フィンランドのステディ・エナジー(Steady Energy)社は10月12日、フィンランドのケラヴァ市が保有するエネルギー企業のケラヴァン・エネルギア(Keravan Energia)社と、ケラヴァ市での小型モジュール炉(SMR)を使用した地域熱供給に関する協定を締結した。早ければSMRの建設を2029年から行い、地域熱供給を2032年に開始する見込み。 ステディ社は2023年にフィンランド国営のVTT技術研究センターからスピンオフした、SMR開発を行うスタートアップ企業で、フィンランド国内では既にクオピオ市、ヘルシンキ市で同様の取り組みを進めている。 ケラヴァン社は、2030年までのカーボンニュートラル達成を企業理念として掲げており、現在の地域熱供給にはバイオマス燃料と泥炭が燃料として使用されている。同社のJ. レトCEOは「電力価格の変動に対抗するには、より安定した電源が必要である。ステディ社が開発するSMRは非常に現実的な選択肢だ」と強調した。 今後、SMRの立地適性および技術的・経済的実現可能性の評価、規制当局による許認可手続きなどが行われる見込み。 建設が予定されているSMRは、これまでの2都市と同様にステディ社の「LDR-50」(5万kWt)で、コストは約1億ユーロ(約162億円)と見積もられている。LDR-50は熱供給専用で、最大150℃の熱を発生させる。地域暖房以外にも産業用蒸気や海水淡水化での利用を視野に入れている。高さは約10mで、地下に建設される。 ステディ社は来年、LDR-50の機能性などの検証を目的に、LDR-50のパイロットプラント(電気加熱式)をフィンランド国内に建設予定で、建設コストは1,500万~2,000万ユーロ(約24~32億円)。建設候補地としてはヘルシンキ市、クオピオ市、エスポー市、ラハティ市が挙げられている。
17 Oct 2024
1229
欧州委員会(EC)は10月11日、今年2月に立ち上げた「欧州SMR産業アライアンス(European Industrial Alliance on SMRs)」による初回の支援対象として9件のSMRプロジェクトを選定したことを明らかにした。同アライアンスは、欧州域内での2030年代初頭までの小型モジュール炉(SMR)の導入加速と、熟練労働力の確保など堅固なSMRサプライチェーン確立を目的に今年2月に発足。SMR開発会社、電力会社、エネルギー集約型企業、サプライチェーン企業、研究機関、金融機関など300以上の組織が加入する。アライアンスは6月、具体的なプロジェクトの成果をあげるべく、アライアンスのプロジェクト・ワーキング・グループ(PWG)への参加を希望するSMRプロジェクトの募集を開始。その後、寄せられた22件の申請について審査と評価を行い、初回の支援対象となる9件のプロジェクトを選定した。プロジェクト提案の評価にあたっては、実現可能性は考慮していないという。10月7日の理事会で選定された9件のSMRプロジェクトは以下の通り。EU-SMR-LFR project(伊・Ansaldo Nucleare, ベルギー・SCK-CEN, 伊・ENEA, ルーマニア・RATEN)CityHeat project(仏・Calogena, フィンランド・Steady Energy)Project Quantum(米・Last Energy)European LFR AS Project(英・Newcleo)Nuward(仏・EDF)European BWRX-300 SMR (ポーランド・OSGE)Rolls-Royce SMR(英・Rolls-Royce SMR Ltd)NuScale VOYGR SMR (ルーマニア・RoPower Nuclear SA)Thorizon One project (蘭・Thorizon)PWGは5月下旬の総会にて設置が決定した8つの技術作業部会(TWG:①産業への応用、②技術および研究・開発・イノベーション、③サプライチェーン、④労働者の技能、⑤パブリック・エンゲージメント、⑥原子力安全と保障措置、⑦燃料サイクルと廃棄物管理、⑧ファイナンス)から、特定のニーズに応じて支援を受ける。各プロジェクトとの協力に関心のあるステークホルダーもPWGに参加することができる。なお、アライアンスから資金提供の支援はない。今回支援対象に選定されなかったプロジェクトに対しては、主な改善点の概要が示されており、2025年第2四半期に予定される第2回目の選考時に再申請が可能となっている。
16 Oct 2024
1518
米エネルギー省(DOE)は9月30日、報告書「Pathways to Commercial Liftoff: Advanced Nuclear(商業化へのパスウェイ:先進原子力((報告書が指す先進原子力とは、第3世代+と第4世代の原子炉において実証済みの技術から革新的な技術まで、大型炉/小型炉/マイクロ炉の3サイズがある。 報告書では一般例として、大型軽水炉=約100万kW、小型モジュール炉(SMR)=約5万~約35万kW、マイクロ原子炉=5万kW以下、と定義している。)))」の最新版を発表した。2023年3月に発表された同報告書の改訂版で、重要なクリーンエネルギーの商業化成功への道筋を示している。具体的には、新型炉の導入に至るスケジュール感などの認識を官民で共有し、より迅速かつ協調的な行動を促進することが狙い。報告書は、昨今の電力需要の増加、最新の大型炉であるAP1000 に対する関心の高まり、閉鎖炉の再稼働計画といった、既存炉が有する価値の再認識など、最近の原子力再評価の動きを反映した内容となっている。報告書はまず、米国の原子力発電設備容量が2024年の1億kWから2050年までに3億kWまで3倍になる可能性があるとの見通しを提示。背景として、人工知能(AI)やデータセンターによる電力需要が増加している現状を挙げ、それに伴い新規原子力への投資を支援する新たな顧客層が出現した、と指摘した。さらに、インフレ抑制法(IRA)のインセンティブが、既存原子力発電所および新規原子炉の評価に大きな変化をもたらしているとし、電力会社が2年前には原子炉を閉鎖していた状況から一変、2024年には原子炉の80年運転、出力増強、閉鎖炉の再稼働など、原子力の積極活用に舵を切っているとの現状認識を示した。また報告書は、原子力が再生可能エネルギーを補完する存在として、エネルギー移行に不可欠な役割を担っていると指摘。再エネの導入ペースにかかわらず、電力システムの脱炭素化モデルは、ネットゼロ達成のためには少なくとも7億~9億kWの追加のクリーンかつ確実な発電設備容量を必要としているとした。そして、原子力は、これを大規模に達成できる数少ない実証済みのオプションの一つであり、原子力を組み合わせることにより、安定しない電源の追加設置、エネルギー貯蔵、送電網の必要性を減らし、脱炭素化コストの削減にも寄与するとした。さらに、原子力は、脱炭素化においてさまざまな価値を提供すると紹介。具体的には、①カーボンフリー電力である、②再エネを補完する確実な電力を提供できる、③土地の利用が少ない、④分散型電源よりも送電に必要な条件が少ない、⑤高サラリーな雇用を提供し、地域経済にも大きなメリットがある、⑥ネットゼロへの公平な移行を支援し、産業用熱利用などさまざまな用途がある――ことなどを挙げた。そのうえで、今後の新規原子力の大規模展開に向けては、少なくとも同じ炉型を5〜10基シリーズ建設するという確約された受注が、商業展開を促進するための最初の重要なステップであると指摘。同一炉型を繰り返し建設することで、建設コストが大幅に削減されるとの見方を示した。また、最初のプロジェクトを適切にオンタイム、オンバジェットで実施することが不可欠とも強調。米国で30数年ぶりに建設開始し、このほど運転開始をしたボーグル3、4号機(AP1000×2基)の経験により、サプライチェーンの基盤や人材開発が整備され、さらに今後のAP1000の展開にあたっては、30~50%の投資税額控除やコストの最大80%のDOE融資プログラム局(LPO)による融資が適用されるなど、IRAにより大幅なコスト削減が可能、との見方を示した。最後に、商業化展開への障害として、①電力市場価格が原子力発電の価値を一貫してカバーしていない、②コストおよび超過リスク、③米国の原子力および巨大プロジェクトの実施基盤の不足――を挙げ、原子力産業界、投資家、政府、そしてより広範なステークホルダーらそれぞれが、これら課題を克服すべく役割を担っていると結論している。
