアの約40%)を誇り、燃料ペレットや燃料集合体の製造も行っている。旧ソ連時代にはカスピ海沿岸のアクタウに建てられた熱電併給・海水脱塩用の高速炉「BN-350」(出力15万kW)が1973年から1998年まで営業運転していた。現時点で国内に原子力発電所はないが、研究炉を含む原子力研究開発が国立原子力センターを中心に行われている。政府が2022年3月に制定した「2035年までのエネルギーバランス」では、増大する電力需要に応えるため、2035年までに最大240万kWeの原子力発電所の新設など、発電設備1,750万kWeを増強し、2035年までに石炭火力発電を40%削減、2060年までにカーボンニュートラルの達成を掲げている。なお、「代替エネルギー源の利用に関する」法案について7月27日を期限とする公開協議向けの資料の中では、国民投票で承認された場合を想定し、最初の原子力発電所の建設に100億~120億ドル(約1.6兆~1.9兆円)の予算が計上されている。政府は大型炉のほか、小型モジュール炉(SMR)についても国内建設の可能性を模索している。エネルギー関係の政府系投資ファンド「サムルク・カズィナ国家福祉基金」が2014年7月に設立した有限責任事業組合「カザフスタン原子力発電所」(KNPP)は2021年12月、米ニュースケール・パワー社製のSMRを複数備えた発電設備「VOYGR」の建設可能性を評価するため、同社と了解覚書を交わしている。
05 Jul 2024
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ポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社は6月28日、米GE・日立ニュクリアエナジー(GEH)社製小型モジュール炉(SMR)である「BWRX-300」(30万kW)のポーランドにおける展開支援に向け、「BWRX-300」のサプライチェーン・グループ3社と契約を締結した。今回契約を締結した3社は、アトキンス・リアリス社(旧SNC-ラバリン社)、建設大手エーコン(Aecon)社、GEH社で、OSGEはこれら3社と協業契約を締結、さらにアトキンス・リアリス社とエーコン社とは「BWRX-300」の建設分野に係る2つの枠組協定を結んだ。OSGE社は、ポーランドの建設・エンジニアリング企業にSMR建設に係る知識や技術が不足しているなか、経験豊富なカナダ企業のノウハウを活用していきたい考えだ。なお、エーコン社は、オンタリオ・パワー(OPG)社のダーリントン・サイトでの「BWRX-300」建設プロジェクトの建設を担当しており、さらにアトキンス・リアリス社とともに、現在OPG社とブルース・パワー社が保有するCANDUプラントでの大規模な改修工事も手がけている。今回の契約について、エーコン社のT. クロシャー原子力担当副社長は、エネルギー移行において、SMRの導入は重要な役割を果たすとし、「ポーランドにおけるクリーンで信頼できる安価な電力供給に貢献する」と今回の協働の意義を強調。一方、アトキンス・リアリス社のI. エドワーズ社長兼CEOは、世界の電力需要が2050年までに3倍に増加し、新たに1000基規模の原子炉市場が生まれると予測した上で、「大型原子炉だけでなくSMRが今後の新規建設の一画を担う」との見方を示した。ポーランドの大手化学素材メーカーとポーランド最大手の石油精製企業の合弁会社であるOSGE社は2023年4月、首都ワルシャワを除く国内6地点における合計24基の「BWRX-300」建設に関する原則決定(DIP)を気候環境省に申請。同省は同年12月、これら発電所に対するDIPを発給した。DIPは、原子力発電所建設計プロジェクトに対する最初の基本的な行政判断で、DIP発給によりプロジェクトが正式に認められたことを意味する。OSGE社は、2030年代初めにも「BWRX-300」の初号機を完成させたい考えで、今年に入って、ポーランド環境保護総局(GDOŚ)は同プロジェクトに関する環境影響評価(EIA)の報告書作成に向けて取り組むべき分野を提示。これを受け同社は、ポーランド南部のスタビ・モノフスキエ(Stawy Monowskie)地点での「BWRX-300」建設に向けた環境・立地調査を開始する。また、ポーランドの規制当局である国家原子力機関(PAA)は2023年5月、「BWRX-300」の安全評価に関する包括的な見解を長官名で公表し、同炉がポーランドの関係法に基づく安全要件に適合していることを確認した。「BWRX-300」は出力30万kWの次世代原子炉で、2014年に米国の原子力規制委員会(NRC)から設計認証(DC)を取得したGEH社の第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。
05 Jul 2024
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スウェーデンで小型モジュール炉(SMR)の建設を計画するシャーンフル・ネキスト(KNXT)社は6月26日、4~6基のSMRを導入するための新たな候補サイトを発表した。新たな候補サイトは同国南東部のエステルイェータランド県の広大な海岸沿いのエリアに位置し、南スウェーデン全域での脱炭素エネルギー源の拡大を目指す、KNXT社の「Re:Firm South SMR」プログラムの一環である。KNXT社は、同県バルデマーシュビークのサイト所有者であるLatona Groupと原子力導入に係る調査の独占パートナーシップ契約を締結。今夏以降に完了予定の現在進行中の調査において既に有望な予備的結果が示されたため、両社は今後、共同で自治体、近隣住民に、SMR建設プロジェクトについて周知することとしている。同サイトの総面積は約1,300 ha、SMR建設地としてのロケーションおよび冷却条件も最適で、人工知能(AI)データセンターなどのエネルギー集約型産業との共同立地も可能だという。バルデマーシュビークのSMRプロジェクトでは、70年間にわたり年間約500人の地元の雇用創出と年間100~150億kWhのクリーンな電力の生産が期待される。なお、昨年のスウェーデンの原子力発電電力量は470億kWhだった。KNXT社は「Re:Firm South SMR」プログラムにおいて、複数のSMRパークを建設することにより、炉型選定、建設、電力購入契約(PPA)、資金調達の面でスケールメリットをねらっている。バルデマーシュビークが同プラグラムの最初の建設サイトに選定された場合、2030年前半に送電を開始したい考えだ。同社は2022年3月、スウェーデン国内で複数の「BWRX-300」(電気出力30万kW)の早期建設を目指し、米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社と協力覚書を締結している。KNXT社は、同プログラムのもう一つの候補地として昨年8月、エステルイェータランド県の北側に位置するセーデルマンランド県のニュヒェーピング(Nyköping)自治体にあるスタズビック社の社有地内を選定した。