米ホルテック・インターナショナル社傘下の英法人ホルテック・ブリテン社は9月20日、計画中の小型モジュール炉(SMR)のコンポーネント製造拠点として、イングランド中北部のサウスヨークシャー州を選定したことを明らかにした。同社によると、これにより英国経済に15億ポンド(約2,900億円)の付加価値(GVA)をもたらし、数百もの高レベルな雇用が創出される見込み。 今回選定された拠点では、「SMR-300」(PWR、30万kWe)のほか、英国海軍が使用する大型原子炉のコンポーネントの製造も予定している。ホルテック社は、サウスヨークシャー州を中心に英国内での現地調達率70%を目標に、サプライチェーン拡大に寄与する意向を示しているほか、同製造ラインの稼働を念頭に、英国内で2050年までに約500万kW分の「SMR-300」を導入する考えだ。なおSMR-300は、英国の政府機関「大英原子力(Great British Nuclear:GBN)」が実施しているSMRの支援対象選定コンペの最終候補4炉型の一つに選ばれている。ホルテック社はこれまで、2024年初めに同社が発表したSMR製造工場の13の建設候補地の評価を進め、4か所まで絞り込んだのち、今回の決定に至った。同社のG.トーマス取締役は、サウスヨークシャー州を選んだ理由として、サプライチェーンや物流面での優位性のほかに、同州の人材の質の高さを挙げた。 今後、ホルテック社は国内外の受注動向をふまえ、投資計画確定に向けて、建設の具体化を進める。なお、SMR-300は現在、英国で初めて建設される炉型に対して行われる設計認証審査である、包括的設計審査(GDA)のステップ2(実質的な技術評価段階)に移行しており、設計の安全面や環境影響面などの審査が進められている。2023年12月には、SMR-300のGDA準備のために、英政府の「未来の原子力実現基金(Future Nuclear Enabling Fund:FNEF)」から3,000万ポンド(約57億円)の補助金が交付されている。
03 Oct 2024
1626
カナダ原子力協会(CNA)は9月24日、国内原子力関連の雇用が急増しており、熟練労働力の需要は今後も増大し続けるとの予測を発表した。カナダの原子力産業における就業人数は現在、89, 000人で、2019年比17%の大幅な増加。これは実質、GDPに年間220億カナダドル(約2.3兆円)に貢献しており、国家経済における原子力産業の重要な役割を示すものとなっている。この増加は、原子力発電所の改修プロジェクトの成功事例や、ネットゼロの達成とエネルギー安全保障の強化における原子力の重要な役割に対する認識の高まりなどに起因するとみられている。なお、就業者の44%が40歳以下であることも明らかとなり、この産業の将来性と新世代の労働者にとっての魅力が強調されている。またCNAは、原子力部門は雇用の増加だけでなく、その質においても際立っていると指摘。原子力関連の仕事の89%は、大学の学位を必要とする専門職および専門的な技術職の両方を含む、高度なスキルの必要な職に分類されていることを強調した。さらに、カナダが野心的な脱炭素化目標に向けて前進するにつれて、熟練した原子力労働者の需要がより一層高まると予測。カナダの原子力産業界は、革新的な小型モジュール炉(SMR)の開発および大型炉新設の可能性もあることから、将来のプロジェクトを支える人材を惹きつけていると分析。人材育成に積極的に取組み、高スキルの人材雇用に焦点を当て、次世代の原子力専門家の育成にコミットすることで、クリーンエネルギーの未来のために重要な役割を果たしたいとの考えだ。
02 Oct 2024
1667
スウェーデンのオスカーシャム原子力発電所を所有するフィンランド電力大手のフォータム社とドイツ電力大手のユニパー社は9月18日、同3号機(BWR、145.0万kW)の運転期間を60年から80年に延長するための予備調査を開始する方針を明らかにした。同機は、2045年まで運転期間を延長し、60年運転を実施するとしていたが、両者は2060年代半ばまでさらに運転可能とみている。同機は、1985年8月に営業運転を開始。2009年に大規模なバックフィットと出力増強を実施し、出力規模は当初の105.0万kWから145.0万kWに拡大。スウェーデン最大規模の原子炉であり、年間の発電電力量は約110億kWhに達する。なお、オスカーシャム原子力発電所への出資比率はユニパー社が54.5%、フォータム社が45.5%。同サイトには、運転中の3号機のほか、電力価格の低迷と高額な原子力発電税を理由に、2017年6月と2016年12月にそれぞれ閉鎖された1、2号機(BWR、1号機: 49.2万kW、2号機: 66.1万kW)が立地している。ロシアからのガス供給量の減少で経営難に陥り、2022年にドイツ政府により国有化されたユニパー社はスウェーデン国内で、オスカーシャムのほか、リングハルス((現在リングハルスでは3、4号機(PWR、110万kW級×2基)が運転中、1、2号機(1号機: BWR、91.6万kW、2号機: PWR、96.3万kW)が廃止措置中である。))(出資比率29.56%)、フォルスマルク(同8.5%)の運転中3サイト(計6基・718.4万kW)、および閉鎖されたバーセベック(同100%)サイトに出資。そのほか、原子力発電所を所有・運転する電力会社が共同出資して設立した「スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社」(SKB 社)にも出資している(同12%)。ドイツは2023年4月、2011年3月時点で運転中の商業炉17基を全廃し、国内での脱原子力を完了したが、国外での原子力事業は継続しているほか、国内にあるグロナウ濃縮工場(ウレンコ社)とリンゲン核燃料製造工場(仏フラマトム社)は、他国向けに事業を継続している。スウェーデンでは6月にも、バッテンフォールが各発電所の所有者らとともに、フォルスマルク1~3号機とリングハルス3、 4号機の運転期間を60年から80年に延長する方針を決定しており、既存炉の最大限活用に向けた取組みが進められている。
02 Oct 2024
1506
米国防総省(DOD)は9月24日、アイダホ国立研究所(INL)で、軍事作戦用の可搬式プロトタイプのマイクロ炉「プロジェクト・ペレ」の建設に着手したことを明らかにした。原子炉は現在、同省の戦略的能力室(SCO)主導の下、バージニア州リンチバーグのBWXTアドバンスド・テクノロジーズ社で製造中。原子炉の組立を2025年2月に開始し、2026年に組立を終え完成した原子炉をINLに輸送、設置する計画で、米国初の第4世代炉となる。SCOは2022年6月、「プロジェクト・ペレ」と呼ばれる軍事作戦用の可搬式プロトタイプのマイクロ炉の設計・建設・実証プロジェクトにBWXT社の高温ガス炉(HTGR)設計を選定した。燃料には、HALEU((U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン))燃料の3重被覆層・燃料粒子「TRISO」を使用する。原子炉設備は20フィート(約6m)の輸送用コンテナ4つでINLに輸送され、2026年の設置に向けて、来年にもINLの重要インフラのテストサイトにコンクリート製の遮蔽構造物を建設する。原子炉設備は同遮蔽構造物の中に設置、INLの特殊なマイクログリッドに接続され、出力規模は1~5千kWe。DODによると、最終的な安全レビューを完了後、初期評価を行い、結果が良好であれば、DODの重要拠点である遠隔地や厳しい環境下に配置し、電力供給を行うとしている。