16 Oct 2024
2305
米エネルギー省(DOE)の原子力エネルギー(NE)局は10月8日、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」アジェンダの一環として、HALEU((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))の再転換事業のサプライチェーンを支援するため、国内6社と契約を締結した。NE局は、現在開発中の小型で運転サイクルが長い多くの先進炉では、高効率化のためにHALEUが必要になると指摘。今回の契約により6社間でHALEU再転換の「競争原理」を生み出し、DOEが最適な企業を選択できるようにするという。契約は最長10年間、基本報酬として各社に最低200万ドル(約2.9億円)を支払う。契約を締結した6社は、BWX テクノロジーズ(BWXT)社、セントラス・エナジー社、フラマトム社、GE ベルノバ社、オラノ社、ウェスチングハウス社。予算の確保状況にもよるが最大8億ドル(約1,196億円)の契約が可能だという。DOEは昨年11月、濃縮ウランを先進炉向けに再転換するサービスの提案依頼書(Request for Proposals:RFP)を発行していた。これは、2020年エネルギー法によりDOEが民間による国内研究、開発、実証、商業利用のためHALEUへのアクセスの確保を目的に、インフレ抑制法(IRA)から資金手当てを得て実施する「HALEU利用プログラム」の一部である。今回の契約を通じてDOEが取得するHALEU燃料は、DOEの先進的原子炉実証プログラム(ARDP)を通じて開発中の、テラパワー社のNatriumやXエナジー社のXe-100などに供給される。米国では現在、商業レベルのHALEUの濃縮および再転換を行っていない。なおDOEは、HALEUサプライチェーンの全体をサポートする濃縮サービスの契約も締結する予定。DOEのD. トゥルク副長官はリリースの中で、「強力で信頼性の高い国内燃料サプライチェーンの構築によって、政府の野心的な気候目標の達成、および高賃金・高スキルの雇用の創出や経済競争力を強化する。今回の契約は、原子燃料のロシアへの依存を排除し、エネルギー安全保障の強化を掲げる米政府の姿勢を明確にするものだ」と強調した。DOEの予測では、2035年までに100%のクリーンな電力、2050年までにネットゼロの達成という政府目標の達成のためには、2020年代末までに先進炉用のHALEU燃料40トン以上が必要であり、毎年、追加の量が必要になるという。
15 Oct 2024
1483
フィリピンのエネルギー省(DOE)と韓国水力・原子力(KHNP)は10月7日、フィリピンのマラカニアン宮殿において、F. マルコス大統領と韓国のY. ソンニョル(尹錫悦)大統領の立会いの下、エネルギー分野の協力に関する覚書(MOU)を締結した。本MOUにより、韓国はDOEと協力して、フィリピンにあるバターン原子力発電所(BNPP)の修復に向け、包括的な実行可能性調査を実施する。フィリピンでは1985年に東南アジア初の原子力発電所となるバターン原子力発電所(米ウェスチングハウス社製PWR、62万kWe)がほぼ完成したが、1986年に発足したアキノ政権は、同年のチョルノービリ原子力発電所事故の発生を受け、安全性及び経済性を疑問視し、運転認可の発給を見送った。その後、急速なエネルギー需要が国産エネルギーの開発や輸入エネルギーの増加でも賄えない場合に備え、1995年から原子力発電の導入について検討が始まったが、2011年3月の福島第一原子力発電所事故を受け、再度原子力発電開発を断念した。BNPPの実行可能性調査は2025年1月に開始され、初期段階で改修が難しいと判断された場合、新規の大型炉もしくは小型炉の建設の検討も視野に入れる。なお、韓国はKHNP、韓電KPS、斗山重工業で構成される韓国チームが2008年と2017年に実施した調査により、BNPPに精通している。今回のBNPPの実行可能性調査に関連するすべての費用はKHNPが全額負担。フィリピン政府は調査後、さらなる評価を行うこととしている。また今回のMOUにより、KHNPはBNPPの調査だけでなく、他の炉型やサイト候補地の調査を実施し、フィリピン政府の意思決定プロセスの指針となる重要な情報提供も行う。フィリピンは2022年2月の大統領令により、原子力をエネルギーミックスに統合するプロセスを開始する決定を明確にした。人口増加が続くフィリピンでは、慢性的な電力不足が続いているほか、電力は輸入化石燃料への依存度が高く、発電のおよそ60%を石炭火力が占め、現在、エネルギーセキュリティーと環境影響の観点から原子力発電の導入を目指している。また、フィリピンは、最新のフィリピン・エネルギー計画(PEP)2023-2050において、2032年までに最初の原子力発電所を稼働させ、その後、2035年までに240万kW、2050年までに480万kWへと拡大する目標を示している。原子力発電は、エネルギーミックスの多様化、エネルギー安全保障の強化とともに、人材への投資を促進して労働生産性を向上させ、計画期間内の温室効果ガス排出量削減のための費用対効果の高い選択肢としての役割が期待されている。また、従来の加圧水型原子炉(PWR)と比較してより迅速な展開につながる可能性がある小型モジュール炉(SMR)またはマイクロ炉がコスト競争力のあるエネルギー供給源の代替案となり、送電網のない地域への持続可能な電力供給源となる可能性があると指摘する。DOEの主導により、原子力エネルギー計画機関間委員会(NEP-IAC)が組織され、同委員会の下で、国際原子力機関(IAEA)の新規導入国向けのガイドラインであるマイルストーンドキュメントに沿って、整備すべき19項目に対応する6つの小委員会が設置されている。9月には、オーストリアのウィーンで開催された第68回IAEA総会において、DOEのS. ガリン次官が一般討論演説の中で、原子力ロードマップ(NEP)を発表。原子力規制機関の設立のほか、原子力安全に焦点を当てた重要法律の推進を強調した。また、原子力発電の利用を進める中で、公衆衛生と環境を保護し、国家安全保障を維持する法的・規制的枠組みを確実に整備することが政府の優先事項であるとしている。
11 Oct 2024
1888