実行可能性調査(FS)の結果は、今年後半にも発表される予定である。なお、KNXT社は先月、熱供給用SMRの商業化を目的に設立されたフィンランドのスタートアップ企業であるステディ・エナジー(Steady Energy)社と、スウェーデンに地域暖房用のSMRを導入するための戦略的パートナーシップを締結した。KNXT社のC.シェランデルCEOは、「ステディ社のSMRを当社の電力供給のポートフォリオに加え、持続可能な暖房ソリューションを必要とする自治体向けに、新たに地域暖房サービスを提供する」と発表している。ステディ社の地域暖房用SMR「LDR-50」(LDR=Low-temperature District heating Reactor、熱出力5万kW)は低温(約150°C)、低圧(10バール以下)の運転を特徴とし、地下設置も可能。ステディ社は2028年にも「LDR-50」をフィンランドの首都ヘルシンキとクオピオで着工し、2030年までに初号機の営業運転を開始したい考えだ。なお、2025年にはフィンランドのヘルシンキ他2都市でパイロット施設(電気加熱式)を着工する。
04 Jul 2024
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カナダのアトキンス・リアリス社は6月21日、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)の新型炉「MONARK」(100万kWe)×4基構成の原子力発電所が、カナダにプラスの経済効果をもたらし、数千人の雇用を創出する、との調査報告を明らかにした。アトキンス・リアリス社(AtkinsRéalis、旧名:SNC-ラバリン=SNC-Lavalin)は、ケベック州モントリオール市を本拠地とし、世界各地で様々な産業向けに、エンジニアリング・調達・建設(EPC)事業を展開する。今回、同社の委託により、カナダ大手のリサーチ機関Conference Board of Canadaが実施した調査によると、「MONARK」×4基のプロジェクトが実現すれば、機器製造、エンジニアリング、建設のプロセスで、カナダの国内総生産(GDP)が409億加ドル(約4.8兆円)増加、運転の段階で495億加ドル(約5.8兆円)増加する。合計で計904億加ドル(約10.6兆円)の増加となり、税収は市、州、連邦政府全体で291億加ドル(約3.4兆円)の増加が見込まれるという。また、70年以上の運転期間を通じて、年間3,500人のフルタイム相当の雇用を創出。さらに、「MONARK」の知的財産権は100%カナダが所有しているため、カナダのサプライチェーンは、「MONARK」の海外輸出・建設1基ごとにカナダのGDPに48億加ドル(約5,700億円)の増加とカナダ人2,200人以上の雇用をもたらすと予測している。「MONARK」は、アトキンス・リアリス社が昨年11月下旬にパリで開催された世界原子力展示会(WNE)で発表した新設計のCANDU炉。CANDU炉では最大出力の第3世代+(プラス)炉に分類され、水素製造やアイソトープ製造が可能だ。CANDU炉は、連邦政府直轄のカナダ原子力公社(AECL)が主体となり、カナダが独自に開発し実用化した重水炉。カナダの他、アルゼンチン、中国、韓国、ルーマニアで稼働中である。カナダでは現在国内で稼働する19基(50万kW級~90万kW級)すべてでCANDU炉を採用。国内250企業以上、専門的および熟練したスキルを有する76,000人もの従業員を抱える一大サプライチェーンが確立されている。アトキンス・リアリス社のG.ローズ・カナダ原子力担当副社長は、「オンタリオ州は2050年までに合計1,800万kWeの新規原子力発電の導入を目指しており、CANDU炉のような大型炉は予測される需要に対応するカギとなる」と指摘している。
03 Jul 2024
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米エネルギー省(DOE)は6月27日、米国内産の低濃縮ウラン(LEU)購入に関する「提案依頼書(RFP)」を発行した。RFPは、J. バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」アジェンダから27億ドル(約4,363億円)を支援するもので、ロシア産LEUへの依存脱却に向け、米国内のウラン濃縮能力を強化し、商業用核燃料の供給源の多様化や安定供給を図ることが狙い。DOEは今回のRFPを通じて、新規の濃縮施設や既存の濃縮施設の拡張プロジェクトなど、新たな供給源と2件以上の契約を締結する予定だ。今回の発表について、J. グランホルムDOE長官は、DOEが国家安全保障の強化と国内原子力産業の成長に不可欠な、米国内のウラン供給力を強化しているとしたうえで、「原子力業界の世界的リーダーであり続けるという米国の決意を示すもの」と表明。また、A. ザイディ大統領補佐官兼国家気候アドバイザーは、バイデン政権下で進められてきたクリーンエネルギーの拡大促進が、高賃金な雇用を生み、なおかつエネルギー安全保障を高めてきたとこれまでの実績を強調した。ウランの調達をめぐっては、バイデン大統領が5月13日、ロシア産LEUの米国への輸入を禁止した「ロシア産ウラン輸入禁止法」に署名、来月8月11日に施行される。同法は、2040年まで有効。DOEによると、原子炉や米国の原子力関連企業の継続的な運営を維持するために、代替となるLEUの供給源がない、あるいは、LEUの輸入が国益にかなうと判断した場合は、輸入禁止の免除が可能。ただし、その場合もLEUの輸入量は限られ、いかなる免除も2028年1月1日までに終了しなければならない。DOEエネルギー情報局(EIA)が6月に発表した最新のウラン市況年次報告書(2023 Uranium Marketing Annual Report)によると、ロシアは米国の商業用原子力発電所向けLEUの27%を供給しており、米国に次ぐ第2位のシェアを占めている。現在、LEUの購入において、米国では全体の約72%が海外調達となっている。
03 Jul 2024