SCOのJ. ドライヤー室長は、DODが戦略的かつ重要技術に関する米国のイノベーションの推進に貢献してきた長い実績に触れたうえで、「プロジェクト・ペレは、DODのエネルギー回復力の向上を目指すカギとなるイニシアチブであり、民生用の原子力技術を進歩させる上でも重要な役割を果たす」と強調した。プロジェクト・ペレは政府全体の取り組みであり、エネルギー省(DOE)、原子力規制委員会(NRC)、米国陸軍工兵隊、NASA、国家核安全保障局(NNSA)が重要な専門知識を提供するなど、大きく貢献している。このほか、同プロジェクトの主契約者BWXT社の業務支援には、様々な経験を積んだ企業チームが協力。その主要メンバーには、軍需メーカーのノースロップ・グラマン社、英ロールス・ロイス社の北米技術部門であるリバティワークス、防衛・宇宙製造業のトーチ・テクノロジーズ社が含まれている。原子炉はDOEのアイダホ・オペレーション室の監督の下、米国内でのみ実証される。INLで最低3年間稼働予定であり、クリーンで信頼性が高く、輸送可能な原子力の利用を実証し、全米の軍事基地で増大するエネルギー需要を満たすことが期待されている。BWXT社はまた、プロジェクト・ペレでの経験を活かし、DOEの将来実証リスク削減プログラム(ARDP)の支援を受けている民生用マイクロ炉のBANR(BWXT Advanced Nuclear Reactor)の開発を促進する方針。高温ガス炉の部品とサービスの国内サプライチェーンの確立のほか、TRISO燃料製造分野においても活用したい考えだ。
01 Oct 2024
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インド政府は9月11日、原子力発電を所有・運転するインド原子力発電公社(NPCIL)とインド国営火力発電会社NTPCによる合弁会社の設立、ならびに合弁会社による原子力発電所の建設・所有・運転を承認した。2015年の原子力法改正により、公的部門企業の合弁事業による原子力発電事業の設立が可能となっていた。設立される合弁会社はAnushakti Vidhyut Nigam Ltd(ASHVINI)と称し、NPCILが51%、NTPCが49%所有する。さらにインド政府は、国産加圧重水炉=PHWR技術に基づくマヒ・バンスワラ原子力発電所建設プロジェクト(70万kWe×4基)の実施権をNPCILから合弁会社であるASHVINIへの移転を承認した。ASHVINI社は今後、マヒ・バンスワラに加えて、国内の様々な地域で他の原子力プロジェクトも推進していくとしている。政府はまた、単一の合弁会社または傘下企業に対し、NPCILが50億ルピー(約85億円)以上、およびNTPCが500億ルピー(約850億円)以上の投資に対する免税措置を承認。両社からの資金調達やノウハウ提供により、インドの2070年までにネットゼロの目標達成に向けた、原子力発電設備容量増強の加速が期待される。
01 Oct 2024
1221
中国・福建省にある中国核工業集団公司(CNNC)の漳州第Ⅱ原子力発電所2号機(PWR=華龍一号(HPR1000)、112.6万kWe)が9月27日、着工した。同一サイトの漳州第Ⅰ発電所では「華龍一号」の1、2号機(各112.6万kWe)が建設中で、それぞれ2024年、2025年に営業運転を開始予定。同2号機では冷態機能試験の準備が進行中だ。第Ⅱ発電所1号機(華龍一号、112.6万kWe)は今年2月22日に着工している。さらに、CNNCは「華龍一号」×2基採用の漳州第Ⅲ発電所を計画中。全6基が運転を開始すると、年間発電量は635億 kWhに達すると予想される。なお、今年に入ってからCNNCの原子炉の着工は3基目。中国全体では、6基目となる。
30 Sep 2024
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米ウェスチングハウス(WE)社と韓国の現代E&C(現代建設)社は9月10日、スウェーデンとフィンランドにおけるAP1000(PWR、125万kWe)導入に向けて提携することで合意した。同合意に基づき、WE社はAP1000の設計と開発を提供し、現代E&C社は、エンジニアリングおよび建設サービスの提供で提携。これは、2022年5月に両社が締結したAP1000のグローバル展開に共同参画する戦略的協力合意に基づく。今回の提携合意は、スウェーデンの電力会社であるバッテンフォール社が今年2月に発表した、同社のリングハルス原子力発電所サイトでの大型炉または小型モジュール(SMR)の建設計画に関連し、年内の採用炉決定を念頭に置くもの。バッテンフォール社は、2030年代前半にも初号機を稼働させる方針である。さらに、WE社はフィンランドの電力会社であるフォータム社と2023年6月に了解覚書を締結、フィンランドとスウェーデンにおいて、WE社製AP1000とSMRのAP300を建設する可能性や前提条件の調査を目的としている。なお、フォータム社は、スウェーデンにあるオスカーシャム原子力発電所とフォルスマルク原子力発電所の共同所有者であり、それぞれ43%、22%余りを所有している。WE社傘下のWEエナジー・システムズ社のD. リップマン社長は、「世界でトップクラスのEPC企業の現代E&C社とのパートナーシップにより、スウェーデンとフィンランドにさらに100年のエネルギー安全保障を提供していく」と語った。現代E&C社のY. ヨンジュンCEOは、「当社は、世界市場で24基の大型原子力発電所の建設を通じて、原子力EPCの競争力、技術力、および建設管理システムの運用ノウハウを蓄積してきた。両社のシナジー効果を最大限に発揮していく」と抱負を述べた。
30 Sep 2024
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英国の大英原子力(GBN)は9月25日、小型モジュール炉(SMR)支援対象選定コンペで4社が選考に残ったことを明らかにした。今後、4社は最終選考に入る。最終選考に残った4社は、米GE日立・ニュクリアエナジー・インターナショナル社、米ホルテック・インターナショナル社英法人、英ロールス・ロイスSMR社、米ウェスチングハウス(WE)社英法人。米ニュースケール社は選外となった。英政府は原子力発電設備容量を、2050年までに2,400万kWまで拡大する計画を発表しており、SMR導入も謳われている。英国の原子力発電所新設の牽引役として2023年7月に発足した政府機関のGBNはSMRの支援対象選定コンペを開始。同年10月には関心表明をした6社が入札に招待され、今年7月の締切までに辞退した仏EDF社を除く5社が入札書類を提出した。なお、GBNは今年3月、最終選考では今年後半までに2社を選ぶと発表している。当初、今年夏には選定企業との契約締結を計画していたが、遅延している。最終的に選定された企業はGBNからSMRへのサイトを割当てられ、技術開発の資金を獲得する。英政府は2029年にSMRへの最終投資決定を行い、2030年代半ばには運転を開始したい考えだ。
27 Sep 2024