米輸出入銀行(US EXIM)は10月1日、ルーマニア南部ドゥンボビツァ県のドイチェシュテイ(Doicesti)で計画されている小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトに対し、9,800万ドル(約145億円)の融資を承認した。 ルーマニアは現在、ドイチェシュテイで13年前に閉鎖された旧・石炭火力発電所サイトに、米ニュースケール・パワー社製SMRである出力7.7万kWeの「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を6基備えた「VOYGR-6」(合計出力46.2万kWe)の建設を計画している。プロジェクトは、ルーマニアの国営原子力発電会社であるニュークリアエレクトリカ(SNN)と民間エネルギー企業のノバ・パワー&ガス社の合弁企業であるロパワー・ニュークリア(RoPower Nuclear)社を中心に進められており、そのほか、大手EPC(設計・調達・建設)企業であり、ニュースケール社の大株主でもある米フルアー(Fluor)社、韓サムスンC&T社(サムスン物産)、米サージェント&ランディ(Sargent & Lundy)社も参画している。フルアー社は現在、7月にロパワー社と締結した同プロジェクトの基本設計の第2段階(Front-End Engineering and Design:FEED2)契約に基づき、作業を進めている。今後、同社は、プロジェクト実施に必要な設計・エンジニアリングサービスに加えて、最終投資決定に必要な安全・セキュリティ分析、最新のコスト試算、スケジュールを提供するとしている。今回のプロジェクトでは、約200名の正規雇用のほか、建設段階で1,500名、製造・部品組立で2,300名の雇用を創出するという。2029年の運転開始を目指しており、運転期間は60年、その間にも運転・保守に係る雇用がさらに創出される見込み。なお、ルーマニアのエネルギー省は、SMR初号機建設費用を現段階で49億ドル(約7,300億円)と試算している。ルーマニアのSMR建設をめぐっては、2023年5月、米国、日本、韓国、およびUAEの官民パートナーが、同プロジェクトに共同で最大2億7,500万ドル(約408億円)の支援の提供を発表しており、今回の融資はその一部と見られている。さらに、2024年3月にもUS EXIMと米国際開発金融公社(US DFC)は同プロジェクトに対して計40億ドル(約5,900億円)の融資を行うと発表するなど、米政府が後押ししている。ルーマニア政府は8月23日、「2050年を見据えたルーマニアのエネルギー戦略2025~2035年」を発表し、その中で化石燃料から再生可能エネルギーおよび低炭素エネルギー源への段階的な移行の必要性を強調。また、9月19~20日にフランスで開催された経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)による第2回「新しい原子力へのロードマップ」会議には、S.ブルドゥジャ・エネルギー大臣が出席し、ルーマニアが原子力分野において技術、教育面などから先進的な取組みを行っているとしたうえで、欧州のエネルギー転換において中心的な役割を果たすべく、原子力推進・拡大に向けて引き続き積極的に取り組んでいく姿勢を改めて示した。ルーマニアでは、1996年、2007年にそれぞれ運転開始したチェルナボーダ1,2号機(CANDU 6×2基)が運転中で、総発電電力量に占める原子力シェアは約20%(2023年実績)。1号機は、2061年までの運転が認可されている。建設中断中の同3,4号機(CANDU 6×2基)は、米加両政府などの支援を受けて、建設再開に向けた準備が進められている。
11 Oct 2024
1545
米ケイロス・パワー社は10月2日、ニューメキシコ州アルバカーキ市にある同社サイトにおいて先進炉向け熔融塩冷却材製造施設の起工式を開催した。同社がテネシー州オークリッジで建設中の低出力実証炉「ヘルメス」をはじめ、同社の先進炉に高純度の熔融塩冷却材を供給する。ケイロス・パワー社のへルメスおよびフッ化物塩冷却高温炉(KP-FHR)は、Flibe(フリベ)と呼ばれる化学的に安定したフッ化リチウム塩とフッ化ベリリウム塩の混合物である熔融フッ化物塩冷却材によって冷却される。独自の伝熱媒体により、原子炉は低圧で動作し、放射能を封じ込め、堅牢な固有安全性を確保、設計を簡素化する。建設される熔融塩冷却材製造施設は、オハイオ州にある熔融塩精製プラントから得られたノウハウをベースとしている。同プラントでは、昨年、非原子力工学試験ユニット(ETU 1.0)向け14トンのFlibeの生産に成功した。ケイロス・パワー社は独自の化学プロセスを採用し、高純度のFlibeを大量に生産。将来のプロセス最適化と、商用炉向けのFlibeの生産を拡大する能力の確立を目指している。重要な部品や材料の生産を自ら実施することで、同社はサプライチェーンのリスクを軽減、コストとスケジュールを確実に管理しながら、自社の先進炉の開発と展開を加速させたい考えだ。ケイロス・パワー社は、熔融塩製造施設の建設と操業を支える、20~30名の高レベルの雇用創出を予定している。同製造施設は、ニューメキシコ州とアルバカーキ市から資金支援を受けるプロジェクト。また、米エネルギー省(DOE)の先進的原子炉実証プログラム(ARDP)からの資金も活用する。ケイロス・パワー社は2020年にアルバカーキ市のメサ・デル・ソルに製造開発に特化したサイトを開設。4年間で、同サイトへ1.25億ドル(約187億円)以上の設備投資を行い、現在130名以上の常勤のスタッフがいる。サイトには先進炉部品製造、Uスタンプ圧力容器製造、モジュール炉建設、大規模な非原子力試験のための施設やTRISO燃料の技術開発ラボがあり、今回、熔融塩の製造施設が加わることにより、ヘルメス実証炉の実現と商用炉向けの生産拡大が可能となる。また、これらの施設の操業により、ニューメキシコ州に、この先10年で4.78億ドル(約714億円)の経済効果をもたらすとの予測もある。熔融塩の製造施設は米国の原子力産業にとって初となるものであり、ケイロス・パワー社は、重要な材料の国内生産能力を確立し、海外サプライヤーへの依存の低減を狙う。
10 Oct 2024
1366
英原子力規制庁(ONR)による起訴を受け10月2日、セラフィールド社は4年間のサイバーセキュリティー上の不備により332,500ポンド(約6,500万円)の罰金を科された。英国原子力廃止措置機関(NDA)の傘下にある同社は、カンブリア州で広大な原子力施設を運営している。具体的には、旧原子力施設から発生した放射性廃棄物などの回収、プルトニウムやウランを含む特殊核物質の貯蔵、使用済み燃料の管理、サイト内の施設の解体処理などを実施している。ONRは、2019年から2023年にかけてのセラフィールド社のITシステムのセキュリティー管理が、2003年の原子力産業セキュリティ規則に違反していると認定。ONRによると、セラフィールド社はサイバーセキュリティーと機密性の高い原子力情報の保護に関し、定められた基準、手順、取決めを満たしておらず、かなりの期間にわたり重大な不備があったことが判明したという。セラフィールド社はこの状態を放置し、実際に脆弱性が悪用されたという証拠はないものの、同社のITシステムが不正アクセスやデータ損失に対して脆弱であったとONRは判断した。ONRの検査官は2023年、ランサムウェア攻撃が成功した場合、現場での重要な「危険性の高いリスク軽減」作業に影響を与え、IT運用がその後通常の状態に戻るまでに最大18か月かかる可能性があると指摘。