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ノルウェー政府は6月21日、原子力発電導入を検討する委員会を設立した。同委員会は、2026年4月1日までに政府に報告書を提出する。同委員会は12名の専門家から構成され、オスロにある国際気候・環境研究センター(CICERO)のK.ハルヴォルセン所長が委員長を務める。同国における原子力発電所建設の将来的な可能性について、さまざまな側面から幅広く検討・評価するため、多様な分野の専門家が委員に就任している。主要なテーマ分野においては、委員会を支援し、意見する専門家グループも別途設置することとしている。主な検討事項は以下の通り。①ノルウェーの電力システムにおける原⼦⼒発電の適合性②原⼦⼒に関する研究と技術開発の現状と将来展望③導入コスト④発電所の立地やインフラ設備の要件⑤地域や環境への影響⑥廃棄物問題⑦原子力安全⑧安全保障と核不拡散⑨緊急時対策⑩人材育成⑪規制や許認可プロセスの整備の必要性などそのほか、他の発電技術との比較や、小型モジュール炉(SMR)と従来型の原子力発電所の比較評価のほか、雇⽤や新規サプライチェーンなど、原子力発電導入による経済効果、社会的受容性の可能性など、社会的側面からの評価も求めている。T.アースランド・エネルギー相は、「自然や気候の危機に対処し、増大する電力需要に応えるには、カーボンフリーで安定したエネルギー源が必要であり、近年の技術開発の進展や、自治体と民間企業が手を組んだ原子力発電所建設計画が、原子力に再び注目する契機となった。原子力は社会の多くの分野に影響を与えるエネルギー源。ノルウェーの電力システムに原子力を導入する場合、原子力に関する最新かつ確かな知識が必要となる」と強調する。ノルウェーでは、1970年代に原子力導入が議論されたが、これまで原⼦⼒発電所の建設は現実的な選択肢として考慮されてこなかった。1950年代~1960年代には4基の研究炉が議会の承認を得て稼働したが、発電炉の開発、運転、規制、許認可プロセスの経験はない。ノルウェーでは、新興エネルギー企業ノルスク・シャーナクラフト(Norsk Kjernekraft)が中心となり、SMR導入に向けた動きが加速している。同社は2023年、ノルウェー海に面したアウレ(Aure)自治体とハイム(Heim)自治体、北極圏のナルヴィク(Narvik)自治体やバレンツ海に面したヴァードー(Vardø)自治体からSMR立地可能性調査の実施要請を受け、各自治体と調査プログラムの実施協定を締結。2023年11月、ノルウェー南西部のアウレ自治体とハイム自治体を拠点とするSMR発電所建設に向けた評価に関する提案書を石油・エネルギー省(当時)に提出した。また同月、エストフォル・エネルギー(Østfold Energi)社ならびにハルデン市と、かつて研究炉が運転されていたハルデン市でSMR建設の実現可能性を探るため、共同で新会社のハルデン・シャーナクラフト(Halden Kjernekraft)社を設立。今年4月、ノルウェー西岸ヴェストラン県ベルゲン市の西にあるエイガーデン(Øygarden)自治体で、サイト影響評価作業を開始すると明らかにした。今年6月には、ノルウェー最北東部フィンマルク県におけるSMR建設評価に関する提案書をエネルギー省に提出している。
02 Jul 2024
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仏フラマトム社は6月20日、欧州連合(EU)から資金拠出を受け、欧州で運転されているロシア型PWRであるVVER向け、100%欧州製燃料の開発と供給を加速することを発表した。フラマトム社は、44万kWe級のVVER-440型炉用の燃料開発と供給に向け、EUの拠出金1,000万ユーロ(17.3億円)を受けて、欧州原子力共同体(ユーラトム)の研究トレーニングプログラム下で「Safe and Alternative VVER European(SAVE)」プロジェクトを実施する。同プロジェクトはVVER-440を運転する、チェコ電力(ČEZ)、フィンランドのフォータム社、ハンガリーのパクシュ社、スロバキア電力などの電力会社を含む欧州の17の企業・機関が参加し、燃料供給リスクの低減をはかるのが目的。フラマトム社のL.ガイフ上級執行副社長は今回のEUの資金拠出を歓迎し、「当社は、VVERを運転する欧州の原子力産業とエネルギー政策の両方を支援し、既存炉の安全で、信頼ある運転に貢献し、次世代燃料の開発に強く関与する。燃料の設計から製造、燃料部品のサプライチェーンをEU内に配置し、100%の欧州主権を実現できる唯一の燃料サプライヤーとして、VVERの燃料供給の多様化とエネルギーセキュリティの確保に貢献していく」と語った。フラマトム社の取組に先行し、米ウェスチングハウス社は、ウクライナの原子炉も含め、EU域内で稼働するVVERの燃料を緊急に確保するため、3年計画の「Accelerated Program for Implementation of secure VVER fuel Supply(APIS)」を2023年1月から主導している。ロシアのウクライナ侵攻に起因するもので、VVER-440燃料の安全設計とVVER-1000向けの次世代燃料設計の開発などが目的だ。EUは2023年~25年までの「ユーラトム作業プログラム」を通じて1,000万ユーロ(17.3億円)を共同出資している。APISには、WE社のスウェーデンの燃料工場を幹事役とし、欧州の電力会社や燃料設計・製造研究機関など11の機関・企業が参加している。現在、EU域内では18基のVVERが稼働しており、100万kWe級のVVER-1000はブルガリアとチェコで各2基ずつ、VVER-440はチェコで4基、フィンランドで2基、ハンガリーで4基、スロバキアで4基の計14基が稼働中である。
01 Jul 2024
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韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は6月20日、韓国南東部の慶尚北道(キョンサンブクト)の慶山市で主催した討論会で、小型モジュール炉(SMR)の産業ハブ創設の計画を明らかにした。ユン大統領は、慶山市の嶺南大学校で「北東アジアのハイテク製造イノベーションハブ、慶北」をテーマに主催した第26回目の国民との討論会において発言。慶尚北道の地域住民、原子力発電所や水素などの新エネルギー産業に関わる起業家や中央政府・地方政府などから100名以上が参加した。ユン大統領は挨拶の中で「慶尚北道が新たな飛躍を遂げるためには、産業構造の革新が何よりも重要だ」とし、エネルギー産業の拠点形成を重視。慶尚北道はこれまで、鉄鋼業や繊維産業を通じて韓国の輸出を牽引してきたが、現在、水素やバイオなどの新たな成長分野を発掘・推進しており、政府は慶尚北道の産業革新を積極的に支援すると強調した。具体的には、慶州市に3,000億ウォン(約330億円)規模を投じ、「SMR産業ハブ」を創設するとしている。欧米諸国などが2030年代初頭にSMR導入を目指す中、今後は炉型開発だけでなく、SMRの機材製作や建設面でもグローバルなSMR市場をリードすることを狙う。また、産業通商資源部(MOTIE)が、来年までに800億ウォン(約88億円)の原子力産業成長基金を創設することを紹介。SMR産業を牽引する革新的な機器製造企業を支援し、慶尚北道のSMR製造能力を着実に強化し、世界のSMR製造拠点に成長できるよう技術面のインフラ整備を積極的に支援することが目的。さらに現在、蔚珍郡で計画中の新ハヌル3、4号機(APR1400、各140万kWe)を滞りなく建設し、慶尚北道が原子力産業の復興と新産業化において主導的な役割を果たせるよう後押しすると表明した。新ハヌル原子力発電所3、4号機の新設計画は、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領の政権下の脱原子力政策により建設計画が凍結されていたが、現政権下で再開された。また、SMRのハブ化に加え、慶尚北道を「水素産業のハブ」にするため、東海沿岸に「水素経済産業ベルト」を創設する8,000億ウォン(約880億円)のプロジェクトを支援すると表明。政府は現在、慶尚北道の浦項市において水素燃料電池の国産化を推進する「水素燃料電池クラスター」とともに、蔚珍郡に原子力を利用した「原子力水素国家工業団地」の創設を推進中とし、今後、さらに加速していくと語った。