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スウェーデン政府は2045年までにネットゼロ達成に向けて、非化石電源を強力に推進する方針で、2025年予算案ではエネルギー供給の拡大と安定確保のため、原子力のパイロット・実証プロジェクトへの投資を含む10億スウェーデン・クローネ(SEK)(約143億円)以上を計上し、9月19日に議会へ予算案を提出した。9月9日に開催された予算案に関する記者会見で、E. ブッシュ副首相兼エネルギー・ビジネス・産業相は、「より多くの電力を最も必要とされる場所に供給するため、より多くの投資を行い、強固な電力システムの構築を継続、新エネルギー技術の研究開発も強化する」と発言した。R. ポルモクタリ気候・環境相は、「原子力発電への投資、受容の向上策は、政府の打ち出す幅広い施策のカナメである」と説明。N. ウィクマン財務副大臣・金融市場大臣は、「原子力発電は計画的な導入が可能で、国家の成長における重要な要素。現在、原子力発電プラント新設の資金調達モデルについて緊急に取り組んでいる」と語った。政府は、将来の増大する電力需要を満たし供給安定性を高めるためには、新規原子力発電の導入が必須であり、原子力発電の拡大を可能にする政府の取組みは現在、より集中的な段階に入っていると言及。その条件整備として2025年予算案の中で、以下を含めている。原子力分野における革新的ソリューションの研究開発を目的としたパイロットおよび実証プロジェクトへの支援に1億SEK(約14.3億円)新規原子力プラントの効率的な許認可手続きに向けたガイダンスの策定、許認可手続きに係る関係当局間の調整環境の整備のため、スウェーデン環境保護庁の予算を250万SEK(約3,580万円)増額。新規原子力発電に向けた条件整備に3,000万SEK(約4.3億円)。2026年および2027年に、それぞれ3,500万SEK(約5億円)、2,500万SEK(約3.6億円)を計上する見込。U. クリステション首相は9月10日、議会における施政方針演説で、国内の全原子炉の半数の閉鎖による、スウェーデン南部での電力不足の事例に言及。「電力供給を確保し、脱炭素への移行を成功させるため、政府はエネルギー政策を抜本的に見直し、エネルギー分野における研究とイノベーションでは原子力を特に優先している。エネルギー政策なしに、気候政策はない」と強調した。スウェーデンは脱原子力政策を撤回し、大規模な原子力発電開発に向け、大きく舵を切っている。2022年の総選挙によって誕生した中道右派連合の現政権は、40年ぶりに原子力を全面的に推進しており、2023年11月には、原子力発電の大規模な拡大をめざすロードマップを発表した。同ロードマップには、2035年までに少なくとも大型炉2基分、さらに2045年までに大型炉10基分を新設することなどが盛り込まれている。政府は現在、原子力発電プラント新設の条件の大幅な改善に向けて、政府による融資保証、差金決済取引 (CfD)、リスクシェアリング・メカニズムを含む資金調達モデル案を検討している。今年8月には、ウィクマン財務副大臣・金融市場大臣が、昨年12月に政府が任命したM. ディレン政府調査官とともに、資金調達モデルの導入などを盛り込んだ報告書を発表している(既報)。
27 Sep 2024
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米国電力大手のコンステレーション・エナジー社は9月20日、同社が2019年に閉鎖したスリーマイル・アイランド (TMI)1号機を、再稼働させる方針を明らかにした。米マイクロソフト社と20年間の売電契約を締結し、同社のデータセンター向けに原子力による高品質な電力を供給する。再稼働時期は2028年を見込んでいる。TMI1号機は電気出力89万kWのPWR。安価なガス火力に押されて経済性が悪化し、2034年までの運転認可を残したまま2019年に閉鎖された。なお同2号機は、1979年に炉心溶融事故を起こし、廃止措置が進められている。コンステレーション社によると、1号機の再稼働に向け、今後、タービン、発電機、冷却システムなど、プラント設備の更新に16億ドル(約2,300億円)を投資するほか、米原子力規制委員会(NRC)および関連する州や地元当局への許認可申請を進める。加えて、同機の運転認可を少なくとも2054年まで延長する申請も行う予定。 同発電所が立地するペンシルベニア州の建設労働組合協議会の調査によると、1号機の再稼働により、3,400人以上の直接的・間接的な雇用が創出され、州内総生産は160億ドル(約2兆3,000億円)増加、州税および連邦税も30億ドル(4,300億円)以上収入が増加するとみられている。コンステレーション社のJ. ドミンゲス社長兼CEOは、データセンターなどの米国の経済的かつ技術的競争力にとって極めて重要な産業には、カーボンフリーで安定した大容量の電力の供給が必要であると指摘した上で、「原子力発電所は、それを実現できる唯一のエネルギー源である」と強調している。 7月に発表された国際エネルギー機関(IEA)の報告書でも、データセンターによる世界的な電力需要増で原子力発電に対する注目が集まりつつあると指摘されている。同報告書では、TMI1号機と同じくペンシルベニア州にあるサスケハナ原子力発電所(BWR、133.0万kW×2基)に隣接するデータセンターの米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)社による買収例など、原子力の活用をめざす事例が紹介されている。
27 Sep 2024
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米ニューヨークで9月22日~29日にかけ、気候イベント「Climate Week」が開催されている。サイドイベントとして9月23日に開催された「原子力を3倍にするファイナンス」(Financing the Tripling of Nuclear Energy)では、世界有数の金融機関14社が、世界的な低炭素経済への移行において原子力発電が重要な役割を果たすとの認識で一致。原子力発電プロジェクトに対するファイナンス支援を表明した。同イベントには、米バイデン大統領の気候政策担当顧問のJ. ポデスタ氏を含む各国政府関係者のほか、金融業界および原子力など産業界の幹部らが出席。今回、原子力発電への支援を表明した金融機関は以下の通り。アブダビ商業銀行 Abu Dhabi Commercial Bankアレス・マネジメント Ares Managementバンク・オブ・アメリカ Bank of Americaバークレイズ BarclaysBNPパリバ BNP Paribasブルックフィールド Brookfieldシティ Citiクレディ・アグリコルCIB Credit Agricole CIBゴールドマンサックス Goldman Sachsグッゲンハイム証券 Guggenheim Securities LLCモルガン・スタンレー Morgan Stanleyロスチャイルド&カンパニー Rothschild & Co.セグラキャピタル・マネジメント Segra Capital Managementソシエテ・ジェネラル Societe Generale金融機関はこれまで、プロジェクト・ファイナンスの複雑さとリスクの高さに加え、原子力発電が環境・社会・ガバナンス基準に適合しているか疑問があるとして、原子力発電への姿勢が分かれていた。世界銀行をはじめとする多国間金融機関は、原子力プロジェクトへの融資をいっさい行っておらず、結果的に原子力プロジェクトは資金調達の厳しさから高コスト化する傾向にある。金融機関が今回、原子力発電への支援を表明した背景には、昨年、UAEのドバイで開催された第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)で、「パリ協定」で示された1.5℃目標の達成に向け、2050年までに世界の原子力発電設備容量を3倍に増加させるという野心的な「原子力の三倍化宣言」に、日本をはじめとする米英仏加など25か国が署名したことがある。また、COP最終日に採択された成果文書である「UAEコンセンサス」では、COP史上初めて、炭素排出量を削減するための重要なアプローチの1つとして「原子力」が明記された。「原子力の三倍化宣言」では、原子力プロジェクトに対するファイナンスについても取り上げ、世界銀行を筆頭とする国際金融機関並びに各国の金融機関等に対し、原子力を融資対象に含めることのほか、新しい資金調達メカニズムなどを通じ、原子力発電への投資を奨励していた。また、フランス・パリのOECD本部で9月19日~20日に開催された、第2回「新しい原子力へのロードマップ」閣僚会議における政府コミュニケにおいても、既存炉の運転期間延長や新規プラントの建設、小型モジュール炉(SMR)の早期導入を可能にする措置を講じ、原子力の可能性を最大限に引き出すため、参加国22か国による協力を強調するとともに、適宜、国際金融機関や多国間開発銀行の関与を求めることに言及している。