セラフィールド社内でも、フィッシング攻撃や悪意のある内部関係者が、重要なデータシステムの損失や情報漏洩を引き起こす可能性があることを認識していたという。攻撃が成功した場合、業務は中断され、施設損傷もしくは、重要な廃止措置作業が遅延する可能性があった。今年6月にウェストミンスター治安判事裁判所で行われた審問で、セラフィールド社は情報技術ネットワーク上の機密核情報の適切な保護の確保を怠り、承認されたセキュリティ計画の遵守をしなかった罪状を認めた。同裁判所は10月2日、セラフィールド社に対し、違反が中程度の過失と裁定し、332,500ポンド(約6,500万円)の罰金と訴訟費用53,253.2ポンド(約1,033万円)を支払うよう命じた。ONRのP. ファイフ規制担当シニアディレクターは、「2003年の原子力産業セキュリティ規則の下での義務を遵守する同社の能力が不十分であったことが認められた。欠陥はかなり長い間知られていたが、我々の介入と指導にもかかわらず、セラフィールド社は効果的に対応できず、セキュリティ侵害とシステムの侵害に対して脆弱な状態となった。ただし、昨年、改善が実施されている」と評価し、「サイバーセキュリティを含むすべてのリスクに対する原子力業界の効果的な管理を保証するために、我々規制当局は必要に応じて厳格な監視を継続する」と強調している。
09 Oct 2024
1920
カザフスタンでは10月6日日曜日、原子力発電所建設を問う国民投票が全国で実施され、唯一の設問「カザフスタンに原子力発電所を建設することに賛成するか」に71.12%が賛成した。投票率は63.66%だった。K.-J. トカーエフ大統領は自身による投票後、記者団に対し、「今日は歴史に残る日となる。国民がどのような決定を下すにせよ、国家は国民の意志によって導かれる。これは画期的なイベントであり、私は国民投票の実施を支持する」と述べた。記者に、原子力発電所建設が国民の支持を受けた場合、採用炉型について問われると、私見としながらも、「供給者は国際的なコンソーシアムであることが望ましい」との考えを示した。カザフスタンは世界有数のウラン産出国であり、旧ソ連時代から燃料製造や原子力研究などが積極的に行われている。カスピ海沿岸にあるアクタウでは、熱電併給・海水脱塩用の高速炉BN-350(15万kWe)が1973年~1998年に稼働していたが、現時点で国内に原子力発電所はない。化石燃料資源が豊富な同国では現在、総発電電力量の約70%を石炭火力、20%を天然ガス火力に依存しており、複数の石炭火力発電所が今後10年で閉鎖される予定。トカーエフ大統領は、脱炭素やエネルギー安全保障の観点から、原子力発電所建設には前向きの姿勢を示してきた。同大統領は今年6月、「エネルギーの安定供給なくして経済発展はない」として、国民投票の実施を表明していた。カザフスタンでは、旧ソ連時代の40年間、同国東部のセミパラチンスクで456回の核実験が行われ、周辺住民の健康被害が長く続いた経緯もあり、国民投票の結果は注目されていた。
08 Oct 2024
1485
韓国原子力安全委員会(NSSC)は9月26日、韓国原子力研究院 (KAERI)、韓国水力・原子力 (KHNP)、サウジアラビアのアブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市公団 (K.A.CARE)が共同開発する小型モジュール炉(SMR)のPWR「SMART100」の標準設計承認 (SDA) を発給した。SMART(System-integrated Modular Advanced Reactor)は、2012年7月にSDAを取得。KAERI、KHNPおよびK.A.CAREが2019年12月にSDAを申請したSMART100はSMARTの改良版であり、SMARTの安全性、経済性、運転上の優位性を基に、完全受動的安全システムによる緊急時の原子炉の安全な停止と冷却を確保。熱出力を33万kWから36.5万kW、電気出力を10万kWから11万kWに向上させている。設計寿命は60年。SMART100の輸出を視野に、まずは技術開発の主要パートナーであるサウジアラビアへの輸出を目指している。SMART100は発電に加え、海水淡水化、地域暖房、プロセス熱供給など多用途に設計されており、簡素化されたモジュール設計により経済性を向上。蒸気発生器や原子炉冷却ポンプなどの主要コンポーネントを原子炉容器にコンパクトに一体化し、大規模な配管破断などの重大事故のリスクを低減。さらに、原子炉は事故発生時にも非常用発電機や運転員の介入を必要とせず、安全な状態の維持が可能であるという。KAERIは、このSDA取得を安全性と商業化への準備を実証する重要なマイルストーンと捉えており、SMART100で世界市場に進出したい考えだ。
08 Oct 2024
1367
チェコ電力(ČEZ)は10月1日、仏フラマトム社と、燃料の効率性と安全性向上を目的に、ロシア型PWRであるVVER-1000の燃料開発に関する了解覚書(MOU)を締結した。ČEZは、テメリン原子力発電所で2004年からVVER-1000×2基(各108.6万kWe)を運転中。自社の原子力発電所の安全性と効率性向上に重点的に取組むと同時に、少なくとも60年間の運転を目指している。同社のB. ズロネク取締役・原子力部門長は、「チェコのエネルギー安全保障強化の最重要課題は、燃料供給確保と燃料調達先の多様化だった。次の課題は、新燃料のフラマトム社との共同開発だ」としている。ČEZは現在、ドコバニ発電所(VVER-440×4基、各51万kWe)とテメリン発電所で年間約300億kWhを発電、これはチェコの総発電電力量の約3分の1に相当する。フラマトム社は、2018年からVVER-1000の独自の燃料設計に取組んでおり、2022年12月には、ブルガリアのコズロドイ発電所と同6号機(VVER-1000)への2025年から2034年までの10年間の燃料供給契約を締結している。現在、EU域内では18基のVVERが稼働しており、100万kWe級のVVER-1000はブルガリアとチェコで各2基ずつ、50万kW級ロシア型PWR(VVER-440)はチェコで4基、フィンランドで2基、ハンガリーで4基、スロバキアで4基の計14基が稼働中。国際情勢を背景にフラマトム社は、ロシア製燃料への輸入依存や関連サービスの供給中断のリスクを低減させるため、100%欧州技術によるVVER用燃料の設計開発を加速させている。フラマトム社は今年6月、欧州連合(EU)から1,000万ユーロ(約16.3億円)の資金拠出を受け、欧州原子力共同体(ユーラトム)の研究トレーニングプログラム下で、VVER-440向けの燃料開発と供給を目的とした「Safe and Alternative VVER European(SAVE)」プロジェクトを実施中だ。同社は、ロマン(フランス)、リンゲン(ドイツ)、リッチランド(米国)の3サイトで核燃料製造施設を操業している。
07 Oct 2024
1026