28 Jun 2024
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露ロスアトムのA.リハチョフ総裁は、ロシアの公式代表団の一員としてベトナムを訪問。ロシアとベトナムの首脳会談に先立ち、6月19日、ベトナムのファム・ミン・ティン首相と会談した。リハチョフ総裁は、ベトナムにおける原子力科学技術センター(CNST)建設プロジェクトの状況、原子力発電所建設に関する協力再開の見通し、その他関連分野での二国間協力の進展について同首相に伝えた。また同日、リハチョフ総裁はフイン・タイン・ダット科学技術相と会談し、ベトナムにおけるCNST建設プロジェクトの実施状況と計画、関連する科学技術分野での協力、ベトナムの原子力産業に携わる人材育成について協議した。6月20日、プーチン大統領のベトナム公式訪問の枠組みの中で、ロスアトムとベトナム科学技術省は、CNST建設プロジェクトの2027年までのスケジュールに関する覚書に調印。両国間の包括的戦略的パートナーシップの更なる深化に向けた共同声明で、CNST建設プロジェクト実施の加速化で合意したことが盛り込まれた。
26 Jun 2024
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中国核工業集団公司(CNNC)は6月19日、中国初の産業用原子力蒸気供給プロジェクト「和気1号」(Heqi-1)を完成、本格稼働を開始した。江蘇省連雲港市の田湾原子力発電所3、4号機(PWR=VVER-1000、各112.6万kWe)から近隣の連雲港石油化学工場に蒸気を供給する。今年2月末に試運転が開始されていた。両機の二次系統から蒸気を取り出し、多段階の熱交換を経て、断熱された地上パイプラインで工場に運ぶ。パイプラインの総距離は23.36km。毎時600トン、年間8,000時間の連続運転による産業用蒸気の製造が可能で、年間480万トンのゼロカーボンの蒸気を発電所から工場への供給が期待されている。これは石炭の燃焼を年間40万トン削減することに相当し、それぞれ二酸化炭素(CO2)=107万トン、二酸化硫黄(SO2)=184トン、窒素酸化物(NOx)=263トンの排出削減に相当するという。CNNCは、国家能源局(NEA)と国家原子能機構(CAEA)下で国務院の「2024-2025省エネ・炭素削減行動計画」の実施に取り組んでおり、本プロジェクトは「グリーンで低炭素の先端技術実証プロジェクト」の第1陣の位置付け。グリーン、安全性、安定性、高効率を特徴としている。CAEAの黄明全(Huang Mingquan)秘書長は、今後も発電だけでなく、産業、農業、医療、環境保護、安全保障などの分野で原子力の広範な利用を強力に推進していくと語った。
26 Jun 2024
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韓国の産業通商資源部(MOTIE)と韓国原子力環境公団(KORAD)は6月18日から高レベル放射性廃棄物研究のための地下施設のサイト候補地を募集している。韓国政府の第二次高レベル放射性廃棄物管理基本計画(2021年12月)と高レベル放射性廃棄物研究開発ロードマップ(2024年2月)に定められた放射性廃棄物管理技術開発方策に基づく措置。地下研究施設は、実際の処分施設と同規模の深度、地下500mで韓国の岩盤特性と処分システムの性能を研究するための施設。同施設は、高レベル放射性廃棄物処分施設とは完全に別の場所に建設され、放射性廃棄物や使用済み燃料は施設エリア内に受け入れず、研究目的のみに使用される。研究施設は、専門的な人材育成と国内の地質環境に適した処分技術の開発に主眼を置き、一般市民にも高レベル放射性廃棄物処分施設に近い環境を体験する機会を提供する。研究施設で開発された技術は、法令に基づき、高レベル放射性廃棄物処分施設のサイト選定、建設、管理の過程で活用される。KORAD傘下のサイト評価委員会が、地方自治体から提出されたサイト提案を地質など8項目の基準で評価し、2024年内の選定プロセスの完了を目指す。2026年に着工、2032年の完成を計画しており、運転期間は2030年から約20年間を計画する。MOTIEとKORADは、関心のある地方自治体向けにサイト選定プロセスを説明する説明会を6月25日に開催。関心表明とサイト提案は、それぞれ7月19日と8月2日までにKORADに提出を求めている。
25 Jun 2024
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カナダ中西部サスカチュワン州の州営電力であるサスクパワー社は6月17日、米ウェスチングハウス(WE)社及び加カメコ社(本社:サスカチュワン州)と、サスカチュワン州の将来のクリーン電力ニーズに向け、WE社の新型炉と関連する核燃料サプライチェーンの可能性を評価する了解覚書(MOU)を締結した。MOU締結により、WE社製の「AP1000」と小型モジュール炉(SMR)の「AP300」などWE社の新型炉を長期的な電力供給計画に向けて展開する、技術的および商業的な道筋を検討する。この枠組みで、サスカチュワン州を拠点とする、燃料も含めた原子力サプライチェーンの評価を行う。また、サスカチュワン州の大学や職業訓練校と連携して、原子力研究開発およびトレーニングで協力する機会についても検討する。サスクパワー社は、サスカチュワン州初となるSMRの建設について、2029年に最終投資決定(FID)を行う予定だ。同社は、サスカチュワン州で建設される全原子炉を対象に、サスカチュワン州産のウラン利用を計画している。なお、同社は2022年6月、サスカチュワン州で2030年代半ばまでに導入可能性のあるSMRとして、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製BWRの「BWRX-300」を採用すると発表。加オンタリオ・パワー(OPG)社がオンタリオ州内のダーリントン原子力発電所サイトで建設を計画するSMRとして「BWRX-300」を選定しており、同じ設計を選択することで、規制面や建設・運転面のコストが低く抑えられるほか、初号機建設にともなうリスクも回避されると説明している。本MOUの締結に際し、サスクパワー社のR.パンダャ社長兼CEOは、「原子力産業において重要な専門知識を有する組織の知識の活用は、電力の将来に関して責任ある情報に基づいた意思決定を確実に行うために重要である」と指摘し、核燃料供給に係る協力と様々な技術の評価は、現在のSMR導入に係る作業とサスカチュワン州の電力システムの将来に関する計画の強化に資するとしている。