25 Sep 2024
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米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社は9月9日、エーコン社、アトキンス・リアリス社(旧SNC-ラバリン社)、ジェイコブス社、レイン・オルーク社の各社と、英国での小型モジュール炉(SMR)導入支援の了解覚書(MOU)を締結した。GEH社は、英国で進行中のSMR支援対象選定コンペを念頭に、同社製SMR「BWRX-300」の英国への導入を目指している。英政府は原子力発電設備容量を、2050年までに2,400万kWまで拡大する計画を発表しており、SMR導入も謳われている。GEH社製「BWRX-300」(BWR、30万kWe)は、英国の原子力発電所新設の牽引役として2023年7月に発足した政府機関「大英原子力(Great British Nuclear:GBN)」が実施するSMRの支援対象選定コンペの最終候補の1つに選定されており、現在、評価中だ。建設大手のエーコン社は、加オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社のダーリントン新原子力プロジェクトにおいて、BWRX-300の建設プロジェクト管理、建設計画、施工を含む建設サービスを提供。エンジニアリング会社のアトキンス・リアリス社は同プロジェクトの設計者兼エンジニアを務めている。ダーリントン新原子力プロジェクトにおけるBWRX-300の着工は2025年、2029年末までに営業運転を開始する予定であり、GEH社は同プロジェクトから得られる知見の英国での活用に期待している。また、技術専門サービス会社であるジェイコブス社との協力により、英国の環境に合わせた最高水準の設計能力をより向上させ、建設会社のレイン・オルーク社による、業界をリードする最新の工法はSMR導入の展開を支援するとの考えだ。なお、これらのMOUは、BWRX-300の建設に向けた、英政府所有の最大手の大型鋳鍛造品メーカーであるシェフィールド・フォージマスターズ(SF)社との協力に基づく。2022年9月、GEH社はSF社とMOUを締結。SF社の原子力関係の鋳鍛造品の製造能力が、英国内でBWRX-300の建設需要を満たすのに有効であるか協議し、BWRX-300用の鍛造品を英国内で調達する契約締結のほか、将来的には世界中でのBWRX-300展開も視野にいれた協力可能性を探ることとしている。
25 Sep 2024
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国際エネルギー機関(IEA)は9月19日、軍事紛争により大きな制約を受けているウクライナのエネルギーインフラの状況を検証した報告書「Ukraine’s Energy Security and the Coming Winter」を公表した。報告書は、ロシアによるウクライナのエネルギーインフラに対する攻撃が激しさを増すなか、冬が近づくにつれ深刻なリスクが生じていると指摘、今後数か月間、ウクライナ国民が電力と暖房に確実にアクセスできるよう、迅速なアクションと追加支援の必要性を勧告している。ウクライナのエネルギーシステムは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以来2年連続で冬を乗り越えてきたものの、2024年春以降、発電所、熱供給プラント、送電網などに対する攻撃が激化したことにより、同国のエネルギーインフラは大きな負担にさらされている。報告書によると、8月下旬の大規模な攻撃以前にも、既に紛争前の発電能力の3分の2以上は、破壊や損傷、占拠により利用できず、夏期も計画停電やプラントの計画外停止が多発、水供給など日常生活のあらゆる側面に影響を及ぼしている。さらに、報告書は、冬が近づくにつれ、状況がさらに悪化する可能性を指摘。利用可能な電力供給とピーク需要との間に大きなギャップが生じ、真冬には病院、学校、その他の主要機関にさらなる深刻な混乱をもたらす可能性を指摘したほか、主要都市への熱供給のリスクにも言及、さらに平均気温が低い場合は、国内の天然ガス供給を圧迫する可能性がある、と警鐘を鳴らしている。これらをふまえ、IEAは、ウクライナとその国際パートナーがこれらのリスクに対処しつつ、将来の脆弱性を軽減するための、以下のエネルギー対策10項目を勧告した。重要なエネルギーインフラの物理的およびサイバーセキュリティの強化修理用機器とスペアパーツの配送の迅速化電力供給の増強と分散化欧州連合(EU)との送電容量の拡大エネルギー効率化への投資継続、および省エネ、デマンド・レスポンスの実施冬季暖房用のバックアップ・オプションの準備天然ガスの備蓄レベルの増強EUからのガス輸入能力の強化エネルギーシステム等で密接に関係する、ウクライナの隣国モルドバとの調整((報告書によると、モルドバは電力の約3分の2を、ロシア軍が駐留するトランスニストリアにある大規模発電所から供給。今後、2024年末にウクライナ経由のロシアのガス輸送協定が終了予定であることから、モルドバの電力の供給保証に大きな不確実性をもたらしている。))EUのシステムと統合された、市場ベースの、回復力のある持続可能なエネルギーシステムの基礎の構築F. ビロルIEA事務局長は、ウクライナの現況は、世界で最も差し迫ったエネルギー安全保障問題の一つであり、「今冬はこれまでで最も厳しい試練となるであろう」と懸念を示す一方、10項目の勧告が迅速かつ効果的に実施されれば、大きな効果が期待できる、との見方を示している。
25 Sep 2024
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インド北西部で建設中のラジャスタン原子力発電所7号機(加圧重水炉=PHWR、70万kWe)が9月19日に初臨界を達成した。同機は9月9日にインドの原子力規制当局(AERB)の認可を取得後、起動操作を開始、初臨界を達成した。今後、送電開始前にさまざまな試験を実施、AERBの認可を得ながら全出力まで段階的に出力を上げていく。送電開始は年内を予定している。インド原子力発電公社(NPCIL)は、計16基からなる70万kW級の国産PHWR建設プロジェクトを掲げており、ラジャスタン7号機が運開すると、同プロジェクトではカクラパー3、4号機に次いで、3基目となる。同プロジェクトではラジャスタン7号機を含め4基が建設中、10基が計画中だ。すべて2031年までに運開する予定である。