米原子力規制委員会(NRC)は9月17日、フロリダ・パワー&ライト社(FPL)のターキーポイント原子力発電所3号機および4号機(PWR、各82.9万kWe)について、それぞれ2052年および2053年までの運転期間延長を回復した。これにより80年運転が可能となった。両機は2019年12月、NRCより国内初の2度目となる運転期間延長認可(20年)を受け、それぞれ2052年7月および2053年4月までの運転期間延長が可能となった。しかし、NRCは2022年2月、国家環境政策法(NEPA) に基づく一般環境審査 には、気候変動を含む潜在的環境リスクの見直しに伴い追加情報が必要であるとし、最初の運転期間延長認可期限である2032年7月と2033年4月を有効期限に再設定した。これを受け、FPL社はサイト固有の環境影響声明書に対する追加文書をNRCに提出し、厳格な再評価プロセスを完了。2度目の運転期間延長認可の回復となった。NRCはこれまでに、送電開始以降の運転期間を合計で80年とする認可をターキーポイント3、4号機の他、コンステレーション・エナジー社とPSEG社が共同所有するピーチボトム2、3号機(BWR、各141.2万kW)、ドミニオン社のサリー1、2号機(PWR、各89万kW)、ノースアナ1、2号機(PWR、各100万kW級)に対して発給している。そのうち、ピーチボトム2、3号機については、再評価完了まで80年運転認可の効力が一時停止している。 ターキーポイント3号機は1972年に、同4号機は1973年に営業運転を開始(1、2号機の火力発電所は閉鎖。5号機のガス火力発電所は運転中)。フロリダ州マイアミの南40kmに位置する同発電所のサイト面積は44㎢。保護区域にあるマングローブ湿地帯と全長270km、面積27㎢の冷却水路に囲まれている。100万世帯の家庭や企業に電力を供給し、人口増加中のフロリダ州を支える一方、絶滅危惧種であるアメリカワニやその他の在来種の生息地を提供するという重要な役割を担っている。FPLは、フロリダ州で、同発電所のほか、セントルーシー原子力発電所(1、2号機、PWR 100万kWe級)を運転中。同社の総発電電力量に占める原子力シェアは20%。なお、同社はNRCに、セントルーシー発電所1、2号機の2度目となる運転期間延長認可を2021年8月に申請している。ターキーポイント原子力発電所は、1992年のハリケーン「アンドリュー」(カテゴリー5:最大クラス)の直撃に耐え、強力な自然災害にも耐えられる設計となっており、洪水や高潮から守るために海抜6mの高さに立地している。
07 Oct 2024
10344
米政府は9月30日、バイデン大統領の「米国への投資(Investing in America)」アジェンダの一環として、米エネルギー省(DOE)および米農務省(USDA)を通じて、同国中西部において信頼性が高く、安価なクリーン電力供給を支援するため、総額およそ28億ドル(4,100億円)の支援を発表した。内、DOEは融資プログラム局(LPO)を通じて、ミシガン州のパリセード原子力発電所(PWR、85.7万kWe)の復旧と再稼働に係る資金調達を支援するため、同発電所を所有するホルテック・パリセード社に対し、最大15.2億ドル(約2,225億円)の融資保証を最終決定した。今回の融資保証は、2022年に成立したインフレ抑制法(IRA)のエネルギーインフラ再投資(EIR)プログラムに基づくもので、今年4月、DOEは同発電所の再稼働に向けた融資保証としてLPOを通じて同額を上限とする条件付きの資金支援を発表していた。ホルテック社は現在、2051年まで運転できるよう大規模なバックフィットを実施中で、2025年第4四半期の送電開始をめざしている。今回の融資保証の決定は、米国の原子力発電所を再稼働させるためのDOE初の取組みであり、カーボンフリーの発電およびミシガン州の雇用拡大とともに、米国の原子力発電部門の強化に資するもの。パリセード発電所の再稼働により、ミシガン州で最大600名の常勤の高スキル、高サラリーの雇用が維持または創出される見込みで、さらに定検期間中には1,000名もの雇用も支えるという。また、同発電所の再稼働により、年間447万トンのCO2排出の削減に寄与し、これは、ガソリン車97万台以上による年間排出量にほぼ相当する。またUSDAは、IRAの一部である、エンパワリング・ルーラル・アメリカ(New ERA)プログラムの一環として、農村地域にある2つの電力協同組合のウルバリン電力協同組合(Wolverine Power Cooperative)とフージャー・エナジー(Hoosier Energy)に合計約13億ドル(1,900億円)を交付すると発表した。同プログラムは、農村地域の家庭や中小企業が安価な電力を利用できるようにし、農村地域の労働力やエネルギー、教育インフラに投資することで、農村地域のより豊かな未来を支援することを目的としている。ホルテック・パリセード社は、ミシガン州、イリノイ州、インディアナ州の農村地域に電力を供給する、これら2つの農村電力協同組合と長期電力購入契約を既に締結している。バイデン政権の気候政策担当上級顧問のJ. ポデスタ氏は、「閉鎖済みの原子力発電所を米国史上初めて復活させ、ミシガン州、ウィスコンシン州、インディアナ州、イリノイ州の農村地域に、信頼性が高く、安価なクリーン電力を供給する。インフレ抑制法が中西部のコミュニティをいかに活性化させているかを示している」と強調した。パリセード発電所は、1971年に営業運転を開始。その後、2022年5月に経済性を理由に永久閉鎖され、翌6月には同発電所は所有者・運転者のエンタジー社から、廃止措置を実施するホルテック社に売却された。近年、各国がCO2排出の抑制に取り組み、原子力のように発電時にCO2を排出しないエネルギー源が重視されるなか、ホルテック社は同発電所を再稼働する方針に転換、2023年10月、米原子力規制委員会(NRC)に運転認可の再交付を申請している。
04 Oct 2024
1360
米ウェスチングハウス(WE)社は9月16日、アイダホ国立研究所(INL)で同社製マイクロ炉「eVinci」のプロトタイプの試験に向けて、基本設計・実験機設計(Front-End Engineering and Experiment Design:FEEED) 段階を完了したことを明らかにした。WE社はFEEEDにおいて、eVinciの5分の1サイズの実験機の建設を計画。早ければ2026年にINL内で国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)が運営する世界初のマイクロ炉のテストベッドで試験を開始、最終設計の決定や許認可手続きに役立てたい考えだ。WE社傘下のeVinci テクノロジー社のJ. ボール社長は、「FEEEDプロセスの完了は、eVinciの商業化に向けた重要なステップ。今後10年以内に世界中に複数のeVinciの配置を目標としている」と述べ、NRICと協力し、eVinci試験計画の最終調整や、テストベッドへの設置に向けた長納期品の確保作業を開始するとしている。米エネルギー省(DOE)は2023年10月、国内でマイクロ炉を開発するWE社、ウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)、およびスタートアップ企業のラディアント(Radiant)社の3社に、FEEEDプロセスの実施に向けて総額390万ドルをNRICを通じて提供。具体的には、燃料を装荷する実験炉の設計、機器製造、建設、およびNRICのマイクロ炉実験機の実証(Demonstration of Microreactor Experiments=DOME)用テストベッドを使った試験の計画策定を目指している。WE社はFEEEDプロセスの重要マイルストーンである、予備安全設計報告書 (PSDR) のNRICへの提出を他2社に先んじて行った。USNC社とラディアント社も年末までにFEEEDプロセスを完了予定。