WE社のP.フラグマン社長兼CEOは、「サスクパワー社と協力して、サスカチュワン州のクリーンエネルギーのニーズを支援するため、業界をリードする当社の専門知識を共有できることを誇りに思う。今後何世代にもわたり、サスカチュワン州にカーボンフリーの電力の供給のため、サスクパワー社を支援していきたい」とサスクパワー社との協力に意欲を示した。AP1000は米国と中国で運転中。ポーランド、ウクライナ、ブルガリアの原子力プロジェクトで採用されており、この他、中・東欧、英国、インド、北米の複数のサイトでも検討中だ。AP300は世界的に運転実績のある先進的な第三世代+(プラス)の大型炉をベースにした唯一のSMR。WE社は、2027年までにAP300の設計認証を取得し、2030年までに初号機の着工、2030年初めの運転開始を目指している。AP300は英国の大英原子力(Great British Nuclear=GBN)のSMRの支援対象選定コンペの最終候補の1つに選定されており、欧州諸国と北米の顧客も採用を検討中である。カメコ社のT.ギッツェル社長兼CEOは、「当社はサスカチュワン州を拠点に、世界有数のウラン生産事業を展開、大規模に発展する州の労働力や北部の先住民コミュニティとの長年にわたるパートナーシップを有する。サスカチュワン州の電力の脱炭素化において、当社ならびにWE社が果たす潜在的な役割を評価できることを楽しみにしている」と語った。なお、カメコ社はWE社の株式を49%保有。
25 Jun 2024
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欧州では6月6~9日に欧州議会選挙が実施され、近く次期欧州委員会(EC)が発足する見込みである。欧州の電力会社や原子炉メーカー、核燃料サイクル企業、産業団体などの原子力産業界は6月13日、EU(欧州連合)が取り組むべき優先事項をとりまとめたマニフェストを発表。マニフェストでは、気候変動、エネルギー価格の安定、エネルギー安全保障など、EUが現在直面している多くの課題に対する解決策として、原子力を活用するようEUに求めている。マニフェストにおいて、産業界が次期ECに対して求めている優先事項は下記のとおり。既存原子力発電所の運転期間延長、大型炉、小型モジュール炉(SMR)、先進モジュール炉(AMR)のような革新技術、核燃料サプライチェーンの開発など、原子力の新たな展開を促進するための一貫した長期的政策を確保すること。欧州SMR産業アライアンス(European Industrial Alliance on SMRs)で特定されたSMRプロジェクトは、その展開を加速し、2040年の気候目標達成(2040年までに温室効果ガス排出量を1990年比で90%削減を提案)に向けて大きく貢献するよう支援されるべきであるすべてのネットゼロ技術を平等に扱うことすべての実行可能なソリューションがエネルギー移行に貢献するために必要な支援を受けられるよう、民間および公的資金へのアクセスを可能にし、促進すること欧州の金融機関(原子力を融資基準に含む欧州投資銀行)が、既存原子力発電所の長期運転、新規建設(大型炉、SMR、AMR)、燃料サイクル関連のプロジェクトに確実に融資を行うこと持続可能なEUタクソノミー(投資分類)に原子力エネルギーを引き続き含めることを支援し、関連する燃料サイクルの活動もその枠組に含めることエネルギー移行に貢献する低炭素技術を、税制面で不利にしないこと脱炭素化目標の達成に必要な燃料サイクルも含む、産業規模の拡大およびサプライチェーンなど、原子力技術の大量導入のためのスケールアップと資金調達を促進するため、ユーラトム(欧州原子力共同体)以外のEU基金へのアクセスを拡大することEUにおける原子力研究を支援すること:ユーラトム研究・訓練プログラムの予算は、数多くの課題に取り組むために倍増すべきである。他のEUの研究開発プログラムとの相乗効果を高めるべきである。同様に、核融合と核分裂プロジェクトの資金調達の間で、よりバランスの取れたアプローチを確保すべきである既存の原子力施設の維持および新たな原子力プロジェクト開発に重要であるユーラトム研究・訓練プログラムを通じて、原子力分野の技能(スキル)、労働力、人材に投資すること。エネルギー移行を促進するために、熟練した労働力と適切な能力が必要であるマニフェストによると、EUでは現在、総発電電力量に占める原子力の割合は25%で、低炭素電力に占める割合は50%と半分を占めている。EUではここ最近、EUの脱炭素化に対する取組において、原子力の役割を強調するいくつかの動きが見られている。直近では、欧州理事会が5月27日、ネットゼロ産業法(NZIA)を承認し、原子力を含むネットゼロ産業の開発と展開促進に向けた包括的枠組が構築された。また、欧州議会は2023年12月、将来のエネルギーシステムにおけるSMR技術の重要性を指摘した独自のイニシアチブ報告書を採択、続く2024年2月にはECが、欧州での2030年代初頭までのSMR展開の加速をめざして「欧州SMR産業アライアンス」を始動させている。そのほか、フランスなど原子力発電を利用する国々の協力イニシアチブである「欧州原子力アライアンス」(現在12か国が参加、2か国がオブザーバー)が2023年2月に発足し、域内における原子力への支援拡大に向けた働きかけを強めているところである。なお、今年3月にベルギー・ブリュッセルで開催された第1回原子力エネルギーサミット(Nuclear Energy Summit)では、ECのウルズラ・フォンデアライエン委員長(当時、元ドイツ政府高官)が、域内では原子力について異なる見解があるとしつつも、「気候変動問題への取組の緊急性から、原子力は重要な役割を果たすべき」と原子力の重要性を指摘した。今回のマニフェストについて、欧州の原子力産業団体であるnucleareuropeのY. デバゼイユ事務局長は、「原子力はクリーンかつ持続可能な技術であり、次期委員会では、原子力を他の化石燃料を使用しない技術と同等に扱うことが不可欠」としたうえで、今後の政策提案は、特定の技術ではなく、脱炭素化、競争力、エネルギー主権といった目標に焦点を当てるべき、との考えを示している。
25 Jun 2024