24 Sep 2024
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チェコ政府とチェコ電力(ČEZ)は9月18日、小型モジュール炉(SMR) の建設プロジェクトの優先サプライヤーに、英ロールス・ロイスSMR社を選定した。英ロールス・ロイスSMR社は、SMR供給者7社の中から入札によって選定され、現在、契約条件の最終決定に向けた協議が進行中である。同社製SMR(PWR、47万kWe)は、2030年初頭に英国で運転開始が計画されている。チェコは、老朽化した石炭火力発電所をSMRで代替し、脱炭素化とクリーンエネルギー源への安全な移行を進めるだけでなく、SMR関連機器の生産においても、大型炉と同様、グローバルなサプライチェーンの一部を構成したい考えで、チェコ経済にとって大きな機会になると捉えている。今回の選定結果を受け、P. フィアラ首相は「SMRは、将来のエネルギー安全保障の確保にとって重要な技術となり得る。我々は建設だけでなく、グローバルな生産と開発に参加していく。ČEZとロールス・ロイスSMR社の戦略的パートナーシップの確立は、原子力産業で長年の経験を持つチェコの企業にとって素晴らしい機会となるだろう」と語った。ČEZは、南ボヘミア州のテメリン原子力発電所の近くで、SMR初号機の建設計画を進めている。2040年までに予定されている新規大型炉の運転開始に先立ち、SMRを完成させる計画だ。ČEZは、南ボヘミア州および同社子会社の原子力研究所ÚJV Řežと緊密に連携して準備を進めている。なお、ČEZは後続のSMR建設サイトも調査中であり、閉鎖予定の石炭火力発電所サイトである、チェコ北東部のジェトマロヴィツェ(Dětmarovice)および北西部のトゥシミツェ(Tušimice)にて、サイト適性の調査を集中的に進めている。
24 Sep 2024
1810
フィンランドのヘルシンキ市が保有するエネルギー企業のヘレン(Helen)社は9月9日、ヘルシンキ市に熱供給を行う小型モジュール炉(SMR)を導入するプログラムを立ち上げたことを明らかにした。同社は、プログラムの第一段階でビジネスモデルを確立、SMRの炉型および供給者、建設候補サイトを決定する。この第一段階は、2026年に完了を予定している。ヘレン社は、2030年までに地域熱供給における化石燃料を利用停止する目標を掲げている。同社の地域熱供給ネットワークは全長1,400kmに及び、北欧諸国の中で最大規模。このネットワーク全体の脱炭素化のため、ネットワークの近くに設置可能な、安定した信頼性の高い、電力に依存しない熱源が必要であり、同社は実証済みの技術による、熱のみ、または電気と熱の両方を生産するSMRを導入する計画である。なお、同社は石炭火力発電所を来春までに全廃予定であり、バイオエネルギーやヒートポンプ、電気ボイラーによる熱供給では不十分であるため、新たな熱源の導入が急務となっている。ヘレン社のO. シルッカCEOは、「順調に進めば、2030年代初頭までにヘルシンキに熱供給するSMR初号機が完成する。石炭火力発電の代替は、現実的には原子力発電が唯一の選択肢。地域熱供給の半分を原子力発電、半分を電気でまかなうのが最適であり、太陽光発電や風力発電にも多額の投資を行っている」と述べる一方で、「SMRの規制が厳しくなり、地域熱供給ネットワークと接続するSMRを建設できなくなると、地域暖房の価格が上昇する」との懸念を示した。なお、シルッカCEOによると、ヘレン社は2023年10月にフィンランドの熱供給用SMRの商業化を目的に設立されたスタートアップ企業のステディ・エナジー(Steady Energy)社と同社製SMR活用に関する基本合意書を交わしているが、実現可能性のあるすべてのSMRを検討していくという。ステディー社が開発する熱供給専用のSMR「LDR-50」(5万kWt)については、フィンランドの原子力規制当局(STUK)が8月末に、ステディ社からLDR-50の予備的な安全性評価の実施を要請されたことを明らかにした。STUKは、原子力法による許認可手続きとは別に、安全要件を満たしているかどうかを評価する。なお、ステディ社は、地域暖房用の原子力発電所の建設について、フィンランドのクオピオン・エネルギア(Kuopion Energia)社と今年7月、事前準備の実施で合意している。
24 Sep 2024
1829
日本原子力産業協会は9月19日~20日、フランスのパリにて開催された経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)およびスウェーデン政府が主催する第2回「新しい原子力へのロードマップ・ハイレベル会議」に出席。同会議に出席した各国の原子力産業団体と連名で、2050年までの炭素排出量実質ゼロ目標の達成と、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)で署名された「原子力の三倍化宣言」を可能にする政策の大幅な拡充を要望する、共同声明を発表した。共同声明に参加したのは、日本原子力産業協会の他、カナダ原子力協会、カナダ加圧重水炉(CANDU)オーナーズグループ、米国電力研究所、仏原子力産業協会、韓国原子力産業協会、米原子力エネルギー協会、英国原子力産業協会、欧州原子力産業協会、世界原子力協会の10団体。共同声明では、OECD加盟国の原子力産業界の決意を表明するとともに、すべての加盟国に対し、気候変動枠組条約(UNFCC)のプロセスを通じて設定した目標を達成するため、原子力発電の導入に係る明確な計画の策定の他、原子力発電へのコミットメントを示し、市場や投資家に明確なシグナルを送ることを強く求めている。共同声明では、加盟国政府に対して、運転期間延長、出力向上などの既存の原子力発電所の最大限活用への支援や、実現可能な場合には閉鎖された発電所の再稼働の推進に加え、実績のある設計に基づく新たな原子力施設の展開の加速、大型原子炉や小型モジュール炉および革新モジュール炉を含む新しい原子力技術の開発、実証、および展開を加速するための行動を促すべき、と要望。政府が取組むべき重要分野として原子力エネルギー技術の大規模導入を促進する政策の推進原子力開発のための国内外の気候資金メカニズムへの円滑なアクセスの保証世界銀行など多国間金融機関が投資ポートフォリオに原子力発電を含めること原子力プロジェクトに対する資金調達と投資回収の仕組みの明確化とクリーンエネルギー資金調達メカニズムに原子力発電を含めること加盟国における燃料サプライチェーン強化の取組みの継続次世代の原子力科学者、技術者、および熟練した専門職の人材開発、訓練への投資加盟国における原子力研究への投資およびサプライチェーン強化の取組みの継続原子力技術の効率的な許認可および導入加速に向けた、規制面での協力拡大を掲げている。「新しい原子力へのロードマップ・ハイレベル会議」は、昨年初めてOECD/NEAおよびフランス政府の呼び掛けにより、NEA加盟国等の政府高官および産業界の幹部が一堂に会し、同志国が協力して原子力エネルギーの新設プロジェクトに必要なリーダーシップを再構築する機会として開催された。第2回目となる今回は、特に原子力新設に最も関心のある国々に向け、原子力ファイナンス、サプライチェーンおよび人材育成に焦点を当てた議論が行われた。また、原子力新規建設プロジェクトを成功させる能力を再構築するため、「新しい原子力へのロードマップに関する共同事業」の創設が決定。ブルガリア、カナダ、チェコ、フランス、ハンガリー、日本、韓国、ポーランド、ルーマニア、スロベニア、スウェーデン、英国、米国の13か国が正式参加の意向を表明している。