NRICは、INLで30年以上運転された「実験増殖炉II(EBR-II)」の格納ドームを利用したDOMEテストベッドを改修中である。同テストベッドはHALEU燃料を使用する最大熱出力2万kWの先進的な実験用原子炉を収容、初臨界時には安全性を重視した閉じ込め機能を持つ。産業界による新技術開発に伴うリスクを軽減して開発を促進させ、先進的な原子炉設計を概念段階から実証段階へと進めて、実用化と商業化への道筋をつけることを目的としている。DOEは2020年12月、eVinciを官民のコスト分担方式で進めている「先進的原子炉実証プログラム(ARDP)」の支援対象に選定しており、7年間に総額930万ドル(このうち740万ドルをDOEが負担)を投じるとしている。eVinciは熱出力1.5万kW、電気出力0.5万kWのヒートパイプ冷却の可搬式原子炉で、軽水炉のような冷却ポンプは不要。2エーカー(約4,000㎡)ほどの敷地に設置し、HALEU燃料の3重被覆層・燃料粒子「TRISO」を使用、燃料交換は約8年おき。遠隔地のコミュニティへの熱電供給から採掘作業やデータセンターまで、幅広い用途を持つと期待されている。eVinciの建設をめぐっては、2023年、カナダのサスカチュワン州がeVinciの州内建設に向け、8,000万加ドル(約87億円)の研究補助金の交付を発表している。
04 Oct 2024
2029
世界原子力発電事業者協会 (WANO)の第17回隔年総会が9月29日~30日までアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催され、「未来を融合:技術とネットゼロ時代における持続可能なパフォーマンス(Fusing Futures: Sustainable Performance in the Tech and Net Zero Era)」のテーマの下、35の国と地域から400名以上の原子力関係者が参集。グローバルな運転経験やベストプラクティスを透明性をもって共有するとともに、高いパフォーマンスを維持するための新たな戦略やツールについて意見交換が行われた。WANOの千種直樹CEOは、「WANOは設立35周年を迎え、世界の原子力事業者のコミュニティを結集し、より高いレベルのパフォーマンスを達成するための取組みの継続において、互いに支え合うというコミットメントを強化した。世界では現在、約60基の原子力発電所が建設中であり、WANOは原子力の新規参入者と新技術への支援に特に重点を置いている。2015年以降、新規導入を支援する160以上のミッションを成功裏に終え、今回、ガーナ、ケニア、ポーランドを含む新規導入国からの代表者を初めて総会に迎えた」と述べるとともに、WANOの有する知識と経験を活用し、安全性と信頼性の確保によって業界の基盤の強化を目指すと結んだ。総会には、国際原子力機関(IAEA)のR.M. グロッシー事務局長がビデオメッセージを寄せた。また今回、改訂した戦略「UNITY Towards Nuclear Excellence」を発表。WANOが今後10年間で新規原子力プラントを安全かつ確実に稼働させるための重点項目などを示している。なお、今回の総会を機に採択された理事会決議は、原子力安全に国境はないと強調。原子力安全の維持を確実にするために、軍事紛争下で稼働するすべての原子力発電所に対してWANOが可能な限りあらゆる方法で継続的に支援するとともに、IAEAの安全への取組みへの支援の継続を約束している。また、いかなる原子力発電所も、産業界からの支援を受けられずに原子力安全を損なうことのないよう、あらゆる努力をしなければならないと再確認している。今回の総会を最後にWANO総裁を退任するUAEの首長国原子力会社(ENEC)のM.A. ハマディCEOは、「WANOの会議がアラブ諸国で開催されるのは初めてであり、最高の国際基準に沿って開発したバラカ原子力発電所は、WANOとの固い協力関係の証だ。クリーンでベースロードとなる電力供給のため、原子力発電利用の機運が高まる中、WANOは新規原子力導入を支援する上で重要な役割を果たす」と語った。次回の総会は、2026年に東京で開催される予定。WANOの新総裁には東京電力ホールディングス株式会社の小早川智明社長が就任した。同氏は就任挨拶の中で、福島第一原子力発電所の事故から13年が経過し、これまでに得られた教訓の共有により、世界中のプラントの安全性向上に寄与し続けることを強く望んでいるとした上で、「東京電力は最後まで、『福島第一』の廃炉作業に責任を持って取組んでいる。日本の原子力事業者は、2030年に向けたAction for Excellenceの目標達成のため、世界の原子力事業者を支援するために一丸となって取組んでいく。2026年に東京でお会いできることを楽しみにしている」と語った。
03 Oct 2024
1914
米ホルテック・インターナショナル社傘下の英法人ホルテック・ブリテン社は9月20日、計画中の小型モジュール炉(SMR)のコンポーネント製造拠点として、イングランド中北部のサウスヨークシャー州を選定したことを明らかにした。同社によると、これにより英国経済に15億ポンド(約2,900億円)の付加価値(GVA)をもたらし、数百もの高レベルな雇用が創出される見込み。 今回選定された拠点では、「SMR-300」(PWR、30万kWe)のほか、英国海軍が使用する大型原子炉のコンポーネントの製造も予定している。ホルテック社は、サウスヨークシャー州を中心に英国内での現地調達率70%を目標に、サプライチェーン拡大に寄与する意向を示しているほか、同製造ラインの稼働を念頭に、英国内で2050年までに約500万kW分の「SMR-300」を導入する考えだ。なおSMR-300は、英国の政府機関「大英原子力(Great British Nuclear:GBN)」が実施しているSMRの支援対象選定コンペの最終候補4炉型の一つに選ばれている。ホルテック社はこれまで、2024年初めに同社が発表したSMR製造工場の13の建設候補地の評価を進め、4か所まで絞り込んだのち、今回の決定に至った。同社のG.トーマス取締役は、サウスヨークシャー州を選んだ理由として、サプライチェーンや物流面での優位性のほかに、同州の人材の質の高さを挙げた。 今後、ホルテック社は国内外の受注動向をふまえ、投資計画確定に向けて、建設の具体化を進める。なお、SMR-300は現在、英国で初めて建設される炉型に対して行われる設計認証審査である、包括的設計審査(GDA)のステップ2(実質的な技術評価段階)に移行しており、設計の安全面や環境影響面などの審査が進められている。2023年12月には、SMR-300のGDA準備のために、英政府の「未来の原子力実現基金(Future Nuclear Enabling Fund:FNEF)」から3,000万ポンド(約57億円)の補助金が交付されている。
03 Oct 2024
1311