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米上院は6月18日、先進炉の導入促進法案を可決した。大統領の署名により成立する。本法案は、クリーンエネルギーの多用途かつ先進的な原子力展開の加速化法(Accelerating Deployment of Versatile, Advanced Nuclear for Clean Energy=ADVANCE法)と称し、火災補助金および安全法(S.870)の一部を構成。上院の超党派により起草され、88対2の圧倒的多数で上院を通過した。なお、下院は5月8日に393対13の票決により可決している。ADVANCE法では、以下を定める。米原子力規制委員会(NRC)に先進炉の規制を策定するための国際的なフォーラムを主導する権限を与え、エネルギー省(DOE)には核不拡散の強固な基準を維持しながら米技術の国際市場への輸出承認のプロセス改善を指示し、原子力分野における米国のリーダーシップを促進する。先進炉の許認可を申請する企業の規制コストを削減し、次世代炉展開を奨励する賞を創設。NRCに対しては、利用停止中や閉鎖済みの火力発電所からマイクロ炉などへのタイムリーな許認可発給を可能にする道筋を示すよう要請し、新原子力技術の開発と展開を支援する。既存炉および次世代炉の安全性と競争力を向上させる事故耐性燃料および先進燃料の認定と許認可発給の能力の強化とともに、より良く、速く、安く、スマートに原子炉を建設するため先進的な製造技術の評価をNRCに指示し、米国の核燃料サイクルおよびサプライチェーンを強化するNRCの近代化、人員配置の問題に対処する取組みを支援し、先進炉の許認可申請の効率的な安全審査のため、優秀な人材の雇用と維持のツールをNRC委員長に提供し、NRCの効率性を向上させる。法案を作成した上院環境公共事業(EPW)委員会委員長のT.カーパー上院議員(民主党)は、「気候と米国のエネルギー安全保障にとって大きな勝利。長年、米国最大の無炭素電源である原子力の普及加速のためこの法案に取り組んできた。ADVANCE法は、NRCによる重要な安全使命の維持とともに先進技術の効率的審査を促進し、今後数十年に次世代炉を安全かつ成功裡に展開するための礎となる」と強調した。同じく法案作成に携わったEPW委員会上級委員のS.カピト上院議員(共和党)は「この超党派法案は、より多くの革新と原子力技術への投資を奨励するもの。NRCにその重要な規制上の使命をより効率的に遂行するよう指示し、将来の原子力プロジェクトのため従来型の発電施設の再開発を支援する」と指摘した。S.ホワイトハウス上院議員(民主党)は「ADVANCE法は原子力分野の労働力を強化し、規制プロセスの障壁を低くすることで先進炉の展開と石炭火力から原子力への移行を支援するもの」と述べ、米国の長年にわたる世界的リーダーシップの強化を目指す超党派による取組みの成功を称えた。
24 Jun 2024
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ノルウェーの新興エネルギー企業ノルスク・シャーナクラフト(Norsk Kjernekraft)社は6月14日、ノルウェー最北東部フィンマルク県における小型モジュール炉(SMR)の発電所建設の評価に関する提案書をエネルギー省に提出した。発電所建設に必要な正式なプロセスの第一段階である。エネルギー省が承認すれば、同社は環境面や技術面、経済面、および安全面の影響評価を開始する。ノルスク社は、バレンツ海に面するフィンマルク県のヴァードー(Vardø)自治体が原子力発電所建設の候補地としてスヴァルトネス村(Svartnes)近隣を提案したことを受け、2023年6月、同自治体と調査プログラムの実施協定を締結。ヴァードー自治体とフィンマルク県のエネルギー事情、スヴァルトネス村の現地の状況を調査した。ノルスク社の提案書によると、発電所の従業員数は200~400人規模となり、フィンマルク県の主要産業となる。発電所の設備容量は最大60万kWe、年間総発電電力量は最大50億kWhとなり、フィンマルク県の電力供給量は現状の3倍となるため、将来の電力需要の増大に応えると予測。既存の発電所は風力タービンと小規模の河川発電所のみで、エネルギー安全保障と、戦略上重要な地域でノルウェーのプレゼンスを示す観点から、発電設備の増強の必要性を訴える。また、ヴァードー自治体の利点として、公共サービスが充実した都市コミュニティで、多様な労働市場があるため、発電所の運転に必要な多くの労働力の提供が可能であり、送電線と変電所、良好な道路接続、港湾インフラがあり、電力集約型産業が立地できる広大な土地があることを挙げている。また、冷却水への十分なアクセス、安定した地盤条件、原子力に対する地元の政治的支援があるとも紹介している。ノルスク社は、提案書はスヴァルトネス村近隣での原子力発電所の建設と運転に関する現地の状況を説明し、今後の影響評価で説明されるテーマを列挙しているとし、入手情報からも、発電所建設に適していると指摘した。一方、ヴァードー自治区の送電網容量には限界があるため、ノルスク社は影響評価を開始する前にフィンマルク県で代替地を検討するとし、原子力発電所建設の可能性について調査を希望するフィンマルク県の他の自治体に対し、関心表明を呼び掛けている。ノルスク社は2023年、ノルウェー海に面したアウレ(Aure)自治体とハイム(Heim)自治体、北極圏のナルヴィク(Narvik)自治体からも、SMR立地可能性調査の実施要請を受け、各自治体と調査プログラムの実施協定を締結。同社は2023年11月、ノルウェー南西部のアウレ(Aure)自治体とハイム(Heim)自治体を拠点とするSMR発電所建設に向けた評価に関する提案書を石油・エネルギー省(当時)に提出した。また同月、エストフォル・エネルギー(Østfold Energi)社ならびにハルデン市と、かつて研究炉が運転されていたハルデン市でSMR発電所建設の実現可能性を探るため、共同で新会社のハルデン・シャーナクラフト(Halden Kjernekraft)社を設立。今年4月には、ノルウェー西岸ヴェストラン県ベルゲン市の西にあるエイガーデン(Øygarden)自治体に最大5基で構成されるSMRの発電所建設サイト候補地として、サイト影響評価作業を開始すると明らかにした。
24 Jun 2024
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オーストラリア最大野党の保守連合(自由党・国民党)は6月19日、バランスの取れたエネルギーミックスと、より安価で安定したクリーンな電力供給を実現するため、原子力導入を次期総選挙の公約にすると発表した。同国はウランの主要輸出国であるものの、原子力発電を法律で禁止している。一方で核医学など、発電以外の原子力・放射線利用には力を入れている。気候変動・エネルギー・環境・水資源省によると、2022年の同国の電源別シェアは、石炭(47%)、天然ガス(19%)、石油(2%)と、化石燃料が7割近くを占めており、太陽光は14%、風力は11%、水力が6%。石炭は減少傾向にあり、太陽光と風力は増加を続けている。保守連合は、現労働党政権が2030年までに再生可能エネルギーを82%にするという目標を掲げるもののスケジュールは大幅に遅延し、急速なエネルギーの枯渇に直面、全国の家庭や企業の電力料金は値上がりが顕著であると指摘。コストのかかる「再生可能エネルギーのみ」のアプローチは既に失敗しているとし、現政権が掲げる2030年までに43%のCO2排出量削減目標は達成不可能と主張している。