20 Sep 2024
1607
韓国の原子力規制機関である韓国原子力安全委員会(NSSC)は9月12日、新ハヌル3、4号機(PWR=APR1400、140.0万kW×2基)の建設許可を発給した。韓国における原子力発電所の新規建設は、2018年9月に着工したセウル4号機(PWR=APR1400、140.0万kW)以来。今後、新ハヌル3号機は2032年、同4号機は2033年までの完成をめざす。 新ハヌル3、4号機をめぐっては、韓国水力・原子力会社(KHNP)が2016年1月、NSSCに両機の建設許可申請を行ったが、当時のムン・ジェイン(文在寅)前大統領による脱原子力政策下で、2017年の「エネルギー転換(脱原子力)ロードマップ」と「第8次電力需給基本計画」に基づき、建設計画が一時白紙化されていた。2022年5月に就任したユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の現政権下で両機の新設計画が復活した。今回の建設許可発給について、NSSCは約5年間の事業中断を加味し、建設許可に必要な書類の技術基準の適用日を最新の基準に変更して安全性を確認。NSSCは、原子炉設計の安全性のほか、建設サイト内の安全性についても審査し、その結果、安全性に影響を与えるような地震、陥没などの地質学的問題が発見されておらず、地震による津波が発生した場合でも想定される津波の高さに対し、安全を確保できる状況にあるとし、サイト内の安全は確保されていると結論付けた。 新ハヌル3、4号機は韓国製の第3世代の140万kW級PWR設計「改良型加圧水型炉(APR1400)」を採用し、すでに運転中のセウル1、2号機(旧名称:新古里3、4号機)、新ハヌル1、2号機(旧名称:新蔚珍1、2号機)および建設中のセウル3、4号機(旧名称:新古里5、6号機)を含めると、韓国国内における7、8基目のAPR1400となる。 海外では、韓国が初めて海外に輸出したアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所で同設計(計4基)が採用されており、至近では4号機が9月5日に営業運転を開始し、全基が運転中となった。韓国では、国内外で原子力推進の動きが活発化しており、国内では、2024年5月、産業通商資源部(MOTIE)の諮問委員会が「第11次電力需給基本計画」の草案を発表し、そのなかで2038年までに大型原子炉3基と小型モジュール炉(SMR)1基の建設計画が盛り込まれたほか、同年6月にはユン大統領が、慶州市でのSMR産業ハブ創設計画を発表している。一方、海外では、KHNPが7月にチェコの増設プロジェクトの主契約者をめぐる優先交渉権を獲得、9月19日からユン大統領がチェコを訪問し、原子力分野の協力強化などについて協議が行われるとみられている。
20 Sep 2024
1936
ブラジルで原子力発電事業を展開するエレトロニュークリア(Eletronuclear)社は9月3日、同社によるアングラ原子力発電所3号機(PWR、140.5万kWe)の建設プロジェクトについて、ブラジル国立社会経済開発銀行(BNDES)による技術的、経済的、法的妥当性に関する調査報告を明らかにした。アングラ3号機は2031年の営業運転の開始を目指している。BNDESの調査によると、建設プロジェクトを放棄する場合のコストは210億レアル(約5,517億円)を超える可能性があると指摘する一方、建設完了には約230億レアル(約6,042億円)と大差はないことが判明。なお、同機の建設に既に投資された額は、約120億レアル(約3,152億円)であるという。また、調査報告では、653.31レアル(17,163円)/ MWhの電気料金が提案されているが、これは同地域の火力発電所の平均665.00レアル(17,470円)/ MWhよりも低い料金となっているほか、建設プロジェクトに対し、税制上の優遇措置がとられる可能性を指摘した。なお、本調査結果は、エレトロニュークリア社から鉱山エネルギー省 (MME) および同社の株主(エレトロブラス社他)に送付され、MMEはそれを国家エネルギー政策委員会 (CNPE) に提出。CNPEが最終的にアングラ3号機を完成させるか否かを決定することになっているという。調査報告を受け、エレトロニュークリア社のR. リカーゴ社長は、「アングラ3号機の建設工事を放棄するコストも安くはない。工事の継続と、競争的な料金体系の提案をするための重要な契機となった。作業は間もなく開始され、ブラジルの原子力部門が再び活性化すると確信する」と述べた。また調査報告によると、アングラ3号機の完成にはエレトロニュークリア社自身と銀行のコンソーシアムが資金を提供することになるが、建設プロジェクトを放棄すれば、融資返済や契約解除に伴う違約金などの210億レアルを短期返済する必要がある。既に投資した約120億レアルの損失と合わせ、これらの費用は国の負担となり、最終的には消費者への電力料金に転嫁されると指摘した。エレトロニュークリア社はアングラ3号機の完成の利点として、発電コストの高い火力発電所を代替して電力ミックスにおいて重要な役割を担うほか、温室効果ガス削減への貢献も挙げる。また、アングラ発電所は電力消費地に近いため送電ロスを最小限に抑えるとともに、燃料生産から発電まで、ブラジルの原子力部門のサプライチェーンを拡大させ、多くの間接雇用に加えて、建設作業のピーク時には7,000人の直接雇用を創出するという。エレトロニュークリア社は、ブラジルの電力大手のエレトロブラス(Eletrobras)社(旧電力公社で2021年7月に民営化法が施行)の傘下企業。エレトロニュークリア社は、アングラ発電所1号機(PWR、64万kW)と2号機(PWR、135万kW)を運転し、両機による発電量は、ブラジルの総発電電力量の2.2%(2023年実績)を占める。1984年に始まったアングラ3号機の建設工事はこれまでに、景気の後退や関係する汚職調査等により1986年、2015年の2度、中断。2022年11月に工事は再開したが、地元自治体は2023年4月、社会環境補償費の未払いや環境影響などの問題を理由に、エレトロニュークリア社に建設工事の禁止を命じた。しかし、同社は今年6月、リオデジャネイロ司法裁判所での控訴を勝ち取り、建設工事の禁止措置は解除された。今年3月から5月にかけて、アングラ3号機の建設作業の完了を目的とし、エンジニアリング、調達、建設(EPC)サービスの入札契約の草案に対する公開協議を実施している。なお、現時点における同機の建設進捗率は66%。
19 Sep 2024
1342