カナダ原子力協会(CNA)は9月24日、国内原子力関連の雇用が急増しており、熟練労働力の需要は今後も増大し続けるとの予測を発表した。カナダの原子力産業における就業人数は現在、89, 000人で、2019年比17%の大幅な増加。これは実質、GDPに年間220億カナダドル(約2.3兆円)に貢献しており、国家経済における原子力産業の重要な役割を示すものとなっている。この増加は、原子力発電所の改修プロジェクトの成功事例や、ネットゼロの達成とエネルギー安全保障の強化における原子力の重要な役割に対する認識の高まりなどに起因するとみられている。なお、就業者の44%が40歳以下であることも明らかとなり、この産業の将来性と新世代の労働者にとっての魅力が強調されている。またCNAは、原子力部門は雇用の増加だけでなく、その質においても際立っていると指摘。原子力関連の仕事の89%は、大学の学位を必要とする専門職および専門的な技術職の両方を含む、高度なスキルの必要な職に分類されていることを強調した。さらに、カナダが野心的な脱炭素化目標に向けて前進するにつれて、熟練した原子力労働者の需要がより一層高まると予測。カナダの原子力産業界は、革新的な小型モジュール炉(SMR)の開発および大型炉新設の可能性もあることから、将来のプロジェクトを支える人材を惹きつけていると分析。人材育成に積極的に取組み、高スキルの人材雇用に焦点を当て、次世代の原子力専門家の育成にコミットすることで、クリーンエネルギーの未来のために重要な役割を果たしたいとの考えだ。
02 Oct 2024
1500
スウェーデンのオスカーシャム原子力発電所を所有するフィンランド電力大手のフォータム社とドイツ電力大手のユニパー社は9月18日、同3号機(BWR、145.0万kW)の運転期間を60年から80年に延長するための予備調査を開始する方針を明らかにした。同機は、2045年まで運転期間を延長し、60年運転を実施するとしていたが、両者は2060年代半ばまでさらに運転可能とみている。同機は、1985年8月に営業運転を開始。2009年に大規模なバックフィットと出力増強を実施し、出力規模は当初の105.0万kWから145.0万kWに拡大。スウェーデン最大規模の原子炉であり、年間の発電電力量は約110億kWhに達する。なお、オスカーシャム原子力発電所への出資比率はユニパー社が54.5%、フォータム社が45.5%。同サイトには、運転中の3号機のほか、電力価格の低迷と高額な原子力発電税を理由に、2017年6月と2016年12月にそれぞれ閉鎖された1、2号機(BWR、1号機: 49.2万kW、2号機: 66.1万kW)が立地している。ロシアからのガス供給量の減少で経営難に陥り、2022年にドイツ政府により国有化されたユニパー社はスウェーデン国内で、オスカーシャムのほか、リングハルス((現在リングハルスでは3、4号機(PWR、110万kW級×2基)が運転中、1、2号機(1号機: BWR、91.6万kW、2号機: PWR、96.3万kW)が廃止措置中である。))(出資比率29.56%)、フォルスマルク(同8.5%)の運転中3サイト(計6基・718.4万kW)、および閉鎖されたバーセベック(同100%)サイトに出資。そのほか、原子力発電所を所有・運転する電力会社が共同出資して設立した「スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社」(SKB 社)にも出資している(同12%)。ドイツは2023年4月、2011年3月時点で運転中の商業炉17基を全廃し、国内での脱原子力を完了したが、国外での原子力事業は継続しているほか、国内にあるグロナウ濃縮工場(ウレンコ社)とリンゲン核燃料製造工場(仏フラマトム社)は、他国向けに事業を継続している。スウェーデンでは6月にも、バッテンフォールが各発電所の所有者らとともに、フォルスマルク1~3号機とリングハルス3、 4号機の運転期間を60年から80年に延長する方針を決定しており、既存炉の最大限活用に向けた取組みが進められている。
02 Oct 2024
1264
米国防総省(DOD)は9月24日、アイダホ国立研究所(INL)で、軍事作戦用の可搬式プロトタイプのマイクロ炉「プロジェクト・ペレ」の建設に着手したことを明らかにした。原子炉は現在、同省の戦略的能力室(SCO)主導の下、バージニア州リンチバーグのBWXTアドバンスド・テクノロジーズ社で製造中。原子炉の組立を2025年2月に開始し、2026年に組立を終え完成した原子炉をINLに輸送、設置する計画で、米国初の第4世代炉となる。SCOは2022年6月、「プロジェクト・ペレ」と呼ばれる軍事作戦用の可搬式プロトタイプのマイクロ炉の設計・建設・実証プロジェクトにBWXT社の高温ガス炉(HTGR)設計を選定した。燃料には、HALEU((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))燃料の3重被覆層・燃料粒子「TRISO」を使用する。原子炉設備は20フィート(約6m)の輸送用コンテナ4つでINLに輸送され、2026年の設置に向けて、来年にもINLの重要インフラのテストサイトにコンクリート製の遮蔽構造物を建設する。原子炉設備は同遮蔽構造物の中に設置、INLの特殊なマイクログリッドに接続され、出力規模は1~5千kWe。DODによると、最終的な安全レビューを完了後、初期評価を行い、結果が良好であれば、DODの重要拠点である遠隔地や厳しい環境下に配置し、電力供給を行うとしている。SCOのJ. ドライヤー室長は、DODが戦略的かつ重要技術に関する米国のイノベーションの推進に貢献してきた長い実績に触れたうえで、「プロジェクト・ペレは、DODのエネルギー回復力の向上を目指すカギとなるイニシアチブであり、民生用の原子力技術を進歩させる上でも重要な役割を果たす」と強調した。プロジェクト・ペレは政府全体の取り組みであり、エネルギー省(DOE)、原子力規制委員会(NRC)、米国陸軍工兵隊、NASA、国家核安全保障局(NNSA)が重要な専門知識を提供するなど、大きく貢献している。このほか、同プロジェクトの主契約者BWXT社の業務支援には、様々な経験を積んだ企業チームが協力。その主要メンバーには、軍需メーカーのノースロップ・グラマン社、英ロールス・ロイス社の北米技術部門であるリバティワークス、防衛・宇宙製造業のトーチ・テクノロジーズ社が含まれている。原子炉はDOEのアイダホ・オペレーション室の監督の下、米国内でのみ実証される。INLで最低3年間稼働予定であり、クリーンで信頼性が高く、輸送可能な原子力の利用を実証し、全米の軍事基地で増大するエネルギー需要を満たすことが期待されている。BWXT社はまた、プロジェクト・ペレでの経験を活かし、DOEの将来実証リスク削減プログラム(ARDP)の支援を受けている民生用マイクロ炉のBANR(BWXT Advanced Nuclear Reactor)の開発を促進する方針。高温ガス炉の部品とサービスの国内サプライチェーンの確立のほか、TRISO燃料製造分野においても活用したい考えだ。
01 Oct 2024
5273
インド政府は9月11日、原子力発電を所有・運転するインド原子力発電公社(NPCIL)とインド国営火力発電会社NTPCによる合弁会社の設立、ならびに合弁会社による原子力発電所の建設・所有・運転を承認した。2015年の原子力法改正により、公的部門企業の合弁事業による原子力発電事業の設立が可能となっていた。設立される合弁会社はAnushakti Vidhyut Nigam Ltd(ASHVINI)と称し、NPCILが51%、NTPCが49%所有する。さらにインド政府は、国産加圧重水炉=PHWR技術に基づくマヒ・バンスワラ原子力発電所建設プロジェクト(70万kWe×4基)の実施権をNPCILから合弁会社であるASHVINIへの移転を承認した。ASHVINI社は今後、マヒ・バンスワラに加えて、国内の様々な地域で他の原子力プロジェクトも推進していくとしている。政府はまた、単一の合弁会社または傘下企業に対し、NPCILが50億ルピー(約85億円)以上、およびNTPCが500億ルピー(約850億円)以上の投資に対する免税措置を承認。両社からの資金調達やノウハウ提供により、インドの2070年までにネットゼロの目標達成に向けた、原子力発電設備容量増強の加速が期待される。