また、最大シェアの石炭火力発電所は今後10年間で閉鎖予定であり、保守連合は政権交代が実現すれば、再生可能エネルギーや天然ガスとともにバランスの取れたエネルギーミックスを図り、電力料金とCO2排出の削減を実証している原子力を導入して、より安価でクリーンな電力を安定供給するとともに、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにし、強固で回復力のある経済を実現するとの方針を示した。閉鎖済みまたは閉鎖予定の石炭火力発電所サイトに原子力発電所(小型モジュール炉を含む)を建設する方針で、候補サイトは以下の7地点。リデル発電所(ニューサウスウェールズ州)マウント・パイパー発電所(ニューサウスウェールズ州)ロイ・ヤン発電所(ビクトリア州)タロン発電所(クイーンズランド州)カリデ発電所(クイーンズランド州)ノーザン発電所(南オーストラリア州、SMRのみ)ムジャ発電所(西オーストラリア州、SMRのみ)これらの発電所は、冷却水や送電網などの原子力発電所に必要なインフラを既に備え、地元コミュニティには熟練労働者の雇用機会、経済的利益をもたらし、現政権の「再生可能エネルギーのみ」のシステム構築に必要な新たな経費の支出やそれに伴う電気料金の値上げを回避できるとしている。そして保守連合は、現政権の「再生可能エネルギーのみ」のアプローチでは、5,800万枚のソーラーパネル、3,500基の新しい産業用風力タービン、最大2.8万kmの新送電線の全国敷設が必要となり、1.2兆~1.5兆豪ドル(約127兆~159兆円)の費用が掛かるとのエネルギー専門家による試算を紹介。現政権が提案する太陽光と風力発電のみに依存する国は世界中になく、世界20大経済国の中で、原子力を利用していない、あるいは利用に向けて動いていないのは、オーストラリアだけであると訴えている。政権交代が実現すれば、SMRまたは米ウェスチングハウス(WE)社製の「AP1000」や韓国電力公社(KEPCO)製APR1400などの最新大型炉を採用した2つの発電所プロジェクトを計画し、SMRの場合には2035年、大型炉の場合には2037年に運転を開始したい考えだ。発電施設は政府所有とし、建設と運転については経験豊富な原子力発電会社と提携するとしている。オーストラリアの世論も原子力に対して肯定的になっている。同国の世論調査を20年にわたり広範囲のテーマで実施するローウィー研究所が、オーストラリアの成人2,028人を対象とし、6月上旬に公表した年次世論調査の結果によると、オーストラリアが原子力発電を利用することを「どちらかといえば支持」または「強く支持」すると答えた回答者は61%で、「どちらかといえば反対」または「強く反対」の37%を上回った。なお、原子力発電を「強く支持」(27%)が「強く反対」(17%)を上回っている。対照的に、2011年に実施した質問で、「温室効果ガス排出削減計画の一環としての原子力発電所建設」に「強く反対」と答えたのは46%、「やや反対」と答えたのは16%であった。同研究所は、オーストラリア人の原子力発電に対する世論の現状が10年以上前の否定的な態度から大きく変化したと分析している。なお、保守連合の原子力発電導入方針とサイト候補地の発表を受け、C.ボーウェン気候変動・エネルギー相は、「詳細、コスト、モデルが何も示されておらず、オーストラリアの排出削減目標の達成には遅すぎ、高すぎ、リスキーだ。これは計画ではなく、詐欺だ」と自身のSNSにポストしている。
21 Jun 2024
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エストニア議会(リーギコグ)は6月12日、エストニアにおける原子力導入支援に関する決議を採択した。今後、原子力安全法の起草、必要に応じて既存の法律の改正・補足、原子力の規制組織の設立、および専門家の育成を実施する。本決議は、エストニアにおける原子力導入を許可するか否かに関する基本的な決定。エストニアに原子力発電所を建設する許可を与えるものではない。決議案には41名の議員が賛成、25名が反対、2名が棄権した。リーギコグの55名の議員は5月9日、同国における原子力導入と適切な法的・規制的枠組みの創設の準備を開始することを可能にする決議案を提出した。エストニア政府の原子力作業部会(代表:A.トゥーミング気候省次官)が2021年から2023年にかけて作業し取りまとめた、エストニアに原子力導入は可能であると結論づけた報告書に基づいている。決議は、2035年までのエネルギー部門国家開発計画において、気候中立のエネルギーへの移行期におけるエネルギー供給の安全性を確保するため、原子力導入による影響に対処することや、規制の枠組みの確立にあたっては、国家の安全保障、資金調達、プラントの所有形態に関するリスクを徹底的に評価することを求めている。また、決議の説明覚書では、エストニアにおける原子力導入の利点として、再生可能エネルギーの発電能力による変動の均衡、気候目標の達成への貢献、長期的に安定して安価な電力価格の維持、研究開発の促進、経済的効果、地元の雇用創出を挙げている。原子力作業部会の報告書は、原子力発電所の建設資金を民間部門から調達し、原子力利用を可能にする枠組みを構築するための国家予算の費用は、原子力計画段階から発電開始までの9~11年の期間で約7,300万ユーロ(約123.9億円)と試算。原子力導入は主に税収の増加や経済活動の活性化により国家に安定した歳入をもたらすと評価している。エストニアの現在の電源は、化石燃料、特にオイルシェール燃料が大半を占めている。エストニアは、2050年までに排出量実質ゼロを達成することを掲げており、国内のオイルシェールの段階的廃止を開始する2035年までにエネルギー・ミックスを多様化するため、信頼性が高く低炭素な電源の選択肢として原子力発電に注目している。原子力作業部会の報告書では、電気出力40万kW以下のSMRの導入が適切とし、小規模なバルト海電力市場、再生可能エネルギー、供給目標、欧州の水素市場の発展の可能性を考慮し、水素製造が可能なSMRを3~4基または合計120万kWまでの導入可能性を検討。炉型の選択にあたっては稼働実績と燃料供給の安定性を重視している。なお、2023年2月、エストニアの新興エネルギー企業のフェルミ・エネルギア社は、GE日立・ニュクリアエナジー社のSMR「BWRX-300」を2030年代初頭までに建設すると発表した。
20 Jun 2024