国際原子力機関(IAEA)の第68回通常総会が9月16日から20日の日程でオーストリアのウィーン本部で始まった。開会の冒頭ではIAEAのR.M.グロッシー事務局長が演説し、「世界が現在直面している課題に克服できないものは何もない」「課題解決にIAEAの役割と使命は不可欠だ。そして確かに、私たちはかつてない緊張と不確実性の時代にいるが、ここでの我々の仕事の絶対的な重要性を忘れてはならない」と各国代表を前にその決意を表明。その上で、同事務局長は「世界の平和と安全を支えてきた核兵器不拡散体制の崩壊を防ぎ、戦争時に原子力安全とセキュリティが確実に行き渡るようにすることも重要だ。また、原子力技術の効率的な応用を通じ、世界中の貧困と困難を減らしていく」と、IAEAが果たす幅広い役割を強調した。同事務局長はまた、最も重要な問題の一つに気候変動があると指摘。現在世界で生産されているクリーンエネルギーの約4分の1が原子力発電によるものであり、「昨年のドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、出席したすべてのメンバーから、原子力発電を加速すべきであるという世界的なコンセンサスが得られた」と述べ、今年11月にアゼルバイジャンのバクーで開催されるCOP29においてもこの取組みの継続に期待するとした。なお、IAEAは総会の初日、「2050年までのエネルギー、電力、原子力発電の予測」を発表。高予測シナリオでは、世界の原子力発電設備容量は2050年までに現在の2.5倍に増加し、低予測でも1.4倍の増加になると示すなど、4年連続で上方修正している。同事務局長はさらに、ウクライナのザポリージャ原子力発電所でIAEAの専門家が現地駐在しながら活動を継続し、最近ではロシアのクルスク原子力発電所を訪問したことに言及、「原子力発電所は、その立地場所にかかわらず、いかなる状況においても攻撃されるべきではない」と繰り返し表明した。これに続く各国代表からの一般討論演説では、日本から参加した上坂充原子力委員長が登壇。変動する国際情勢や科学技術の進歩の中で、IAEAの役割の重要性を指摘するとともに、日本は、原子力の平和利用、原子力安全、核セキュリティ、保障措置の3S、および地域の不拡散問題を重視する立場を表明した。上坂原子力委員長は、原子力安全を最優先とした、原子力発電所の再稼働や運転期間延長への取組み、次世代先端技術の研究開発、国際協力を通じたサプライチェーンの強化への取組みについて紹介。また、医療、農業、環境など幅広い分野への応用が期待されている原子力技術について、IAEAのイニシアチブである、放射線を用いたがん治療の能力強化「Rays of Hope」や、食料安全保障のための原子力技術の活用「Atoms4Food」への強い支持を表明するともに、医療用放射性同位元素の国産化に注力していることに言及した。さらに、次世代エネルギーである核融合の早期実現に向けた取組みについても紹介した。同委員長はまた、日本は、福島第一原子力発電所の事故の経験と廃炉による知見を国民と近隣諸国を含む国際社会と共有していることに触れ、ALPS処理水の海洋放出の安全性は、IAEAや専門家によるモニタリングとレビューにより裏付けられており、ALPSで十分に浄化された後、海水で希釈されて排出され、人や環境への影響はなく、処理水を汚染水と表現することは適切ではない、と改めて強調した。廃炉への取組みについては、難易度の高い燃料デブリ取り出し作業を含む新たなフェーズへ移行している現状を紹介。なお、核セキュリティの最高水準の確保のため、国際社会に潜在的な脅威となり得る核物質の在庫を最小限に抑える取組みや、3S実現に不可欠なグローバル人材育成事業について言及。核不拡散の要となるIAEAの保障措置の強化と効率化に向けた活動を引き続き支援していくとともに、国内外の関係者との関係強化を図り、国際社会に対して透明性のある説明を行っていくとした。さらに、不拡散問題については、日本は北朝鮮問題、イラン核問題の解決を重視しているとし、特に、北朝鮮に対し、全ての核兵器を完全で検証可能かつ不可逆的な方法で放棄することを強く求め、関連する国連安保理決議をすべての加盟国が完全に実施することの重要性を改めて訴えた。また、ウクライナにおける原子力安全・セキュリティの確保を強く支持すると述べ、厳しい国際環境におけるIAEAの献身的な努力への謝意を示すとともに、日本が引き続き最大限に支援していくと表明した。 ◇ ◇例年通りIAEA総会との併催で展示会も行われている。日本のブース展示では、「日本の最先端の原子力技術」をテーマに、GX実現にむけた原子力政策、高温ガス炉や高速炉サイクル、革新軽水炉開発などを紹介している。展示会初日には、日本政府代表である上坂原子力委員長がブースのオープニングセレモニーに来訪。同委員長は挨拶の中で、脱炭素化などエネルギー情勢の変化に対応するため原子力エネルギーの分野でイノベーションが必要だとするとともに、25周年を迎えたアジア原子力協力フォーラムについて言及、原子力は発電以外に幅広い放射線利用により社会に貢献していると述べた。この後、日本原子力産業協会の増井理事長による乾杯が行われ、福島県浜通り地方の日本酒がブース来訪者に振舞われるなどした。
18 Sep 2024
1854
ロシア国営の系統運用会社である統一電力システム(UES)はこのほど、2042年までの発電設備の配置に関する基本計画の草案を明らかにした。なお、草案の公開討論が8月20日より実施されている。UESのD.ピレニェクス系統運用局長は9月3日、記者からのインタビューの中で、公開討論は計画手続きの透明性を目的としていると強調。これまで草案の策定にあたり、長期的な電力消費予測、さまざまなシナリオのモデリング、電力モードの計算など、1年半にわたる膨大な作業を実施。同局長は、公開討論で建設的な意見を得て、策定プロセスに係るすべての当事者に利益をもたらすようにしたいと述べ、業界とすべての利害関係者の積極的な参加を呼び掛けた。2042年までの原子力発電設備計画の草案によると、ロシアでは既存および新規の14サイトで合計38基(約2,375万kWe)を新設。閉鎖予定の原子炉のリプレースとなる大型炉および小型モジュール炉(SMR)を新設する他、電力系統の運用面で大型炉の設置が出来ない極東地域では中型炉を設置する。一方、運転期間を満了する原子炉の閉鎖は約1,040万kWe規模。この計画の実現により、2042年には原子力発電設備容量は、現在の総発電設備容量の11.7%から15.3%に拡大。総発電電力量に占める原子力発電の割合は現在の18.9%から23.5%になると予測している。国営原子力企業のロスアトムは、露大統領の指示により、2045年までに総発電電力量に占める原子力発電の割合を25%にすることを目指している。草案に示される具体的な新設計画、運転開始時期は以下の通り。コラ第Ⅱ原子力発電所(ムルマンスク州)2035~2040年、VVER-S/600×3基(PWR)、計180万kWeクルスク第Ⅱ原子力発電所(クルスク州)2025~2034年、VVER-TOI×4基(PWR)、計480万kWeスモレンスク第Ⅱ原子力発電所(スモレンスク州)2033~2035年、VVER-optimum×2基(PWR)、計240万kWeノボチェルカスク原子力発電所(ロストフ州)2036~2038年、VVER-optimum×2基(PWR)、計240万kWeレフティンスク原子力発電所(スベルドロフスク州)2041年、BN-optimum×1基(高速炉)、125.5万kWe南ウラル原子力発電所(チェリャビンスク州)2038~2040年、BN×2基(高速炉)、計251万kWeクラスノヤルスク原子力発電所(クラスノヤルスク地方)2037~2042年、BN×4基(高速炉)、計502万kWe鉛冷却高速実証炉(トムスク州)2028年、BREST-OD-300×1基、30万kWeプリモルスク原子力発電所(沿海地方)2039~2042年、VVER-S/600×2基(PWR)、計120万kWeハバロフスク原子力発電所(ハバロフスク地方)2036~2038年、VVER-S/600×2基(PWR)、計120万kWeノリリスクASMM(SMR)(クラスノヤルスク地方)2032~2037年、RITM-400×4基(PWR)、計32万kWe(電力消費者との合意後に実施)ヤクーツクASMM(SMR)(サハ共和国)2030~2031年、RITM-200N×2基(PWR)、11万kWe(内、1基は、電力消費者との合意後に実施)チュクチASMM(SMR)(チュクチ自治管区)2030年、SHELF-M×1基(PWR)、1万kWe(電力消費者との合意後に実施)バイムスキーMPEB(SMR)(チュクチ自治管区)2027~2031年、RITM-200C×8基(PWR)、計42.4万kWe(浮揚式原子力発電所、電力消費者との合意後に実施)11.~14.は、僻地にありUES系統からは独立している。原子力発電設備容量の最大の増加は、電力消費量の高い成長率を示す、シベリア、極東、ウラル地方で予想されている。近代的な原子力発電所の建設により、これら地域の経済成長と産業の発展を支援するという。基本計画は年内に政府の承認を得る予定。