01 Oct 2024
1078
中国・福建省にある中国核工業集団公司(CNNC)の漳州第Ⅱ原子力発電所2号機(PWR=華龍一号(HPR1000)、112.6万kWe)が9月27日、着工した。同一サイトの漳州第Ⅰ発電所では「華龍一号」の1、2号機(各112.6万kWe)が建設中で、それぞれ2024年、2025年に営業運転を開始予定。同2号機では冷態機能試験の準備が進行中だ。第Ⅱ発電所1号機(華龍一号、112.6万kWe)は今年2月22日に着工している。さらに、CNNCは「華龍一号」×2基採用の漳州第Ⅲ発電所を計画中。全6基が運転を開始すると、年間発電量は635億 kWhに達すると予想される。なお、今年に入ってからCNNCの原子炉の着工は3基目。中国全体では、6基目となる。
30 Sep 2024
1141
米ウェスチングハウス(WE)社と韓国の現代E&C(現代建設)社は9月10日、スウェーデンとフィンランドにおけるAP1000(PWR、125万kWe)導入に向けて提携することで合意した。同合意に基づき、WE社はAP1000の設計と開発を提供し、現代E&C社は、エンジニアリングおよび建設サービスの提供で提携。これは、2022年5月に両社が締結したAP1000のグローバル展開に共同参画する戦略的協力合意に基づく。今回の提携合意は、スウェーデンの電力会社であるバッテンフォール社が今年2月に発表した、同社のリングハルス原子力発電所サイトでの大型炉または小型モジュール(SMR)の建設計画に関連し、年内の採用炉決定を念頭に置くもの。バッテンフォール社は、2030年代前半にも初号機を稼働させる方針である。さらに、WE社はフィンランドの電力会社であるフォータム社と2023年6月に了解覚書を締結、フィンランドとスウェーデンにおいて、WE社製AP1000とSMRのAP300を建設する可能性や前提条件の調査を目的としている。なお、フォータム社は、スウェーデンにあるオスカーシャム原子力発電所とフォルスマルク原子力発電所の共同所有者であり、それぞれ43%、22%余りを所有している。WE社傘下のWEエナジー・システムズ社のD. リップマン社長は、「世界でトップクラスのEPC企業の現代E&C社とのパートナーシップにより、スウェーデンとフィンランドにさらに100年のエネルギー安全保障を提供していく」と語った。現代E&C社のY. ヨンジュンCEOは、「当社は、世界市場で24基の大型原子力発電所の建設を通じて、原子力EPCの競争力、技術力、および建設管理システムの運用ノウハウを蓄積してきた。両社のシナジー効果を最大限に発揮していく」と抱負を述べた。
30 Sep 2024
1184
英国の大英原子力(GBN)は9月25日、小型モジュール炉(SMR)支援対象選定コンペで4社が選考に残ったことを明らかにした。今後、4社は最終選考に入る。最終選考に残った4社は、米GE日立・ニュクリアエナジー・インターナショナル社、米ホルテック・インターナショナル社英法人、英ロールス・ロイスSMR社、米ウェスチングハウス(WE)社英法人。米ニュースケール社は選外となった。英政府は原子力発電設備容量を、2050年までに2,400万kWまで拡大する計画を発表しており、SMR導入も謳われている。英国の原子力発電所新設の牽引役として2023年7月に発足した政府機関のGBNはSMRの支援対象選定コンペを開始。同年10月には関心表明をした6社が入札に招待され、今年7月の締切までに辞退した仏EDF社を除く5社が入札書類を提出した。なお、GBNは今年3月、最終選考では今年後半までに2社を選ぶと発表している。当初、今年夏には選定企業との契約締結を計画していたが、遅延している。最終的に選定された企業はGBNからSMRへのサイトを割当てられ、技術開発の資金を獲得する。英政府は2029年にSMRへの最終投資決定を行い、2030年代半ばには運転を開始したい考えだ。
27 Sep 2024
2771
スウェーデン政府は2045年までにネットゼロ達成に向けて、非化石電源を強力に推進する方針で、2025年予算案ではエネルギー供給の拡大と安定確保のため、原子力のパイロット・実証プロジェクトへの投資を含む10億スウェーデン・クローネ(SEK)(約143億円)以上を計上し、9月19日に議会へ予算案を提出した。9月9日に開催された予算案に関する記者会見で、E. ブッシュ副首相兼エネルギー・ビジネス・産業相は、「より多くの電力を最も必要とされる場所に供給するため、より多くの投資を行い、強固な電力システムの構築を継続、新エネルギー技術の研究開発も強化する」と発言した。R. ポルモクタリ気候・環境相は、「原子力発電への投資、受容の向上策は、政府の打ち出す幅広い施策のカナメである」と説明。N. ウィクマン財務副大臣・金融市場大臣は、「原子力発電は計画的な導入が可能で、国家の成長における重要な要素。現在、原子力発電プラント新設の資金調達モデルについて緊急に取り組んでいる」と語った。政府は、将来の増大する電力需要を満たし供給安定性を高めるためには、新規原子力発電の導入が必須であり、原子力発電の拡大を可能にする政府の取組みは現在、より集中的な段階に入っていると言及。その条件整備として2025年予算案の中で、以下を含めている。原子力分野における革新的ソリューションの研究開発を目的としたパイロットおよび実証プロジェクトへの支援に1億SEK(約14.3億円)新規原子力プラントの効率的な許認可手続きに向けたガイダンスの策定、許認可手続きに係る関係当局間の調整環境の整備のため、スウェーデン環境保護庁の予算を250万SEK(約3,580万円)増額。新規原子力発電に向けた条件整備に3,000万SEK(約4.3億円)。2026年および2027年に、それぞれ3,500万SEK(約5億円)、2,500万SEK(約3.6億円)を計上する見込。U. クリステション首相は9月10日、議会における施政方針演説で、国内の全原子炉の半数の閉鎖による、スウェーデン南部での電力不足の事例に言及。「電力供給を確保し、脱炭素への移行を成功させるため、政府はエネルギー政策を抜本的に見直し、エネルギー分野における研究とイノベーションでは原子力を特に優先している。エネルギー政策なしに、気候政策はない」と強調した。スウェーデンは脱原子力政策を撤回し、大規模な原子力発電開発に向け、大きく舵を切っている。2022年の総選挙によって誕生した中道右派連合の現政権は、40年ぶりに原子力を全面的に推進しており、2023年11月には、原子力発電の大規模な拡大をめざすロードマップを発表した。同ロードマップには、2035年までに少なくとも大型炉2基分、さらに2045年までに大型炉10基分を新設することなどが盛り込まれている。政府は現在、原子力発電プラント新設の条件の大幅な改善に向けて、政府による融資保証、差金決済取引 (CfD)、リスクシェアリング・メカニズムを含む資金調達モデル案を検討している。今年8月には、ウィクマン財務副大臣・金融市場大臣が、昨年12月に政府が任命したM. ディレン政府調査官とともに、資金調達モデルの導入などを盛り込んだ報告書を発表している(既報)。
27 Sep 2024
1178