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スウェーデンの国営電力会社、バッテンフォールは6月12日、ヴェーロー半島にあるリングハルス原子力発電所(PWR、110万kWe級×2基)の西側に建設を計画している小型モジュール炉(SMR)について、供給候補6社から英国のロールス・ロイスSMR社と米国のGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社の2社に絞り込んだことを明らかにした。今後、同2社の提案を詳細に分析した上で、SMR建設に係るスケジュールを共同して策定していくとしている。並行して、バッテンフォールは大型原子炉の建設条件の検討を続けており、大型原子炉の供給者として、米国のウェスティングハウス(WE)社、フランス電力(EDF)、韓国水力・原子力会社(KHNP)を挙げている。バッテンフォールのD.コムステッド新原子力発電部門長は、「炉型は未定だが、SMRまたは大型炉に係わらず、将来の投資決定には国との合理的なリスク分担モデルが必要になる。新規建設の資金調達コストを削減し、電力需要者が負担する発電コストを合理的にする必要がある」と指摘した。炉型の選択に係わらず、建設の最終投資判断(FID)は、必要な許認可をすべて取得した後に行い、早ければ2030年代前半に新規炉の運転を開始したい考えだ。なお、バッテンフォールは6月17日、同社を含むフォルスマルクとリングハルスの各原子力発電所の所有者が既存炉の運転期間を60年から80年に延長する方針を決定したと発表した。運転期間延長により、2060年代までカーボンフリーの電力供給が可能になり、スウェーデンの消費者への効率的な電力供給だけでなく、エネルギー移行の面でも有利になるとしている。同社のT.ウォールボルグ北欧地域担当上級副社長は、「原子力は、スウェーデンのカーボンフリーの電力生産において、今後何十年にもわたって重要な役割を果たすため、新設だけでなく既存炉への投資も極めて重要。過去に大規模なバックフィット作業を実施しており、運転期間の20年延長に問題はない」と運転期間延長の意義を強調した。フォルスマルク発電所1~3号機(BWR、各110~120万kWe級)とリングハルス発電所3~4号機の運転期間の20年延長により、合計8,000億kWh以上の電力供給が可能であり、現在のスウェーデンの電力消費量のほぼ6年分に相当するという。この方針の決定に続き、より詳細なコスト計算やリスク分析を含む詳細な調査段階を経て、最終的な投資決定(FID)が行われる。必要な投資のほとんどは2030年代に行われる予定だ。運転期間延長には、システムや機器の交換や改修に推定400億~500億スウェーデン・クローナ(約6,047億~7,560億円)の投資を予想。技術的なニーズには、タービン、発電機などの機器の保守、改修、交換、制御・監視システムの改良のほか、電力網などのインフラへの投資も必要であるという。スウェーデンでは2022年9月に総選挙が行われ、翌10月、40年ぶりに原子力を全面的に推進する中道右派連合の現政権が新たに誕生、2023年11月には、原子力発電の大規模な拡大をめざすロードマップを発表した。これには、カーボンフリーの電力を競争力のある価格で安定的に確保し、社会の電化にともない総発電量を25年以内に倍増させるため、2035年までに少なくとも大型原子炉2基分の原子力発電設備を完成させ、さらに2045年までに大型炉で最大10基分相当の原子力発電設備の追加などが盛り込まれている。また、今年1月には、環境法の一部改正法が発効、新たなサイトでの原子炉の建設禁止や国内で同時に運転できる原子炉基数を10基までとする制限事項が撤廃されるなど、原子力推進に向けた環境整備が着々と進められている。
19 Jun 2024
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米国のウェスチングハウス(WE)社は6月11日、カナダのオンタリオ州キッチナーにグローバルエンジニアリングハブを開設した。同ハブのサイト面積は約1,200m2。CANDU炉や海外の新設プロジェクトのサポートに特化した設計エンジニアリングチームのカナダ唯一の拠点となり、同社製の「AP1000」、小型モジュー炉(SMR)の「AP300」、マイクロ炉の「eVinci」の世界展開を支援する。ハブには、最先端のトレーニング施設や防火エンジニアリング・サービスの研究所も設置される。開設記念式典に出席したオンタリオ州経済開発・雇用創出・貿易省のV.フェデリ大臣は、「オンタリオ州は北米で2番目に大きな技術者集団の中心地。多くの優秀な技術労働者がキッチナーおよびウォータールー地域に居住している。WE社のキッチナーのエンジニアリングハブへの投資は、オンタリオ州の原子力の新たな進歩を約束するもの」と指摘した。同じく式典に出席したWE社のP.フラグマン社長兼CEOは、「現在、当社にはカナダを拠点に250人以上の専門家がいる。キッチナーの新しいエンジニアリングハブには、2025年までに約100人のエンジニアを増員予定。強固な国内サプライチェーンと実証済みの技術で何世代にもわたりカナダのクリーンエネルギーのニーズに応えていく」と強調した。キッチナーのサイトは、WE社の5つのグローバルエンジニアリングハブの1つ。このサイトが選ばれた理由は、クライアントや多くのサプライヤーに近いだけでなく、理工系で有名なウォータールー大学など優秀な人材の育成機関に近接しているためだという。なお、今年2月末、コンサルティングファームである英プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が、「カナダにおけるウェスチングハウス(WE)社製AP1000プロジェクトの経済的影響」を発表し、WE社がオンタリオ州に4基の「AP1000」を導入した場合の大きな経済的影響を示した。さらに、WE社とサスカチュワン研究評議会(SRC)は、カナダ初となるマイクロ炉「eVinci」の初号機をサスカチュワン州に2029年までに建設する計画だ。
18 Jun 2024
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ロシア国営原子力企業ロスアトムは6月7日、ロシアのサンクトペテルブルク市で開催された国際経済フォーラムで、西アフリカのギニア共和国と浮揚式原子力発電所(FNPP)の開発に係る協力覚書に調印した。本覚書に基づき、両者はギニアにおけるFNPPの導入をめざし、プロジェクト開発の諸条件を検討する。本覚書の調印を受け、ロスアトムの機械製造部門副責任者であるV.アプテカレフ氏は、「ギニアの産業ならびに家庭への電力供給に向け、『RITM-200』をベースにしたFNPPの導入を検討する。アフリカ地域の電力供給問題は喫緊の課題であり、ギニアに迅速で信頼性が高く、環境に優しいソリューションを提供したい」と語った。国連エネルギー統計年鑑によると、大西洋に面したギニアの総発電電力量は約30億kWh(2021年)で、水力発電が88%を占めている。「RITM-200」は原子力砕氷船に搭載・運転実績がある一体型PWRの先進小型炉で、現在、ロシア極北で世界最大級の未開発銅鉱床に電力を供給するため、FNPPの建設が進行中だ。ロスアトムによると、多数の国と地域がFNPPに関心を持っているという。ロシアではロシア極北のチュクチ自治管区ペベク市で世界初のFNPP「アカデミック・ロモノソフ」が稼働中。2020年5月に営業運転を開始した。同FNPPにはKLT-40S×2基を搭載し、近隣の町ペベク市に電力および熱を供給する。
18 Jun 2024
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