17 Sep 2024
2011
米エネルギー省(DOE)は9月9日、米国内で運転中または最近閉鎖された原子力発電所サイトで、6,000万kW~9,500万kWの新規建設が可能とする報告書「原子力発電所および石炭火力発電所サイトにおける新規原子力立地評価(Evaluation of Nuclear Power Plant and Coal Power Plant Sites for New Nuclear Capacity)」を公表した。この報告書は、DOE傘下のオークリッジ、アルゴンヌ両国立研究所の協力を得て、DOEの原子力局(NE)がとりまとめたもので、54の運転中および11の閉鎖済み原子力発電所サイトを評価。サイトの敷地面積や空中写真などの情報を用いて分析したことに加え、冷却水の利用可能性、人口密集地や危険施設からの距離、地震、洪水の可能性などの観点からも分析を行った。その結果、運転中および閉鎖済みの41サイトで新規原子力発電所の立地が可能であることが判明。AP1000のような大型軽水炉の場合、6,000万kW、60万kWの小型先進炉の場合では、9,500万kWの原子力発電設備容量が設置可能と評価した。報告書は、既存サイトへの新規建設の優位性として、地元コミュニティが、①既に原子力を支持している、②安全文化に精通している、③厳格な環境モニタリングが継続的に実施されていることを認識している――ことを挙げたほか、地元への環境面、雇用面、地域経済面での恩恵を強調した。そのほか、米国原子力規制委員会(NRC)に建設・運転一体認可(COL)を申請済みだが、実際の建設には至っていない17の原子炉についても評価を実施。その結果、2,400万kWの原子力発電設備容量の追加導入が可能と結論し、このようなサイトの活用は、許認可プロセスの迅速化や新設に必要な時間とコストの節約につながるとした。また、報告書は、閉鎖済みまたは今後閉鎖予定の石炭火力発電所サイトへの原子力新設の可能性も検討。その結果、1億2,800万kW~1億7,400万kWの新規原子力発電設備容量の設置が可能と評価した。米国では、クリーンエネルギーへの移行に伴い、2035年までに国内の石炭火力発電所の30%近くが閉鎖されると予測されるなか、DOEは、「石炭から原子力への移行(coal-to nuclear (C2N) transitions」を通じて石炭火力の地元コミュニティでは、既存の労働力とインフラを活用することにより、地元経済と環境に多大な利益がもたらされる、とそのメリットを強調している。なお、DOEは、今回の報告書について、既存の原子力発電所を活用した、新たな原子力発電所の建設可能性について知見を提供するものとしつつも、あくまで予備的な分析であり、最終的には、電力会社と地域社会が協力して、建設の判断を下す必要があるとしている。DOEは2023年3月に発表した報告書のなかで、米国が2050年ネットゼロを達成するためには、米国内で2050年までに約2億kWの追加の原子力発電設備容量が必要との見方を示している。
13 Sep 2024
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米原子力規制委員会 (NRC) は9月3日、米ケイロス・パワー社によるテネシー州オークリッジでの「ヘルメス2」実証プラント建設プロジェクトに対し、最終的な環境アセスメント(EA)を発表。「重大な環境影響はない」と結論づけた。「ヘルメス2」は、米エネルギー省(DOE)の「東部テネシー技術パーク(ETTP)」に建設予定の「ヘルメス」(非発電炉、熱出力3.5万kW)に隣接し、フッ化物塩冷却高温炉を2基備えた発電プラント(2万kWe)。ケイロス社は2023年7月にヘルメス2の建設許可をNRCに申請した。ヘルメスは、安価でクリーンな熱生産を実証するため、TRISO燃料((ウラン酸化物を黒鉛やセラミックスで被覆した粒子型の燃料))と熔融フッ化物塩冷却材を組み合わせて原子炉設計を簡素化している。ケイロス社はこれらのヘルメス・シリーズで得られる運転データやノウハウを活用して、技術面、許認可面および建設面のリスクを軽減し、コストを確実化して、2030年代初頭に商業規模のフッ化物塩冷却高温炉「KP-FHR」(熱出力32万kW、電気出力14万kW)の完成を目指している。NRCは建設許可発給の手続きにあたり、環境影響声明(EIS)を必要とする従来のNRC規則の適用をヘルメス2から免除した。ヘルメス2のサイトは以前にヘルメスのEISで既に評価されており、免除の裏付けに十分との考えだ。NRCスタッフは、ヘルメス2の建設許可手続きの最終段階に向けて、ヘルメス2のEAおよび安全性評価報告書(SER)をNRC委員に提出。委員は、スタッフによる審査が建設許可発給に必要な所見を裏付けるものか判断し、許可発給の票決を行う。ケイロス社は今年7月、米のバーナード・コンストラクション・カンパニーと契約し、オークリッジのヘルメスの建設サイトで土木工事(掘削作業)を開始した。両社はヘルメスに隣接し、最終となる工学試験ユニット(ETU 3.0)の建設でも協力。非原子力の実証実験装置であり、サプライチェーン、建設、運転経験の面からヘルメスを支援する。
12 Sep 2024
1517
米テネシー州のB. リー知事は9月4日、仏オラノ社の米国法人であるオラノUS社が遠心分離方式によるウラン濃縮施設の建設候補地に同州オークリッジ市を選定したことを明らかにした。ウラン濃縮施設の敷地面積は約75万平方フィート(約7万平方メートル)と北米最大規模となり、操業すれば300人以上の直接雇用を創出する見込み。 今回の建設は、テネシー州が2023年に5,000万ドル(約71億円)を投じて創設した、原子力関連企業の同州への拠点移転支援や同州の大学・研究機関における原子力教育の発展を目的とする原子力基金を活用して建設されるもの。リー知事は、同州が、原子力関連投資に最適な州であり、オラノ社との提携を通じて、米国のエネルギー自立や継続的な経済成長と機会拡大の推進に貢献できると強調している。テネシー州では、このほどBWRX-300の導入に向け追加投資を決めたテネシー峡谷開発公社(TVA)が所有、運転するワッツ・バー1,2号機(PWR、120万kW級×2基)、セコヤー1,2号機(PWR、120万kW級×2基)の計4基の大型PWRが運転中。そのほか、オークリッジ国立研究所(ONRL)、ケイロス・パワー社、TRISO-X社、セントラス社などの原子力関連企業・機関約230社が拠点を置いている。 米国では、ロシア産低濃縮ウラン(LEU)の米国へ輸入を禁止した「ロシア産ウラン輸入禁止法」が8月11日から施行されているほか、米エネルギー省(DOE)が国内のウラン濃縮能力の強化、商業用核燃料の供給源多様化や安定供給を狙いとして27億ドル(約3,820億円)を拠出するなど、燃料のサプライチェーン強化に向けた動きが活発化している。
12 Sep 2024
1940